原子力委員会日誌

第5回(2.3)〜第11回(2.27)

第 5 回

〔日時〕 昭和35年2月3日(水)14.10〜16.50

〔配布資料〕
(1)原子力施設周辺地帯整備法案
(2)コールダーホール改良型原子炉用燃料購入に関する Heads of Contractについて(案)
(3)Heads of Contractの性質について
(4)コールダーホール改良型原子炉用燃料購入覚書交換について
(5)核燃料物質の加工の請負に伴う外国人等の責任の免除等に関する法律施行令

〔審議決定および報告事項〕
(1)Heads of Contractについて
 Heads of Contract の性質については資料3の一部を修正して、委員会の意見とすることが了承され、日本原子力発電(株)が英国原子力公社との間にHeads of Contractを交換することを適当と考えるという主旨の事務局案(資料第2)も字句を一部修正して了承された。
(2)核燃料加工の海外請負に伴う免責に関する法律施行令本件についての案が提出され、了承された。
(3)IAEAの理事会について
 IAEAの理事会の審議結果、特に保障措置について報告があった。
(4)外人の招へいについて
 カナダ AECLのギルバート氏を招へいすることになったが、委員長の招たいにするかどうかは別途に考えることになった。
(5)原子力施設周辺地帯整備法案について
 本件についての素案が資料として提出され、内容の説明、問題点についての審議が行なわれた。今後さらに検討を行なうことになった。

第 6 回

〔日時〕 昭和35年2月10日(水)14.20〜17.25

〔配布資料〕
(1)原子力損害賠償保障法案の問題点について
(2)第10回原子力関係科学者技術者養成訓練専門部会議事録

〔審議決定および報告事項〕
(1)原子力損害賠償保障法案について
 標記法案について各省との折衝により問題となった諸点ならびにこれについての原子力局の対案が報告され、審議の結果、次の議点については結論を得た。

(イ)サプライヤーに対する求償権は故意の場合のみとする。
(ロ)損害賠償処理委員会の性格については行政委員会でも諮問委員会でもよいが、損害があった場合あらかじめ認められた賠償基準により国も保険会社も補償を行なうことが確保されるよう措置すべきである。
(ハ)国家補償については国が補償することを明記すべきで、その限度についてもたとえば500億円程度と規定したほうがよい。ただし補償という文字には必ずしも固執しない。なお500億円の限度を設けることが困難ならば「財政事情の許す範囲内」であっても、これを広義に解することとして了解する。
(ニ)国家補償について限度法とすることは、その期間が10年以上ならば認めてもよい。
なお、その他の問題点については、引き続き検討することになった。

第 7 回

〔日時〕 昭和35年2月17日(水)14.10〜17.15

〔配布資料〕
1.原子力災害補償制度の確立について(案)
2.大蔵省案の問題点
3.保障法案の今後の取扱日程
4.原子力年報
5.Heads of Contract および日英協定について
6.放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律の一部を改正する法律
7.放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律の一部を改正する法律案要綱
8.放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律
9.放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律新旧条文対照表
10.長期基本計画の改訂に関する作業要綱(案)
11.原子力平和利用研究委託費交付についての科学技術庁告示案
12.原子力委員会再処理専門部会第5回議事録
13.原子力損害賠償保障法案について

〔審議決定および報告事項〕
1.原子力年報について
 昭和33〜34年の原子力年報の提出があった。なお委員会終了後新聞発表することになった。
2.放射線障害の防止に関する法律の一部改正について
 改正案が資料として提出され、来週の閣議に提出することが了承された。
3.委託費について
 委託費交付についての追加募集に関しての告示案が提示され、了承された。
4.長期基本計画改訂について
 作業要綱(案)についての説明があり、一部字句を修正し、18日の参与会にはかることとなった。
5.Heads of Contract について
 Heads of Contract と日英協力協定との関係についての英国政府の見解を確認するための外務省に対する折衝依頼案が事務局から提出され、一部字句を修正して了承された。
6.原子力損害賠償保障法案について
 原子力局案についての関係各省の意見が報告され本制度確立についての基本的方針、法案の内容につき審議が行なわれた。できるだけ早く本制度確立についての方針を固め、外部との意見を調整して、3日5日閣議決定を目標に努力することを確認した。なお本件については18日の参与会にもはかって意見をきくことになった。

第 8 回(臨)

〔日時〕 昭和35年2月20日(土)9.10〜11.30

〔配布資料〕
(1)原子力災害補償制度の確立について(案)
〔審議決定および報告事項〕
 原子力損害賠償保障法案について
 事務局から原子力災害補償制度の確立についての委員会決定案が提出され、審議されたが、結論が得られず、引き続き検討することになった。

第 9 回(臨)

〔日時〕 昭和35年2月22日(月)10.10〜12.20

〔配布資料〕
 原子力災害補償制度の確立について(案)

〔審議決定および報告事項〕
(1)原子力災害補償制度の確立について
 事務局から案の提出があり、検討を行なった。本日までに固まった案をもとに、外部との意見調整を行ない、24日の定例会議で決定することになった。

第 10 回

〔日時〕 昭和35年2月24日(水)15.15〜17.30

〔配布資料〕
(1)原子力災害補償制度の確立について(案)
(2)労働省災害補償保険法の一部を改正する法律案
(3)原子力保険事業免許申請書
(4)長期基本計画の改訂に関する作業要領(案)

〔審議決定および報告事項〕
(1)長期基本計画の改訂について
 事務局から長期基本計画の改訂に関する作業要領(案)が提出され、作業の対象に原子力発電を追加修正の上決定した。
(2)原子力損害賠償保障法案について
 原子力災害補償制度確立についての委員会決定案が事務局から提出され、「1.目的の一部を「原子力損害賠償を保障する制度を確立することにより、万一の場合における第三者の保護を図り」と訂正、以下「被害者」とあるのをすべて「第三者」と修正、さらに2−(3)の原子力事業の従業員の業務上の損害については、別に原子力関係の従業員のための災害補償制度確立を図るものとする」とあるを削除、主文に加えることとして内定した。
 なお原子力保険の免責範囲の縮少、保険金支払に関する基準等については今後も引き続き改善、明確化に努めることとなった。

第 11 回(臨)

〔日時〕 昭和35年2年27日(土)10.20〜11.45

〔配布資料〕
 原子力事業者の損害賠償に対する国の補助

〔審議決定および報告事項〕
(1)原子力損害賠償補償法案について
 2月26日原子力委員会と大蔵省幹部との打合せ結果について検討され、国家補償に対する委員会の考え方を審議、今後さらに大蔵省と折衝を続けることとなった。