原子力平和利用研究費補助金の交付研究の概要 1.高速中性子チョッパーの試作に関する研究 ① 三菱電機(株) ② 35.6.1~36.3.31 〔目 的〕1eV~10keVの中性子を対象とする高速中性子チョッパーおよびローターの精密回転制御装置と安全補器装置を完成する。この装置により原子炉スペクトラムの測定や種々の中性子実験を行なうことができる。 〔内 容〕(1)ローターの設計試作ローター材料はNiCu合金を主体とした機械的性質のすぐれたものを用い、直径500~600mm15,000rpmとする。スリットは0.5~1mm幅、25~30mm高さ、ピッチ5mmで10本程度を精密に切削する。必要な場合は、異形の溝を放電加工のごとき特殊加工で行なう。 (2)回転数の制御 ディジタル計数検出方式により15,000rpmで0.1%以上の安全な自動制御を行なう。 (3)総合特性試験 ローターの回転破壊強度の検討、回転数の安定度、振動特性試験等の運転試験を実施する。 2.波高分析装置、時間分析装置の性能向上に関する研究 ① 松下電器産業(株) ② 35.4.1~36.3.31 〔目 的〕中性子物理実験に用いる中性子エネルギー分析装置、波高分析装置の性能を向上させるため、記憶時間の縮少、クロック周波数の引上げの研究を行ない、これらを用いる実験の精度の向上をはかる。 〔内 容〕(1)高速記憶回路の研究記憶回路の不感時間を極力減少させるため磁気記憶回路、静電記憶回路を理論ならびに実験の両面から検討する。 (2)高速中性子用時間測定回路の研究 高速計数回路、ゲート回路等を改良し、クロック周波数を10MCまたはそれ以上にあげ、測定精度の向上をはかる。さらに記憶回路不惑時間の補正方法についても研究を行なう。また、測定限界以上の高速中性子については、特殊な微少時間測定法を検討する。 3.低エネルギー放射線測定器の試作に関する研究 ① (株)堀場製作所 ② 35.4.1~36.3.13 〔目 的〕生物学、化学、物理学等で測定分析が必要となる3H(19KeV)、14C(155KeV)等の軟β線ならびに30KeV程度の軟X線および低エネルギーγ線等を効率よく測定分析できる液体蛍光体ならびにNaI(Te)蛍光体を用いた検出系の試作研究を行なう。 〔内 容〕(1)液体螢光体を数種類の溶媒、溶質(第1級、第2級)の種々の試料について、濃度、温度に対する蛍光強度特性および消滅特性の変化等に関して実験検討する。 (2)NaI(Te)螢光体について低エネルギー放射線に対する応答性、濃度とパルス高の関係、分解等を検討する。 (3)検出系について、低バックグラウンドにする最適条件、ノイズの除去、光電子増倍管の最適使用法、その他材質および幾何的配置等を研究する。 (4)増幅指示系は液体螢光体の検出系からのパルスに対し、最も適合した増幅方式を選びその安定性、分解性ならびに応答性を検討する。 (5)以上の各研究を総合して低エネルギー放射線測定に適した測定器を試作する。 4.軽水減速臨界未満実験による炉心物理量の測定に関する研究 ①三菱原子力工業(株) ② 35.6.1~36.3.31 〔目 的〕軽水減速型臨界未満実験装置を建設し、指数函数炉実験、パルス法実験等により各種の炉心物理量を測定し原子炉設計に必要なデータを得るとともに測定精度の向上をはかる。 〔内 容〕(1)実験装置の製作 主タンクおよび循環設備、黒鉛ペデスタル、イオン交換装置、中性子発生装置、UO2燃料要素、中性子測定装置からなる実験装置を製作する。 (2)中性子非増倍系の実験 中佳子減速密度を測荒し減速面積を求める。一方、非弾性散乱や高エネルギーでの吸収を考慮した理論計算結果と比較する。パルス法によっては、熱中性子拡散断面積を測定し、巨額的中性子束分布測定法との比較を行なう。 (3)中性子増倍系の実験 指数函数炉実験による天然ウラン―軽水格子の material bucklingの測定と、パルス法による反応度の測定を行ない、それぞれの結果から臨界量を推定し、その比較を行なう。 5.黒鉛減速臨界未満実験による炉心物理量の測定に関する研究 ① 富士電機製造(株) ② 35.7.1~36.3.31 〔目 的〕黒鉛減速臨界未満実験装置を製作し各種の炉心物理量の測定を行なう。この装置により炉心内での中性子のふるまいについて実際の知識をまし、核設計に十分な信頼度を得る。 〔内 容〕燃料と黒鉛の比を変えうる天然ウラン黒鉛減速型臨界未滞実験装置を製作する。この装置は黒鉛集合体(1.8m立方)、燃料(天然ウラン1.8ton)、ペデスタル(190×190×54cm)からなり、格子の形状は正方形、6角形の組替が可能である。この装置により種々の炉心物理量(拡散距離、減速距離、バックリングなど)を求める。測定結果は、諸外国の実験データと比較するとともに計算結果とも比較し核計算技術の向上をはかる。 6.