原子力局

新規購入の放射線検査車の概要ならびに
昭和35年度運用計画案

1.はじめに
 昭和35年度歳出予算で放射線検査車の購入が正式に決定し、車体および計器類の購入契約に次いで最近計器類の積込みを終わり、原子力局に常備されることになった。

2.運用目的

2-1.全国的にみても東京都周辺の放射性同位元素使用施設数は圧倒的に多く、かつ、放射線障害防止上の安全基準の立場からも、少なくも年1回の立入検査を必要とする施設数が相当数にのぼるので、機動性を発揮して、効率的に立入検査を実施するため。

2-2.一旦事故が発生した場合緊急に出動して、汚染状況の把握とともに放射線障害防止対策の確立をはかるため。

3.運用範囲
 主として東京都周辺地区

4.放射線検査車の構造および積込計器類の概要

4-1.検査車
  ① 車体・日産小型貨物自動車
  ② 乗車定員・5名

4-2.塔載機器(神戸工業作製)

A 測定装置
(1)4πガスフローカウンター

 検出感度、 水試料
 1×10-8
μc/cc
ダスト試料α-線
 5×10-12
μc/cc
β,γ-線
 1×10-10
μc/∝
(2)スケーラー
 1,000進法計数装置(トランジスター化)プリセット可能

B 試料調整装置
 500ccの水試料を沸騰することなく約1時間半で50ccに濃縮可能

C ダストサンプラー
 集じん効率 0.3μ以上 97%以上
 Hollingsworth&Vose70のろ紙使用

4-3.検査要領

1 排水浄化槽の排水口の排水を濃縮容器(500ceおよび1lステンレス製)に採取し、試料調整装置で約50ccに濃縮(所要時間1.5~2.0hr)
2 作業室内のダストをダストサンプラーで集塵(所要時間2.0hr)
3 濃縮試料を測定皿(50mmx50φmm)上で赤外ランプで乾固(所要時間30min)
4 集塵済のろ紙は、空気中天然放射性物質の減衰をまつため2時間後に測定
5 測定所要時間

 バックグランド  平均  40分
 水   試 料   〃    〃 
 ダスト 試 料   〃    〃 

5.35年度検査計画案

1 検査予定事業所数
 18事業所(Tracer関係のみ)

2 月別検査計画

 35年12月  第3週後半  2事業所
 36年1月  第4週前半  4 〃
 36年2月  第2週後半  第4週前半  6 〃
 36年3月  第2週後半  第4週後半  6 〃

3 検査対象事業所数(Tracer関係のみ)

 東京都内  74事業所
 関東地区(除東京都内)  48 〃
     計  122事業所

検査車見取図