原 子 力 局

近畿大学の原子炉設置計画について

 近畿大学の原子炉の設置について、昭和35年4月8日、内閣総理大臣あて許可申請があったがその計画の概要は次のとおりである。

1.計画策定の経緯
 同大学は、大正14年創立の大阪専門学校および昭和18年創立の大阪理工科大学を母体として、昭和24年設立されたものであって、理工学部(34年度在籍人員2,471名)を主体とし、薬学部(638名)、農学部(134名)のほか、法学部(907名)および商経学部(1,861名)をもって構成されている。(総人員6,011名)

 今後は、医学部をも設置し、総合大学としての体制を整備する意向であるが、その一環として、昭和36年1月までに、大学に付属原子力研究所を新設して同研究所に教育用原子炉を設置し、その運転管理を行なわしめるとともに、昭和36年度から理工学部に原子力学科を新設する方針をとっている。

2.原子炉の使用目的
 原子力関係技術者の養成を図るため、同大学の学生を主たる対象とする原子力関係教育の用に供することを主目的とする。

 なお、別途、要請に応じ、関西地方の学校関係および産業界にも開放する。

3.原子炉管理室の人員構成
 現在のところ、教授2名、助教授1名、講師4名および助手3名を計画しているが、さらに運転管理補佐員の充足等を考慮している。

4.原子炉および設置場所
 原子炉は、昨年5月東京国際見本市に展示された教育用原子炉(UTR O.1W)で、設置場所は近畿大学付属原子力研究所(大阪府布施市小君江321番地)に予定している。

5.燃  料
 燃料は、90%濃縮ウランを用い、総装荷量は3,168kgである。

6.資金計画
  総建設費約1億2,500万円で、そのうち約8,000万円を大倉商事株式会社から借り受け、残り4,500万円は自己資金および市中銀行融資による予定である。

 なお、運転経常費については年額約1,000万円の支出を予定している。

7.建設計画
 設計および工事方法の認可後、約8ヵ月の建設期間をあて、昭和36年1月からの運転開始を希望している。