舶用原子炉炉心における伝熱および流動特性の解析に関する研究 ① 石川島重工業(株) ② 35.7.1~36.3・31 〔目 的〕舶用原子炉の動揺時におけるボイド分布の変動に伴う出力振動等の安定性に関し実験によりボイド分布の変動についての資料を求め、後日核計算を含む動特性解析を行ない、動揺に対する自然循環沸騰水型原子炉の安定性の確立をはかる。 〔内 容〕正方形断面のテストセクション内にステンレス被覆の径14mm、長さ1,000mmの電熱式模擬燃料棒36本を入れ、温度270℃、圧力70kg/cm雪下において、(1)静止試験(出力密度10、20、30kW/l、傾斜角0°、15°、45°)および動揺試験(出力密度20、30kW/l、動掃角度15°、45°、動揺周期5、15sec)を行ない、137Csおよびシンチレーションカウソターを用い、γ線透過量によりボイド分布を測定する。(2)各試験時におけるテストセクション内の循環水の流量変化はテストセクション上下を連結するダウンカマーに備えたオリフィスにより測定する。(3)以上によりボイド分布状態および循環水の流量変化を解析する。 7.原子炉用超厚板のエレクトロ・スラグ溶接法の研究 ① 大阪変圧器(株) ② 35.6.1~36.3.31 〔目 的〕原子炉の高温高圧容器に使用される超厚板構造用鋼に、超音波を併用したエレクトロ・スラグ溶接法の適正な溶接施工条件を得る。 〔内 容〕アーク・スタート装置、クレーター・フイラー装置、フラックス白動添加装置を備えたエレクトロ・スラグ溶接実験装置により、50~150mmの板厚を対象としてエレクトロ・スラグ溶接を施工する。この際、超音波振動を溶接部に加え、核発生を促して結晶組織の微細化をはかる。また溶着部の組織を改善する一方法として、各種の合金元素を含有したフラックスを試作し、これにより良好な性質の溶着部を得る。 8.原子炉構造物の現地自動溶接法の研究 ① 三菱日本重工業(株) ② 35.7.25~36.3.31 〔目 的〕下向姿勢と同程度に均質化された信頼の高い立向および横向溶接接手を得ると同時に作業能率の向上をはかるため、これらの姿勢における原子炉構造物溶接自動化のための基礎条件を得る。 〔内 容〕立向、横向における溶着鉄の湯流れ防止装置と溶接頭を機械的に移動する自動溶接試験装置を製作し、これによって立向、横向における最も有効な開先形状、使用心線、溶接電流、電圧および溶接速度、被包ガスの混合率および流量等の溶接諸元を見い出す。 9.原子炉用循環ポンプ軸封部の漏洩防止(シール水)に関する研究 ① 新三菱重工業(株) ② 35.7.1~36.3.31 〔目 的〕原子炉用高温高圧水循環用ポンプとして、製作費が安価でありしかもモーター効率の良い、グランド部フローティング式、シール水使用の循環ポンプについて、シールに必要なインゼクションの水量、リングの適切な材料、寸法等を解明し、本循環ポンプ開発のための最適条件を得る。 〔内 容〕(1)グランド部試験装置を製作し、グランド部に300℃190kg/cm2の高温高圧水を加圧し、その外側に各種材料を用いた内径80mm、外径110mmのフローティングリングを設け、この部にシールに必要な高圧低温水を供給する。 (2)起動停止を頻発に行ない耐焼付、耐摩耗、耐食性の検討を行ない、良好なものにつき12時間以上連続運転による耐摩耗を調査する。 (3)スキマ寸法を種々変えた場合のインゼクション所要量を測定する。 (4)グランド部およびインゼクション水温を変え、所要流量、摩耗、耐食等を検討する。 10.原子炉用循環ポンプ軸封部の漏洩防止(メカニカルシール)に関する研究 ① (株)荏原製作所 ② 35.7.1~36.3.31 〔目 的〕原子炉用循環ポンプとして、他の型式のものに比し価格、効率の面で有利なメカニカルシール使用のポンプについて、高温高圧下でのグランドシールの信頼性の向上をはかり、原子炉循環用漏洩制限型遠心ポンプ開発のための基礎資料を得る。 〔内 容〕(1)漏洩試験装置に試験すべき軸封機構(メカニカルシールおよびフローティングリング)を装入し、水温150~300℃、水圧100~200kg/cm2を加え駆動用モーターで回転しつつ漏洩量を測定する。 (2)メカニカルシールおよびフローティングリゾグは内径70mm、外径130mmとし、各種材料を用い、回転数は1450、2,900、4,350rpmにそれぞれ変速する。 (3)以上により、メカニカルシールは摺動部構造と摩耗量、摺動面圧と漏洩量、フローティングリングは同じく構造と摩耗量、軸横合部の間隙と漏洩量をそれぞれ測定し、かつ、焼付を起こす水温、摺動速度を検討し耐熱性、冷却効果も同時に調査し、最適条件を得る。 11.原子炉圧力容器の上部へッドと胴部との結合の漏れ止め法の研究 ①三菱造船(株) ② 35.8.1~36.3.31 〔目 的〕原子炉圧力容器上部ヘッドと胴部結合用フランジの漏れ止め法および限界締付圧力等を解明するため、できるだけ実物に近い大型フランジ模型を用いて漏洩試験を行ない、優秀なパッキンの選定とその限界締付圧力を求め、圧力容器設計上必要な資料を得る。 