原子力委員会日誌

第12回(3.2)〜第19回(3.30)

第12回

〔日  時〕 昭和35年3月2日(木)14.10〜17.00

〔配布資料〕
(1)日本原子力研究所動力試験炉(JPDR)の安全性について(答申)
(2)日本原子力研究所第3号炉(JRR-3)の安全性について(答申)
(3)東海村原子力施設関係連絡会の運営状況
(4)Heads of Contractに関する交渉経緯について
(5)第11回原子力委員会科学者技術者養成訓練専門部会議事録
(6)第18回放射能調査専門部会議事録

〔審議決定および報告事項〕
(1)東海村原子力施設関係連絡会の運営状況について
 標記連絡会の運営状況について報告があり、了承された。

(2)原子力損害賠償保障法案について
 原子力損害賠償保障法案について有沢委員から大蔵事務次官との話合いの結果が報告され、今後の進め方としては、事務局ベースで問題をつめることとなった。

(3)Heads of Contractの交渉経過について
 原電と英国原子力公社の間で交渉中のHeads of Contractの交渉経過が報告され、今後の交渉結果をまって覚書交換の了承を与えることとなった。

(4)JRR-3、JPDRの安全性について
 標記両原子炉の安全性について原子炉安全審査専門部会からの報告書が提出され検討の結果JRR-3については立地条件についての表現を修正することとし、JPDRについては資料公開の可否等を検討することになった。

(5)放射性同位元素の販売に対する考え方
 日本原子力研究所で生産される放射性同位元素の販売について兼重委員から各方面の意見が報告され、今後この問題について事務局で検討することとなった。

第13回

〔日  時〕 昭和35年3月9日(水)14.20〜17.10

〔配布資料〕
(1)日本原子力研究所第3号炉(JRR-3)の安全性について
(2)技術導入について
(3)日本原子力研究所法の一部を改正する法律案に対する付帯決議
(4)原子力委員会設置法の一部を改正する法律案
(5)米国原子力国際協力計画作成に関する資料について

〔審議決定および報告事項〕
(1)JRR-3の安全性について
 資料1のとおり答申することに決定した。

(2)JPDRの契約について
 IGEからの対案について事務局から説明があり、今後の進め方について審議が行なわれ、当分の間は現状のまま進めることとし、保障法案の問題と関連して今後検討することになった。

(3)日本原子力研究所法の一部を改正する法律案に対する付帯決議について
 事務局から衆議院科学技術特別委員会において資料4のとおりの付帯決議が行なわれた旨報告があった。

(4)原子力損害賠償保障法案について
 事務局から大蔵省、自民党などとの折衝の経過が報告された。

(5)原子力委員会設置法の一部を改正する法律案に対する社会党岡議員の修正案について説明があり、原子炉安全審査の今後のあり方等について審議が行なわれ、今後矢木審査部会長に意見を求めて、事務局において対案を作成することになった。

(6)技術導入について
 事務局から原研の技術導入3件についての報告があった。

(7)米国原子力国際協力計画作成に関する資料について
 アメリカ政府からの依頼の内容につき報告があり3月31日を目標に国内調査をまとめてアメリカ大使館に報告書を提出することになった。

(8)自民党財政部会における経過説明について
 自民党財政部会において示された災害補償立法についての大蔵省案および部会における審議状況の報告があった。委員会としては早急に最終的な大蔵省案の提示を求めることにした。

第 14 回(臨)

〔日  時〕 昭和35年3月12日(土)10.30〜11.20

〔審議決定および報告事項〕
(1)原子力損害賠償法案について
 大蔵省主計局の本法案に対する考え方の骨子が事務局から報告され、審議の結果さらに事務折衝を続け、委員会内定案との調整をはかることになった。

 50億円以上の事故が発生したときの国の措置については英国式に準じ、国会の議決によってきめることとし、法律の目的には第3者の保護を入れ、事業者の責任の限度と補償の有限性との関係も明確にすることになった。

第 15 回

〔日  時〕 昭和35年3月16日(水)14.10〜17.20

〔配布資料〕
(1)原子力災害補償法案について
(2)昭和35年度における原子力平和利用研究委託費および原子力平和利用研究費補助金の交付方針(案)
(3)昭和35年度原子力平和利用研究委託費要望課題(案)
(4)IAEAの委託研究契約締結手続に関する件
(5)アリ・サブリ、アラブ連合国務相一行に対する便宜供与方依頼の件
(6)西独外科医の訪日に関する件
(7)AEC Downing氏訪日の件
(8)放同協の要望に対する回答(案)
(9)英国原子力施設法案
(10)原子力委員会設置法の一部を改正する法律案に対する修正案
(11)原子力委員会設置法の一部を改正する法律案に対する修正案(原子力局)

〔審議決定および報告事項〕
(1)議事録の確認
 第13回議事録(3)を「……当分の間は現状のままとし……」と修正の上了承した。

(2)原子力損害賠償保障法案について
 大蔵省主計局法規課の保障法案に対する対案が事務局から提出され、50億円を超える損害についての措置を
 「50億円を超える損害が発生した場合には政府は損害賠償処理に関する措置を定め、これを国会に提出し、その議決を経て原子力事業者に対し、損害賠償を行なうために必要な援助その他の措置を行なうものとする」
 と修正の上了承し、これを案として各方面の意見を求めることとなった。

