放 医 研 の 動 き


塚本放医研所長帰国

 さる7月14日、ミュンヘンにおける第9回国際放射線医学会総会に出席のため訪欧の途についた塚本放医研所長は独、奥、仏、英、米等各国原子力および最新医療施設を視察、 9月13日朝ハワイ経由日航機で帰国した。

 特に同所長は超高圧放射線治療に関しIAEAでの会議にも出席、その最近の放射線医学の分野における国際的な動向に関する最新の知識は大いに期待されるところであろう。


厚生省との研究者連絡会

 第2回厚生省付属機関−放射線医学総合研究所研究者連絡会は9月30日午後2時半から国立公衆衛生院において開催された。当日厚生省側から各付属試験研究機関の研究者をはじめ大臣官房大熊科学技術参事官ら担当官、また科学技術庁原子力局アイソトープ課の担当官、放医研の関係各研究部長、調査課長等が出席した。

 会議は定刻国立衛生試験所長沢部長司会のもとに進められたが、当日の議題は次のとおりであった。

1.前回からの経過報告

2.今後の会の運営について

3. Prof. Fair (Harvard大学)の来日に際し放射線環境衛生に関する座談会開催案について

4.特別講演「フランスにおける放射線研究」

  国立公衆衛生院労働衛生部広川太力雄

 議題になった今後の会の運営については、いろいろ発言もあったが、前回と同様な意向として当日出席の行政関係者の臨席を今後とも期待し、研究者とともに親陸をはかっていくことにしたいとの声が強かったので、このかたちのまま進めていくことに決定した。

 第3の議題については、放射能と環境衛生、放射性廃棄物の処理等関係テーマについて講演会を催すよう交渉をすすめることとした。

 次に公衆衛生院鈴木部長から公衆衛生院のアイソトープ研究の概要について説明があった。公衆衛生院では食品汚染研究用にトレーサーとして利用しており、その他フォールアウト、X線照射の生体への影響、メタボリズム等の研究がなされている。

 次いで行なわれた広川氏の講演は氏が留学していたフランスサクレーの原子力研究所およびラジウム研究所の概要であったが、同研究所では放射線障害に関して照射量と抗体破壊および骨髄移植の問題を取り上げて研究が進められており、なおまた原子力関係の作業者の管理についてはヘルスフィジシストが大いに活躍しており、一人一人について十分な防護と保障がなされるように、管理機構が完備されているとのことで非常に参考とすべき点の多いことが関心をよんだ。

 障害の問題は極微線量の測定およびそれによる生理的影響の点に関して今後の研究にまつところが多く、放射線管理の問題と合わせて出席者から活発な意見が出され検討された。

 終って公衆衛生院のアイソトープ棟の見学をしたのち散会した。