〔内 容〕大口径のフランジ模型(内径1,370φ)を用い、蒸気の代りに水および空気を140kg/cm2まで加圧し漏洩試験を行なう。また中型(内径480φ)、小型(内径200φ)のフランジ模型について同様な実験を行ない、実用規模の圧力容器の最小締付力を推定する。パッキンはOリソグおよびOリソグ、オメガシールを組み合わせた場合につき行ない、大型模型についてはヘリウムガスを用いた漏洩試験を行なうとともに、中型模型については容器内部を電気炉で加熱し、実用温度付近でフランジ、ボルトに温度差を生ぜしめ、加熱→冷却をくりかえした場合の実験も行なう。 12.原子炉用容器の微少漏洩に対する温度圧力の影響に関する研究 ① (社)日本機械学会 ② 35.7.1~36.3.31 〔目 的〕原子炉用容器の許容漏洩量についての基準を設けることが、その製作の合理化上きわめて必要なことであるので、漏洩検査に使用するヘリウムガスと原子炉用流体(D2O、H2O、CO2等)との漏洩量の関係に及ぼす温度、圧力の影響を調査し、許容漏洩量の基準の基礎資料を得る。 〔内 容〕高温高圧試験装置に、直径250φ、厚さ40mmの円板中央50φに適当な漏洩のある溶接を施した試験片を装着し、一方から圧入した流体の試験片からの清洩量を次により測定する。 (1)常温でヘリウムガスを1~3気圧に圧入して圧力差1気圧における漏洩量を測定する。 (2)次に同一試験片につきN2、CO2、H2Oをそれぞれ温度室温~200℃、圧力1~100気圧の範囲で変化させて圧入、漏洩量を測定する。 (3)以上の測定値を統計的に整理し、実用温度圧力下での漏洩量の償を推定する。なお、試験片はステンレス鋼製10個、軟鋼製20個につき行なう。 13.同時還元によるウラン合金の製造研究 ① 三菱金属鉱業(株) ② 35.7.1~36.3.31 〔目 的〕核燃料要素に適するウラン合金を四弗化ウランと合金されるべき金属の塩との混合物を直接同時還元することによって製造する技術を確立する。 〔内 容〕同時還元に適するNb、Mo、Zr、Cr等の金属の各種塩類の製造試験を行なうとともに、カルシウム還元およびマグネシウム還元による各種合金の製造試験について、合金すべき金属塩類と合金の種類と合金としての収率等について研究を行なう。このほか各種合金ダービーの均質性および金相学的性質について検討を行なう。 14.天然ウランの熱間押出しによる管状燃料体の試作研究 ① 住友金属工業(株) ② 35.6.1~36.3.31 〔目 的〕天然ウランを燃料体とするコールダーホール改良型原子炉の燃料管の国産化に資するため、天然ウランの熱間押出し加工による均一健全な燃料管を製造する技術を確立する。 〔内 容〕中空押出素材の製造履歴、組織、表面状況と押出管の性能との関係を検討して有効な押出素材の製造法を求めるとともに、得られた押出素材の加熱法、加熱温度、時間、酸化防止法、押出圧力、速度等について、実験的に検討し効率的な押出の諸条件を探究する。また、上記の研究と関連して、押出機の表面調整、塑性加工および熱処理条件と燃料管としての諸性能との関係についても検討を行なう。 15.インジェクション・キャスティングによる金属ウラン燃料体の製造に関する研究 ① 三菱原子力工業(株) ② 35.4.1~36.3.31 〔目 的〕インジェクション・キャスティング法は一般の精密鋳造法としてすぐれており、工業的にも有望であるので、その装置の設計、各種鋳造条件の検討、鋳造燃料の各種の研究を行ない、インジェクション・キャステイング操業の基礎的条件を求める。 〔内 容〕インジェクション・キャステイング装置を設計製作し、天然ウランにZr、Nb、Mo等を少量添加した合金およびウランにMo、Nbを10~15%程度添加したγ相合金を対象として、使用るつぼ、モールド等について検討するとともに、インジェクション・キャスティングの諸条件と得られる鋳塊の長さ、表面状況および内部組織、欠陥等との関連を検討し、適性な操作条件を求める。また得られた鋳塊については仕上り精度、表面状況、内部欠陥、内部組織等について広く試験を実施する。 16.加熱押出し法による高比重の二酸化ウラン燃料体の製造研究 ① 三菱原子力工業(株) ② 35.4.1~36.3.31 〔目 的〕均質で寸法精度のよい高比重セラミック系燃料体を製造するため、加熱押出法による新たな加工法の開発を目的とする。 〔内 容〕二酸化ウラン原料粉末を高温還元処理後粉砕して、その粒度を適当に調整し、これに少量の粘結剤、潤滑剤、溶剤等を加えて混練し、加熱して十分な可塑性を与えた後、油圧押出機により棒状成型体をつくり、これを焼成して高比重の均質で寸法精度のよい二酸化ウラン燃料棒を得るための諸条件について検討する。