(3)原子力委員会設置法の改正について
 国会で問題になっている原子力委員会設置法の改正に対する修正案について報告され、委員会としては成行きを見守ることとなった。

(4)IAEAの委託研究契約締結手続について
 標記手続がIAEAから送付されたので関係機関に周知させるとともに、委託研究希望者を募集することとなった。

(5)外人来日について
 アラブ連合共和国国務相一行、西独原子力関係医師および米国AEC safeguard 関係係官の来日について報告された。

(6)昭和35年度研究委託費、補助金の交付方針、要望テーマについて
 標記交付方針については事務局提出原案のうち、2.(イ)から「核融合反応、原子力船、ウラン濃縮、原子力開発推進の基礎となる計算的研究その他」を削除の上了承、要望テーマについては委託費関係の事について原研との関係、大蔵省との交渉が解決されるのを待って決定することとなった。また医学、生物学等の分野の研究を対象とするかどうか今後検討することになった。

第 16 回(臨)

〔日  時〕 昭和35年3月22日(火)23.10〜0.50

〔配布資料〕
(1)原子力災害補償法案について
(2)原子力災害補償制度について

〔審議決定および報告事項〕
(1)原子力災害補償法案について
 大蔵省側の案について事務局から説明が行なわれ50億円以上の場合についての政府の行なう措置に関して審議が行なわれたが結論が得られず、引き続き検討することになった。

第 17 回

〔日  時〕 昭和35年3月23日(水)14.10〜15.30

〔配布資料〕
(1)原子力災害補償法案について
(2)昭和35年度原子力平和利用研究委託費、補助金の要望課題(案)
(3)技術導入について
(4)第12回養成訓練専門部会議事録

〔審議決定および報告事項〕
(1)技術導入について
 ブルックへブン国立研究所のマイルス氏を原研が招聘する件について事務局から報告があり、了承された。

(2)原子力損害賠償保障法案について
 本件についての事務局案(資料1)についての説明と有沢委員、篠原事務次官が通産事務次官と打ち合わせた結果の報告があり、審議が行なわれた。

(3)委託費、補助金の要望テーマについて
 事務局案(資料2)の“農業および生物への利用”を“農業および生物学への利用”と修正し、医学、薬学関係の研究も対象とすることになった。来年度からこのように従来対象としなかった研究分野も取り上げることとしたことなどを学界などに周知させることになった。

第 18 回(臨)

〔日時〕 昭和35年3月26日(土)10.15〜11.20

〔配布資料〕
(1)原子力損害賠償制度の確立について

〔審議決定および報告事項〕
(1)原子力損害賠償制度の確立について
 標記について事務局から案が提出され、4.損害賠償措置のうち(3)を「損害賠償措置は、原子力損害賠償責任保険および政府との補償契約、供託その他これらに相当する措置によっで……」と訂正の上決定した。

 「政府は万一の場合における原子力の核的災害の特異性にかんがみ、原子力委員会の決定を尊重し、すみやかに今国会に法案を提出するものとする」により閣議了解を取り付けることになった。

 なお、5.国の措置のうち(3)にいう「国会の議決を得た権限の範囲内」と 6.国会に対する報告等に規定する国会の承認については、
 「(1)相当規模の原子力損害が発生したときは、政府はその損害の状況および緊急にとった措置を国会に報告するものとする。(2)政府は、(1)の損害に対する政府の処理大綱(新たに法律または予算の形式で国会の議決を要する事項の大綱を含む。)について国会の承認を求めるものとする。(3)政府は、(1)の損害について講じた措置(新たに法律または予算の形式で国会の議決を経た事項を除く。)を国会に報告するものとする。」と了解することとなった。

第 19 回

〔日時〕 昭和35年3月30日(水)14.15〜16.20

〔配布資料〕
(1)昭和35年度原子力開発利用基本計画(案)
(2)昭和35年度核原料物質探鉱計画(案)
(3)科学技術庁告示第17号
(4)放射線化学懇談会構成員の補充および追加について

〔審議決定および報告事項〕
(1)放射線化学懇談会構成員の補充および追加について
  事務局から資料4について説明があり、原案どおり了承された。

(2)原子炉運転主任技術者口頭試験の受験資格について
  事務局から資料3のとおり告示した旨報告があり了承された。

(3)米国AEC査察官の来日について
  現在までのダウニング氏の査察の経過について事務局から報告があった。

(4)昭和35年度核原料物質探鉱計画について
  事務局から資料2によって通産省鉱山局、地質調査所と協議を行なっている旨の報告があり、了承された。

(5)昭和35年度原子力開発利用基本計画について
  資料1について検討し、修正すべき点が摘出され、今後引き続き審議することになった。
  長期計画の改訂および施設周辺整備を独立項目として追加することになった。