原子力委員会専門部会の審議状況

核燃料経済専門部会

 策15回(1月19日(火)14.00〜17.00)

配布資料
1.Puリサイクルの経済性の考え方

議事概要
1.燃料費の検討方針について
これまでに行なったworking groupの試算結果を検討し、今後の検討方針について次の点を決めた。

i.次回には、原電の炉を対象に考えた場合の燃料の(国内)輸送費について、浅田(原電)専門委員から資料を提出していただく。
ii.山本専門委員には、燃料の再処理コストおよび再処理→再使用の段階で工程の short cutによって、どの程度 cost 低下が期待されるかを検討していただく。
iii.Puリサイクルの核的な問題が大きな前提となっているので、再処理費や輸送費の検討ばかりでなく、核計算も検討の要がある。

2.Puリサイクルの経済性の考え方について資料1.を金川氏に説明していただき、濃縮費が相違するとworking groupの試算結果が変ってくることが示された。

3.核燃料および金属材料専門部会は2月なかばの専門部会で核燃料検査技術調査団の報告を聞く予定であって、当専門部会の専門委員にも当日参加してもらうこととした。

再処理専門部会

 策5回(12月17日(火)14.00〜17.00)

配布資料
1.当面の再処理開発方針について(中間案骨子)(局)
2.充填塔、パルスカラム、ミキサーセトラーおよび遠心抽出機の諸特性(公社)
3.不均質炉燃料の Purex 法による再処理原価と工場規模との関係について(公社)

議事概要
1.第4回議事録の承認
 次のような訂正が行なわれた後全員これを承認した。
○P3 上1〜3行目「Power ReactorReprocessing Plant‥‥‥考慮中である」を「PowerReactor Reprocessing Plantと名付ける Purex法Plant に改装された。」と訂正。
○P4 上6行目「その結果、結論を‥‥‥‥支払う」を「その結果、結論を出す」と訂正。
○P4 上11行目「Unit Cellは‥‥‥必要となる手直しのとき」を「Unit Cellは大きくして手直しのとき」と訂正。
○P5 上8行目「明らかにならない一事項については「考え方」をまとめることにする。」を「明らかにならない点が多いので、その点に関しては「考え方」をまとめることにする」と訂正。

2. 佐藤氏(公社)から資料2、3の説明があった。

3. 局幹事から資料1について説明があり、その中間案骨子について討議が行なわれ、次のような方針で中間報告案を起草することになった。
○ 原案の章の配列順序を1、2、3、4を2、1、4、3とする。
○ 原案第1章の標題を「わが国の原子力開発と再処理」とする。
○ 原案第3章の標題を「わが国に建設するパイロットプラント」とする。
○ 3−2 規模はパイロットプラントの機能を発揮することが第1の要件となるが、結果的には各国のケースを参照して数10t〜100t/yくらいでよかろう。
○ 3−3(1)対象とする燃料は、主として、GEC炉からのものを目榛とするが、その他の型の燃料の処理も可能なように記述する必要がある。
○ 3−3(2)処理方式は溶媒抽出法とする。
○ 3−3(3)保守は直接方式を採用する。
○ 3−5(1)完成時期は41年で、42年から運転開始とする。
○ 3−5(2)設計、建設等に必要な期間を次のとおり明記する。
設計(予備調査を含む) 3年 建設2年 試運転 1年
○ 4の標題を「再処理技術を確立するための基礎研究」とし、研究の現状と今後の研究開発について述べる。

 溶媒抽出法の開発に重点をかけて、原研のHot Cave、公社のP.Pを一連のものとして書く方法もあるが、中間報告としては原案のラインでかくことにする。
○ 5−1 標題を「海外調査」とする。内容は海外技術調査団の派遣を含み、今後パイロットプラントに関する実状を具体的に調査するという点を明らかにする。

原子炉安全審査専門部会

 第21回(12月22日(火)13.30〜17.30)

配布資料
1.第8小委員会報告書(案)
2.日本原子力発電株式会社の原子炉の設置について(答申)
3.中曽根原子力委員長の談話
4.調達庁発表文
5.日立原子炉設置申請書正誤表
6.東芝原子炉設置申請書差し替え

議事概要
 第8小委員会報告

 第8小委員会から原研動力試験炉の安全性についての報告書修正案が提出され、主査渡辺専門委員から修正点に関する説明があり、審議が行なわれた。

 おもな討議は次のとおりである。

1)原子炉の特性

a)RWEはすでに設計を完了、製作に入っているから、GEの技術的経験の一つとみなしうるので文中に残したい。(渡辺)
b)3頁の「安全性の見地からみても」以下次行までの表現は改めたほうがよいのではないか(矢木)
c)6頁の「今後の設計段階において行なう」以下3行目までの表現について、計算、実験を併用して核特性を確認するにはどこが主体となるのか。(矢木)
 原研、GEの両者でやることになると思う。(渡辺、事務局)