また、得られた押出焼結休については寸法変化、組成、結晶構造、熱伝導度等について調べ粉末冶金法による場合と対比して検討を行なう。 17. 被覆二酸化ウラン粉末の製造に関する研究 ① 三菱金属鉱業(株) ② 35,7.1~36.3.31 〔目 的〕高温高出力条件の原子炉用の分散型ないしは均質型燃料体の製造に適する金属被覆を施した二酸化ウラン粉末の製造法を確立する。 〔内 容〕各種の二酸化ウラン粉末を流動炉中に流動させ、この表面にNb、Cr、W、Ni等の金属のハロゲン化物を還元蒸着させ金属被覆を行なうための諸条件にっいて研究を行なうとともに、得られた二酸化ウラン粉末の物理的性質、加工性等について検討を行なう。 18.粒状半均質燃料体の製造に関する研究 ① 日本カーボン(株) ② 35.6.1~36.3.31 〔目 的〕半均質燃料の実用にあたって、燃料の取扱上の安全性、簡易性および再処理の容易性が重要な因子となると考えられるので、ウランまたはトリウムの酸化物を炭素で被覆した球状ないしは粒状の半均質燃料の製造法を開発する。 〔内 容〕デビニルベンゼン単量体を主体とするスチレン系化合物、あるいは、フェノール系またはフラン系初期縮合樹脂を加熱重合せしめつつ、酸化ウランのような粉末核燃料をこれら合成樹脂をもって被覆、または樹脂重合体中に固定したラミネート粒子を適当な条件のもとに加熱焼成して炭化せしめ、炭素にて被覆された球状ないしは粒状の半均質燃料を製造する諸条件について検討するとともに、得られた燃料体の諸性質について検討する。 19.燃料要素のプレッシャライジング被覆組立法に関する研究 ① 古河電気工業(株) ② 35.6.1~36.3.31 〔目 的〕燃料要素の被覆組立法として、ウラン燃料体に被覆材を液体を媒体として、外圧をかけ密着を行なうプレッシャライジング法が簡便であり、かつ有力な方法と考えられるので、これらの方法を開発するための基礎的資料を得ることを目的とする。 〔内 容〕ウラン棒にAlおよびMg合金フィン付被覆管を被覆する方法について研究を行なう。すなわちプレッシャライジング法により、被覆管を心材に完全に密着させ、かつ燃料要素として最終寸法、形状に精度よく合致させるための諸条件の検討、また高温で運転する原子炉には心材の表面にラチェッティング溝をつけ被覆材と心材との剥離を防ぐ方法等について研究を行なう。 20.原子燃料用高純度酸化トリウム粉末の製造に関する研究 ① 旭電化工業(株) ② 35.4.1~36.3.31 〔目 的〕均質型原子炉用燃料として要求される各種性状に適合した酸化トリウム粉末の製造条件を確立することを目的とする。 〔内 容〕酸化トリウムの製造工程のうち、酸化トリウムの粒形、粒径に最も大きな影響を及ぼすトリウム塩の沈殿条件および沈殿物の焼成について検討を行なう。すなわちトリウム塩の沈殿条件については、沈殿温度、トリウム濃度、沈殿剤の濃度、沈殿方法等について検討を、また、焼成条件については焼成温度、時間等について検討し、均一な1~10μの酸化トリウム粉末を製造する基礎的条件を明らかにする。 21.高密度二酸化ウラン燃料素子の放射線照射に関する研究 ① 東京芝浦電気(株) ② 35.5.1~36.3.31 〔目 的〕 ローラー法によって微細化した二酸化ウラン粉末は充填性と焼結性がすぐれかつ不純物の混入もほとんどないので、この粉末を使用して試作した高密度で健全な二酸化ウランペレットについて照射試験を行ない、本方法で製造した二酸化ウランペレットが実用に供しうるかどうかを確かめることを目的とする。 〔内 容〕 ローラー法によって微細化した二酸化ウラン粉末を使用して、試作したペレットを米国GE社に送り、カプセルに装入の上、GETRで0.1%および0.2%のバーンアップまで照射し、その後約1ヵ月冷却して鉛製コンテナーに入れて送付をうける。この被照射ペレットをホットラボ中で分解し、バーンアップの測定、分裂ガス生成物の分析、顕微鏡組織等を調べる。 22.金属ウラン燃料の放射線照射に関する研究 ① 古河電気工業(株) ② 35.5.1~36.3.31 〔目 的〕圧延法によって製造した国産天然ウラン棒の照射試験を行ない、原子炉燃料としての適格性を検討し、原子炉燃料としてのすぐれた金属ウラン棒の製造法を確立するための資料を得ることを目的とする。 〔内 容〕圧延法によって製造した金属燃料棒について、サーマルサイクリソグ、熱膨張試験、金相学的検査等により、結晶方位のランダムネス、結晶粒の均一性、粒度の微細性を調査したのち、燃料として良好な性質を持つと予想されるウラン棒を米国バッテル・メモリアル・インスティテュートに送付し照射試験を依頼する。照射後、各試料について分裂ガスの分析、表面の肌あれ、密度、硬度、顕微鏡組織、粒度等について調査し、照射に伴う変化を調べる。 23.粉末冶金法による燃料被覆材としてのニオブおよびニオブ合金の製造研究 ① 三菱原子力工業(株) ② 35.4.1~36.3.31 〔目 的〕燃料被覆材として、耐熱性、高温強度、高温におけるウランとの反応性等の点で有望なニオブおよびその合金の粉末冶金法による開発を目的とする。 