原子炉等規制法施行令の基準に関する運用規程

 本規程は、本年1月1日から施行された「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」および同法施行令の内部運用基準として、原子力委員会の意見を聞いて、科学技術庁長官が制定したものである。以下、簡単に各項について説明する。

 第1項 損害賠償措置として供託することができる有価証券は、国債、地方債のほか、内閣総理大臣が確実と認める社債その他の有価証券であるが、本項は、社債その他の有価証券について規定したものである。本項を規定するにあたっては、供託関係の最近の立法例である宅地建物取引業法施行規則および旅客あっせん業法施行規則等を参考にした。

 第2項 供託有価証券の評価については、割引の方法以外の方法により発行された国債については、額面価額によるが、その他の有価証券については、額面価額によることが適当でないので、上記関係法令を参考にしてその評価額について規定したものである。

 第3項 損害賠償措置としての原子力損害賠償責任保険契約は、内閣総理大臣が適当と認めるものでなければならないが、本項は、その基準について規定したものである。

 保険業法第1条の免許を受けた原子力損害賠償責任保険事業は、現在では、さる2月29日に大蔵大臣の免許を受けた損保20社の保険事業があるのみであるが、この普通保険約款に、風水災危険担保特約条項を付して締結したものを適当と認めることとした。ただし、保険金額7億5,000万円以上の保険については、英国の保険市場に再保険しなければならないが、英国市場は、風水災危険担保特約付では、再保険を引き受けないので、かかる保険については、普通保険約款のみによる契約で足りるものとした。なお、特約条項は、このほかに、運送危険担保特約および被保険者拡張特約があるが、これらの特約の有無は、原子炉設置者の自主的な判断にまつべきものとし、特に規定しなかった。

核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律施行令
第5条の3の損害賠償措置の基準に関する運用規程

1 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律施行令第5条の3に規定する内閣総理大臣が確実と認める社債その他の有価証券は、次のとおりとする。
(1)鉄道債券
(2)電信電話債券
(3)公営企業債券
(4)北海道東北開発債券
(5)道路債券
(6)住宅債券
(7)電源開発株式会社社債
(8)日本航空株式会社社債
(9)東北開発債券
(10)興業債券
(11)長期信用債券
(12)日本不動産債券
(13)商工債券
(14)農林債券
(15)勧業債券
(16)東京交通債券
(17)放送債券
(18)前各号に掲げるもののほか、担保附社債信託法(明治38年法律第52号)による担保附社債券及び法令により優先弁済を受ける権利を保証されている社債券(自己の社債券及び商法(明治32年法律第48号)による整理開始の命令を受け、整理終結の決定の確定がない会社同法による特別清算開始の命令を受け、特別清算終結の決定の確定がない会社、破産法(大正11年法律第71号)による破産の宣告を受け、破産終結の決定若しくは破産廃止の決定の確定がない会社、和議法(大正11年法律第72号)による和議開始の決定を受け、和議認可の決定の確定がない会社又は会社更生法(昭和27年法律第172号)による更生手続開始の決定を受け、更生手続終結の決定若しくは更生手続廃止の決定の確定がない会社が発行した社債券を除く。)

2 同条に規定する内閣総理大臣の評価した価額は、次のとおりとする。ただし、時価がこれを下まわる場合は、時価によるものとする。
(1)割引の方法により発行した国債については、明治41年勅令第287号による価額

(2)地方債又は、政府の保証契約に基いて発行された社債その他の有価証券については、その額面の100分の90

(3)前号以外の社債その他の有価証券については、その額面の100分の80

3 同条に規定する内閣総理大臣の適当と認める原子力損害賠償責任保険契約は次のとおりとする。

 保険業法第1条の免許を受けた原子力損害賠償責任保険事業の普通保険約款及び風水災拡張担保特約により締結された契約。ただし、再保険の関係で風水災拡張担保特約を付しえないときは、普通保険約款による契約