2)原子炉制御計装
d)8頁「また、この原子炉を自家発電所として電力系統に接続する場合」以下4行目までの表現は改めたい。(渡辺)
e)このような安全系をフェイル・セイフといえるのかどうか。設計上どうして制御棒が上から下へいくようにしないのか。(山田)
 この方式は重力によるものではなく圧縮空気によるものであるが、設計上十分確実に作動するようになっており、フェイル・セイフといえると思う。上から下へ落ちるようにしないのは主として中性子束パターンをよくするためである(加賀山)

3)燃料要素
f)信号が入ってから液体ポイズンが炉心に注入されるまでには数秒を必要とするというが、入りはじめるまでなのか、その効果が現われるまでなのかで相当違うと思う。(山田)
 液体ポイズンは、地震時においては自動的に作動するが、それ以外の場合は手動によって注入を開始する。したがって炉心に注入されるまでに要する数秒というのは、手動に要する時間である。効果が現われるまでには、さらに時間を要するが液体ポイズンの主目的は、コールドの状態でも炉を停止させるということであるから、時間的な問題はない。(加賀山)
g)燃料要素の溶融、または耐食性に対しては、その安定性が強いと表現されているが、一方事故評価のところでは、燃料破損のことも書いてある。この両者の関係については、のちほど中村専門委員(欠席)の意見を伺いたい。(渡辺、事務局)
h)燃料要素が事故時にその内圧のため破壊するような事態が想定できるかどうかについては、さらに十分の検討を重ねたい。原研側の説明では大丈夫であるといっていた。(渡辺)

4)原子炉施設の機械および構造
i)格納容器設計に際して用いた積雪量、雪の密度、台風時における気圧変動、風荷重等の値については、原子炉の設計基準として用いるためにはもっと検討する必要があるのではないか。(小平)

5)放射線障害対策
j)19頁「(2)放射線遮蔽の設計基準」中に遮蔽基準といえないものまで含まれているので表現方法について再検討したい。(渡辺)
k)32頁に「計画被ばく線量12remをこえるとあるが、「計画線量の12レム」は基準専門部会との関係もあり避けたほうがよいのではないか。(矢木)

 第22回(1月20日(水)13.30〜18.00)

配布資料
1.第8小委員会報告書(案)
2.東芝原子炉設置許可申請書に対する追補ならびに訂正印刷物
3.JRR-3の概要とその安全対策
4.核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律施行令の一部を改正する政令
5.原子炉の設置、運転等に関する規則の一部を改正する総理府令

議事概要
1.矢木部会長海外出張のため、前回にあらかじめ了承のあったとおり、杉本専門委員および原研関係の議題に対しては、武田専門委員が部会長代理となり議事が進められた。

2.第11小委員会報告について
 第11小委員会主査竹山専門委員から次のとおり審査の経過報告が行なわれた。

 日立および東芝の設置予定原子炉について、11月に申請予定者から説明を聞いた後、12月には両者の事前審査申請書に基づき、その内容の検討を行なった。東芝からは、数日前に立地関係の資料が提出されたので本日、予定敷地の現地視察を行なった。予定敷地である川崎市大師河原は、羽田空港に近い埋立地で、現在は空地であるが、将来は工場が周辺に建設される予定である。問題は空港に近いこと、付近に石油タンクが設置される予定であること等である。また、地盤が良くないので、基礎工事は慎重にやる必要がある。日立からは、まだ立地関係の資料が提出されていない。

 この後、竹山主査外国出張中の主査代理杉本専門委員から事前審査申請書の審査内容について次のごとき説明があった。

 炉本体については、東芝設置予定のものは常時運転出力 30kW のスイミングプール型で、燃料はアルミニウムと20%濃縮ウランの合金である。

 特色は、当初超過反応度が0.7%で、絶対に即発臨界にならないことである。それ以上のKex を持たせるときは、申請をやりなおすことになっている。燃料はGEに製作させる。日立設置予定の原子炉は、出力100kW、10%濃縮ウランで、問題は燃料を自作することである。

 次いで事務局から第11小委員会に関し、次のごとき説明があった。

 本小委員会に関する原子炉設置許可申請書には、損害賠償措置を付さないと正式申請にならないので、それまでは、形式上予備審査である。正式申請は、今月末に出される予定である。

3.第8小委員会報告について
 第8小委員会主査渡辺専門委員から、報告書(案)について前回の部会審議に基づく報告書(案)の改正点の説明が行なわれた。この後、さらに前回審議未了の部分について、報告書(案)の検討が行なわれたが、そのおもな内容は次のとおりである。

(1)格納容器に対する積雪荷重300kg/m2は、大きすぎると思われるので小平、正野両委員とともに、もう一度検討したい。(竹山)