〔内 容〕焼結法によるニオブ金属の製造工程については、ニオブ粉末の成型圧力と圧粉体密度との関係、加工性に及ぼす成型圧力、粒度等の関係、成型体の焼結温度、時間、真空度等を検討する。また得られたニオブについては、ニオブ金属の使用上問題となる諸性質を検討するとともに高温での機械的性質および高温水に対する耐食性等について検討する。 24.軽水型原子動力炉用耐食材料の耐食性の改良に関する研究 ① 日本冶金工業(株) ② 35.4.1~36.3.31 〔目 的〕従来開発されてきた改良型ステンレス鋼を対象として、その高温高圧水中における挙動を追求して耐食性の向上をはかるとともに、それぞれの耐食限界を明らかにすることにより、さらに耐食性のよい耐食材料を開発する。 〔内 容〕高温水中でのステンレス鋼の腐食挙動を、カプセル型試料を用い、腐食により発生する水素量を連続的に測定し腐食の進行状況を追求するとともに、局部腐食の発生とその進行状況を微視的に観察し、局部腐食の発生および進行状況を検討する。このほか直接荷重方式により、各種腐食媒質による応力下での腐食割れ寿命に関し、耐食材料の比較を行なう。かくしてこれらの結果を総合して、さらに耐食性良好なる新鋼種を開発する製造条件を把握する。 25.子炉用高張力鋼の溶接に関する研究 ① (社)日本熔接協会 ② 35.4.1~36.3.31 〔目 的〕原子炉圧力容器用として有望な数種の国産高張力鋼について、その溶接性、溶接施工法ならびに溶接部の諸性質に関して総合的試験研究を実施し、原子炉圧力容器の溶接工作上の参考資料を得ることを目的とする。 〔内 容〕原子炉圧力容器用として有望な高張力鋼数種について、機械的性質、切欠靱性、溶接部の硬化を延性、溶接亀裂性、歪時効性等について各方面から比較試験を行ない、その溶接性の検討を行なうとともに、原子炉用として適当な被覆溶接棒、ユニオン・メルト溶接用材料の試作研究を行ない、開先形状溶接順序等の溶接施工法を確立する。また溶接接手については室温、高温における機械的性質、クリープ特性、耐食性につき試験し圧力容器鋼材としての適性を調べる。 26.制御材 Ag-In-Cd 合金の製造に関する研究 ① 三菱原子力工業(株) ② 35.4.1~36.3.31 〔目 的〕軽水型動力炉用制御棒材料として、機械的性質、耐食性、吸収特性等にすぐれ、かつ安価なAg-In-Cd合金について実験的検討を行なうとともに、その性質の改善について検討を加え、この合金の国産化に資する。 〔内 容〕Ag-In-Cd 合金の溶解法、合金元素添加法、鋳塊の鋳巣、偏析およびCd,Inの気化損失の程度等について研究を行なう。得られた合金については加工時の加工条件、加工硬化および焼なまし条件等の検討、機械的性質、耐食性の測定を行なうとともに、合金板のニッケルメッキ等の表面処理法について検討する。 27.鉄鋼のボロン化に関する研究 ① 学校法人 東海大学 ② 35,7.1~36.3.31 〔目 的〕普通鋼材、特殊鋼材、ステンレス鋼材などの表面を簡易な方法によってボロン化し、熱中性子制御力を任意に加減した制御材の製造方法を確立する。 〔内 容〕ホウ砂またはこれにホウ酸を添加した溶融塩中で電解を行ない、鋼材をボロン化する方法について、ボロン化を行なう材料の種類、電解浴の組成、電解条件等について研究を行なうとともに、本方法でボロン化した各試料について各種試験を行なう。 28.原子炉冷却材用ビスマスに対する耐熱耐食材料に関する試験研究 ① 日本原子力事業(株) ② 35.4.1~36.3.31 〔目 的〕半均質炉等の冷却材に使用される高温溶融ビスマスに対し、耐食性のよい鉄鋼材料を開発することを目的とする。 〔内 容〕Fe-Cr系、Fe-Co系、Fe-Mo系、Fe-W系、Fe-Si系等の鋼材を対象として、これら各種供試鋼材の高温溶融ビスマス(400~800℃)による耐食試験を行なう。すなわち静的試験によって組織変化を中心として調べ、その結果良好な成績を示めしたものについて熱対流試験を実施する。かくして良好な鋼材を選択し、最終的に高速回流(5~6m/sec)試験用ループにより動的耐食試験を実施する。以上の各試験を行なった各供試体について種々試験を行ない、この結果を総合してビスマスに対し高温耐食性の良好なる材料を技術的、経済的見地から検討して選定する。 29.金属ベリリウム被覆に関する試験研究 ① 日本碍子(株) ② 35.7.1~36.3.31 〔目 的〕ベリリウムは高温ガス炉の燃料被覆材として、また液体金属に対する耐食材料としてその有用性が着目されているが反面高価であり、機械的強度が努ることなどの欠点があるので、本研究は軟鋼等の表面にベリリウムを被覆し、ベリリウムの特性を生かした最適の耐食被覆材を得ようとするものである。 