放射性ストロンチウムの分析法

 

 放射線審議会放射能測定部会に付属する放射能調査測定基準小委員会においては、先に全放射能の測定法として「放射能測定法」の審議制定を行ない、科学技術庁からその発刊が行なわれたが、その後同小委員会は引き続き放射性核種分析法の検討に着手し、その第1歩として「放射性ストロンチウム分析法」の審議を終了した。

 同分析法の内容は次のようである。
  第1章 ストロンチウム89および90の計測基準
  第2章 必要な試薬
  第3章 雨水および落下じん中の放射性ストロンチウムの分析
  第4章 陸水中の放射性ストロンチウムの分析
  第5章 土壤中の放射性ストロンチウムの分析
  第6章 農作物および牛乳中の放射性ストロンチウムの分析
  第7章 骨の放射性ストロンチウムの分析
  第8章 海洋生物中の放射性ストロンチウムの分析
  第9章 人尿中の放射性ストロンチウムの分析

 第1章においては放射能の測定について述べ、第2章では分析に必要な試薬について記してある。第3章以下では各種類別にその分析法を述べてある。試料の形態とその成分が試料の種類により異なっているので、各章の操作は多少違っているが、分析法としては発煙硝酸による沈殿法によっている。

 なお雨水および落下じん、陸水(上水、井水、天水)ではストロンチウム89およびストロンチウム90を、他のものではストロンチウム90のみを対象として考えており、第9章人尿中の放射性ストロンチウムの分析では、アイソトープ取扱上の事故で体内汚染が起こった場合に適用される方法について記してある。