(2)燃料のピンホールの考え方については、コールダーホール改良型炉の場合のウランーマグノックスとJPDRの酸化ウランージルカロイー2とでは、非常に異なる。ジルカロイー2については、マグノックスの場合のような照射損傷についての報告はない。可能性としては、溶接部にピンホールが残っている場合が考えられるが、この場合でも、これが拡大するとは思われない。また、事故評価における燃料要素の30%破損に関しては、考えられないくらい過大な値であるが、設置計画書に書いてあるので、災害評価にあたってはこの値で検討した。また30%破損は、ピンホールの場合と異なり、事故時の冷却水の激しい流れによる機械的破損も考慮している。(中村)

(3)遮蔽設計として年間 3rem を採用することと、管理基準を年間1.5remにするということとの間に矛盾はないか。内容としてはよいのだが、表現としては問題もあるので、設置計画書の文章を直してもらい、報告書の表現も検討したい。(青木、江藤)

(4)原研敷地外における平常時の放射線管理について、報告書(案)の中では日本原子力研究所、日本原子力発電株式会社および原子燃料公社による3者協議を行なうので、本原子炉による内外被ばく線量の年間 0.15rem は妥当であるとしている。しかし現在、3者間の協議方法等がまだ具体化していない。当専門部会としては、その必要性を認めるが、これは原子力委員会ないし原子力局が検討すべき問題と考え、その含みによって、年間 0.15rem を適当と認めたということで、報告書の文面からは、3者協議の項を削除することにしたい。(武田)

(5)茨城県の衛生部から、東海村における放射線管理のコントロールを行なう組織を作ってほしい旨の要求が再三きているが、厚生省としてもその実現方を原子力局に希望しておきたい。原子炉周辺整備法ができれば、その一環として、やれるようになるだろうが、何か、きっかけだけでもやっておいてもらいたい。(矢野)

(6)気体廃棄物を放射性ガスと表現したことについては、さらに検討する。また固体廃棄物の貯蔵は、具体的には計画書に明記されていないが、永久貯蔵と思われる。(山崎、江藤)

(7)スタック出口の放射性物質の放出量は連続的に放出されないので、濃度の明記はできない。しかし放出量は少ないし、実際にはモニターも行なうので障害はない。スタック出口の放出量と地上での汚染度の相関関係をJRR-2で調べておき、それによって放射性物質を放出してもさしつかえない限度の推定を行ない燃料破損があっても、その限度内でなるべく炉の運転を続けたいという意向である。これは燃料の燃焼度の補償とも関係する。なお、報告書の中の「放出ガスの濃度が高すぎる時は適当に減衰し」の適当という言葉の内容をさらに検討し、訂正したい。(内田、江藤)

(8)原研の炉について、原研がモニターするということについては、実際上、間違いはなかろうが、原子炉周辺整備法実の構想では、公的機関もモニタリングステーションをもって、確認を行なうという考え方で進んでいる。(事務局)

(9)設置場所が同じであるにもかかわらず、災害評価の解析において、コールダーホール改良型炉の場合と大気拡散条件が違っているのは、放射性物質の放出状態が異なるためである。すなわち、コールダーの場合は、事故発生後燃料の酸化が成長するので徐々に放射性物質が放出されるのに対しJPDRでは事故直後に格納容器内に放射性物質が充満し、格納容器の内圧の高い初めの30分〜1時間のうちに、全漏洩量7キュリーの大部分が洩れ出てしまう。したがって、短かい時間における気象の最悪条件が問題となるが、この程度の時間内における風向変動角として、10度をとったものである。(内田、渡辺)

(10)「30%の燃料破損は過大である」という表現は、「十分な安定余裕をもった」というような言い方に改めたい。(中村)

4.JRR-3の安全性の審査について
 JRR-3安全性の審査について事務局から説明が行なわれた。要旨は次のとおりである。JRR-3(国産1号炉)についてはかねてから原子力研究所事業計画に基づいてその設置計画が進められ、建屋関係については、すでに設計および工事方法の認可を受け工事が進んでいる。炉本体については、昨年11月に設計および工事方法の認可申請があり、これに関しては、事務当局において検討を行なっている。原研の炉については、規制法に基づく設置の許可はいらないが、安全性については、審査をすることになっている。今回前述の認可申請に関連して安全対策についての資料が提出されたのでこの取扱い方について、原子力委員会で検討した結果当部会の意見を求めることとなり、1月18日付で、原子力委員長から当部会長あてに依頼がなされたので、その安全性の審査をお願いしたい。この資料は、JPDRの場合と様式が変っており、JRR-2のときと同様式である。

 審査の重点として、安全対策の考え方が、コールダーホール改良型炉、JPDR、その他の炉の審査と矛盾がないかどうかを検討していただきたい。

 このあと、事務局において検討を行なった安全対策書の内容の説明があり、続いて、この炉の審査にあたる第12小委員会の委員として、山崎(主査)、山田、渡辺の3専門委員が選ばれ、了承された。