〔内 容〕軟鋼、13クロム鋼、ステンレス鋼等を対象としてベリリウムの溶融塩電解メッキを行なう諸条件について検討する。すなわち酸化ベリリウムからハロゲン化ベリリウムをつくり、アルカリ金属等のハロゲン化物と混合溶融して、メッキに適する浴組成の調整法の研究、被メッキ金属の前処理条件の研究、メッキ条件の検討を行なう。またメッキを行なった耐食試験片については静的状態で800℃の溶融ビスマスに対する耐食試験を行なう。 30.スウェージング法で成型加工した二酸化ウラン燃料体の放射線照射に関する研究 ① 三菱原子力工業(株) ② 35.4.1~36.3.31 〔目 的〕スウェージング法で成型加工した二酸化ウラン燃料体を実際に原子炉の燃料休として使用したときの挙動を知るために、燃料被覆管について中性子照射の影響を研究し、本方法によって加工された被覆管が実用に供しうるか否かを判定することを目的とする。 〔内 容〕スウェージング法により製造したステンレス錮被覆の酸化ウラン燃料体の被覆管および燃料体の試料を作成し、これをX線試験、オートクレープ試験、ヘリウムリーク試験等を行なったのちウェスチングハウスの材料試験炉に送付し照射試験を行なう。照射後、被覆管について冶金、物理、化学的研究を行ない燃料被覆管としての適否の判定の基礎的情報を得るとともに、合わせて燃料体について分裂ガスの測定、断面の顕微鏡写真撮影、燃焼度の測定を行なう。 31.連続式高速α線水モニタの研究 〔目 的〕放射性廃液中のα線濃度を連続的にしかも高速度で検出および記録し、その濃度が10-7μc/ccを超えた場合は、警報を発するモニタを製作するための基礎資料を得る。 〔内 容〕連続的に試料永を回転濃縮機に注入して濃縮した後、回転式電離槽に注入する。電離槽内でイオン電流を検出した後、電離槽から取り出し、ドロッパーによって連続的に走っている金属帯の上に滴下し、これを熱風によって蒸発乾固し、プラスチックシンチレーダーによってα線を連続的に計測、記録し、廃水のα線濃度が10-7μc/ccを超えた場合には警報を発する装置を試作研究する。 32.高感度γ線および中性子線線量計ガラスの研究 ① 東京芝浦電気(株) ② 35.4.1~36.3.31 〔目 的〕γ線および熱中性子線に対して、高感度で、使用しやすい線量計用ガラスを製作するための基礎資料を得る。 〔内 容〕 テコランダム電気炉を使用してメタリン酸アルミ、メタリン酸リチウム、メタリン酸銀等を含むガラスを製作し、でき上ったガラスの放射線に対する感度の上昇、均一性および再現性を検討しながら、ガラスの組成、溶融温度、溶融時間、かきまぜ方法、成型方法等の研究を行なう。また、ガラスの寸法形状についても、方向依存性の少ない、使用しやすいものを研究する。 33.放射能除染材料に関する試験研究 ① 旭電化工業(株) ② 35.4.1~36.3.31 〔目 的〕放射性物質で汚染された綿布およびプラスチック材料に対し、高い除染効果を有する除染材料を製造するのに必要な基礎的条件を得る。 〔内 容〕綿布およびプラスチック材料を種々の放射性同位元素で汚染させ、酸化エチレン、酸化プロピレンの縮合体を基休とする洗浄剤にEDTA等の錯化剤を組み合わせた除染剤によって除染する。除染後、除染剤の除染効果および除染廃液の処理の難易を検討し、除染剤を構成する洗浄剤と錯化剤の種類および配合割合ならびに除染の方法を研究する。 34.膠質土による放射性汚染液中からの放射性物質の吸着除去に関する研究 ① 東洋ファイバー(株) ② 35.4.1~36.3.31 〔目 的〕各種形状の活性化された膠質土を用い、充填塔によって放射性廃液の除染を行なう。その後除染効果を調べ、また他の除染材との比較を行ない、活性化された膠質土を用いた方法の、放射性汚染液の簡易処理法としての有用性を確認するための基礎資料を得る。 〔内 容〕原土を粉砕し、整型機または節分機によって処理した適当な形状、または粒径の膠質土を活性化炉によって活性化する。活性化された膠質土を充填塔に充塀し、処理される放射性廃液は適当なpHに調節されて充填塔に移される。この処理方法において、放射性廃液のpH値と流量、膠質土の粒径と充填量等に対する放射性物質の吸着効果を検討し、合わせてイオン交換樹脂等との有用性の比較検討を行なう。 35.放射性廃棄物の簡易処理に関する研究 ① 大阪府 ② 35.4.1~36.3.31 〔目 的〕1日あたり1m3、10-5μc/cc以下の低放射能レベル廃液を処理するのに適した小型で簡便なフロキュレーターおよびこれによって生じた放射性スラッジの脱水濃縮を行なうに適した装置を製作するための基礎資料を得る。 〔内 容〕① 凝集剤の種類を多様に変化でき、pH値、流速、水温等の調節、空気注入の可能なフロキュレーターを試作する。試作後、放射性廃液を用いて実験し、充填剤、凝集剤、pH値、流速等を検討し、この装置の運転上の最適条件を決定する。 36.放射線障害(特に造血腋器)の治療試験研究 ① 平井 帥 ② 35.7.1~36.3.31 〔目 的〕各種白金属コロイド製剤および有機白金製剤の放射線障害治療に関する効力を比較するとともに、その薬理を探究し、放射線障害の治療に関する基礎資料を得る。 〔内 容〕(1)白金とパラジウムの混合比を変えた白金属コロイド製剤および、白金アミノ酸塩製剤を製造する。 37.放射線障害予防ならびに治療剤の研究 ① 田辺製薬(株) ② 35.4.1~36.3.31 〔目 的〕放射線障害の予防・治療に効果があるといわれる各種薬剤をもとにして系統的合成およびその効果の判定を行ない、効果の大なる予防治療薬の発見につとめる。 〔内 容〕(1)放射線防護薬剤として期待される化合物(SH化合物、サルチル酸アミド系化合物、生体内物質など)をいろいろ合成する。 38.放射線グラフト重合によるセルローズ繊維からの新繊維の製造に関する研究 ① (財)日本放射性高分子研究協会 ② 35.4.1~36.3.31 〔内 容〕 レーヨンにγ線、電子線、X線などを照射し、熱可塑性、熱セット性を与えるため、スチレン、ビニルカルバゾール、塩化ビニル、エチレン、プロビレンなどをグラフトさせ、染色性改善のためアクリル酸、アクリルアミド、ビニルビリジンなどをグラフトせしめる。上記についての照射法の検討とグラフト重合条件を検討し、あわせて生成セルロールズ繊維の構造、性能との関係も調べる。 39.放射線によるポリオキシメチレンの製造に関する研究 〔目 的〕低温度で放射線を照射して、無水のホルムアルデヒドを重合させ、高分子量のポリオキシメチレソ樹脂を生成するための基礎資料を得る。 〔内 容〕反応条件を探求するため、重合速度、重合度および重合物の安定性を塊状重合、沈殿系の溶液重合、均一溶液系の溶液重合の各方法について検討する。また重合物についての組成ならびにその安定性を赤外線スペクトロならびにビニルエーテル、イソプレチンとの共重合、リビングポリマー法による溶剤停止機構の応用、ポリプロピレンのホルマリンのグラフト重合、ポリオキシメチレンへのスチレンのグラフト重合などについて調べる。なお、安定化のための化学処理および放射線処理について検討し、合わせて最終製品の性能をデルリンと比較検討する。 40.放射線によるシクロヘキサンの酸化に関する研究 ① (財)日本放射線高分子研究協会 ② 35.4.1~36.3.31 〔目 的〕γ線照射により、シクロヘキサンを酸化させ、シクロヘキサノンおよびシクロヘキサノールを製造する場合の最適条件を見い出すための基礎資料を得る。 〔内 容〕(1)シクロヘキサンをオートクレーブ中で、酸素または空気とともに温度を上げてγ線を照射し、生成するシクロヘキサノンおよびシクロヘキサノールの生成の最適温度を決定する。 41.放射線クラフト共重合による陰陽複合イオン交換膜の製作研究 ① 旭化成工業(株) ② 35.7.1~36,3.31 〔目 的〕放射線グラフト共重合により、性質優秀な陰陽複合イオン交換膜を製作し、従来の隔膜電解法には見られなかったすぐれた特性を持つ複合イオン交換膜電解法を可能ならしめるための基礎資料を得る。 〔内 容〕(1)陰および陽イオン交換膜をγ線照射してラジカルを生ぜしめ、両者を適当なモノマーで架橋接着する。この際照射中いろいろな条件下で発生するラジカルの量と性質を調べ、最適製造条件を見い出す。 42.放射線照射による蒸留酒の調熱に関する研究 ① 理化学研究所 ② 35.8.1~36.3.31 〔目 的〕蒸留酒の貯蔵時に、γ線照射を行ない経時的な変化を測定し、貯蔵期間の短縮と品質向上に適当な諸条件およびγ線照射効果に関する諸データを得る。 〔内 容〕研究に使用される原酒としてウィスキー、ブランデーを一定品質になるように調整し、この調整した原酒に、γ線をいろいろな照射条件(線量、フンイ気など)で照射し、γ線照射前後および貯蔵開始後1、3、6ヵ月目に一部試料を取って、官能検査および分析その他の試験を行ない、未照射原酒との比較を行なう。なお成分としては、酸、エステル、アルデヒド、フラフラール、フーゼル油などの定量を行ないさらに色調、紫外線吸収、誘電率の測定などを行なう。 43.放射線による塗料膜の性質の改善に関する研究 ① 関西ペイント(株) ② 35.4.1~36.3.31 〔目 的〕各種の放射線照射の方法について従来の塗膜形成法では不可能であった高性能の塗料を製造し、ますます高度化する一般工業界の塗料性能に対する要求を満たす。 〔内 容〕(1)展色剤を金属面に塗装したのち、γ線を種々の条件(温度、線量、フンイ気など)で照射し、塗膜に及ぼす諸性質、特に素地金属に対する付着力の向上改善の程度を調べる。また上記の展色剤に多官性モノマーを添加し、同様にして架橋重合を行なわせ諸性質の改善を調べる。(2)高分子展色剤に重合性モノマーを、あるいは2種以上の高分子展色剤を共通溶剤に溶解した状態で、γ線を照射し、その生成物の改善特性を調べる。 44.トリチウム標識化合物の製造法に関する研究 ① 田辺製薬(株) ② 35.4.1~36.3.31 〔目 的〕トリチウムは将来性のある核種として注目をあびている。これは14Cよりも比放射能の高い化合物をつくりうることと、比較的値段が安いこ とによるが、本研究においてトリチウム標識必須アミノ酸の製造法の検討を行なう。 〔内 容〕(1)フェニルアラニンおよびイソロイシンを化学的還元法または放電法を用いてトリチウムの標識化を行なう。 45.標識肥料の製造に関する研究 ① 昭和電工(株) ② 35.8.1~36.3.31 〔目 的〕標識肥料の製造研究を行ない所期の比放射能、肥料成分を有する標識肥料の製造プロセス、製造条件を検討し、各種製造装置の構造材質、放射線障害防止措置などについても検討を加えて大量生産方式の基礎資料を得る。 〔内 容〕標識肥料(過リン酸石灰・溶成リン肥・リン安・硫安およびこれらの複合肥料)のcold run, hotrunによる製造プロセスの研究、製品収率、RI収率の検討と最適製造条件の確立をはかるため、放射性用物質の粉砕混合および造粒の方法とこれらにおける披ばく汚染の防止、汚染除去の検討を行なう。上記については混合時間とラベルの均一性、造粒バインダーの種類、配合比ならびに造粒時間と硬度、粒度、造粒効率およびロスの検討を行う。 46.放射性同位元素利用による結核の予防診断治療に関する研究 ① (財)結核予防会 ② 35.4.1~36.3.31 〔目 的〕 ツベルクリンおよび抗結核剤を放射性同位元素をもって標識し、またBCGの助剤として標識化合物を用いて研究し、結核の予防、診断、治療の進歩に寄与せんとする。 〔内 容〕(1)ツベルクリンの標識化について研究する。 47.アイソトープ利用による管理用計測器の試作に関する試験研究 ① 宇部興産(株) ② 35.4.1~36.3.31 〔目 的〕硫酸製造工程中の亜硫酸ガス濃度および微粉炭燃焼装置供給用微粉炭の濃度の連続自動制御のためのラジオアイソトープ管理計測器の製作に関する基礎資料を得る。 〔内 容〕(1)硫酸製造工程中の亜硫酸ガス濃度および 48.気体トリチウムの固定に関する試験研究 ① 明電舎(株) ② 35.5.2~36.3.31 〔目 的〕低エネルギーβ線放射体である気体トリチウムを金属微粒子に吸収固定させ、その比電離能が大なる点を利用して、α線放射体の低廉な代用品としてのトリチウムの実用性を増大させようとする。 〔内 容〕(1)チタン、ジルコニウムなどの水素に対する活性物質の微粒子を製作する。この際にトリチウムが低エネルギーのβ放射体であるので、そのβ線束が90%程度透過するように、直径200Å付近の微粒子を、真空蒸着法を利用して製作するが、この場合の条件について検討する。 49.14Cによる年代決定 ① 理化学研究所 ② 35.7.1~36.3.31 〔目 的〕天然の放射性炭素14Cを利用する年代決定法で問題となっている微量放射能測定の技術、試料自身に起因する不確定性などについて検討を加え、誤差の原因を除去するか、適当な補正を施すことにより年代決定の精度の向上をはかる。 〔内 容〕(1)パックグラウンド計数率を低下させるため、①天然の放射性元素の含有の少ない材料を用いて計数管をつくる。②鉄遮蔽体の遮蔽能力を十分にするとともに中性子に対する遮蔽を考える。 50.60Coのターゲットの試作に関する試験研究 〔目 的〕60Co ターゲット用高純度Co坂村および棒材の製造および加工方法の研究を行ない、純粋な60Coターゲットの製造、加工方法の確立をはかる。 51.柑橘耐寒性、耐病虫性品種の育成に関する研究 ① 静岡県柑橘試験場 ② 35.4.1~36.3.31 〔目 的〕柑橘の品種改良に放射線を利用し、耐寒性、耐病虫性品種を育成するために、最も適当な照射線量、照射穂木・苗木の育苗、耐寒力の判定などについての基礎資料を得る。 〔内 容〕(1)温州みかん青島系を供試材料とし接穂に5~15kr の範囲でγ線を照射し、処理後枳殻台に接木し、活着率・生産量・枝葉の形態等を調査し、生育障害の少ない適正線量を決定する。 52.真珠質分泌の促進に関する研究 ① 静岡県水産試験場 ② 35.7.1~36.3.31 〔目 的〕アコヤ貝に放射線を外部から照射することにより、真珠質の代謝を促進させ、養珠養殖期間の短縮または一定期間で真珠層の厚い真珠をつくるため、適当な照射線量、照射時期についての資料を得る。 〔内 容〕アコヤ貝に挿核後8,10,12月の3回にそれぞれ線量500~8,000レントゲンの範囲で10区に分けて放射線を照射し、一定期間後に真珠を取り出し、直径、重量を測定することにより真珠層の厚さを求め、照射による影響を調べる。 また、放射線照射による真珠層形成促進の機構を知るため、45Ca混入海水中でアコヤ貝を飼育し、カルシウム代謝についても研究する。 |