参与会

第8回

〔日 時〕 昭和34年8月20日(木)14.00から

〔場 所〕 東京都千代田区永田町2の1総理官邸

〔出席者〕 稲生、大屋、高橋、中泉、倉田(代理柴田)、山県、伏見、駒形、三島各参与
中曽根原子力委員長、石川、兼重、菊池各委員
横山政務次官、篠原事務次官、佐々木原子力局長、法貴次長、島村次長、井上(亮)、井上(啓)、鈴木、藤波各課長

〔配布資料〕
1.昭和35年度原子力予算概算総表
2.原子力委具会各専門部会の審議状況
3.核燃料経済専門部会第一次中間報告書
4.日本原子力研究所の水性均質臨界実験の安全性について
5.原子力施設周辺地帯整備懇談会について


1.昭和35年度原子力関係予算案について

 島村次長から資料1に基づいて報告を行なった。

 大屋参与:核燃料特別会計の取扱いがはっきしない。核融合研究の方針はどうか。

 島村次長:米国から受け入れた濃縮ウラン、 Pu等の特殊核物質の所有権は日本政府が持っていなければならない。従来は一般会計に計上していたが金額が増えてきたので特別会計にして出し入れを相殺することとした。35年度は相殺の結果9億円ほどで済むことになる。

 菊池委員:数ヵ月前の核融合専門部会でA、 B両計画を決めた。どこでB計画をやるかは今後決めることとしていたが,学術会議にA、 B両計画とも大学を中心にしてやろうという主張が強くなり、核融合専門部金との相談の結果B計画の予算を原子力予算として要求するのは早いという結論になった。今後の進め方はー秋の学術会議で検討する。

 大屋参与:A計画は文部省を中心に大いにやってほしい。B計画は慎重にやるべきだ。

 伏見参与:学術会議にプラズマ科学研究小委員会を作って検討している。36年度予算から請求したい。

2.専門部会の審議状況および水性均質臨界実験の安全性について

 資料2 「原子力委員会各専門部会の審議状況」、質料4 「原研の水性均質臨界実験の安全性について」を法貴次長から説明した。

3.核燃料経済書門部会第一次中間報告について

 資料3 「核燃料経済専門部会第一次中間報告書」を田宮技官から説明した。

 大屋参与:英国はハーウェルに大きなPuの研究設備を持っている。日本も大きな設備で取りかかる必要がある。

 伏見参与:リサイクルの問題の検討にあたって、特に知りたいという技術的データはどんなものか。

 田宮技官:Puの核的特性、原子炉内での燃料としての働き、Pu冶金の問題等がある。

4.原子力施設周辺地帯整備懇談会について

 島村次長から資料5 「原子力施設周辺地帯整備懇談会について」を説明した。

 中曽根委員長:原子力施設の建設が大規模に行なわれるようになると、周囲に対する安全上の問題あるいは原子力施設を置くのに周囲はどのような環境がよいか、というような問題が起こってくる。災害補償の問題を片づける反面、現在の環境を整えていくことも考えるべきだと思う。できれば次の通常国会に提出したい。

 山県参与:原子力船が来航したとき、一部の開港地のみを指定して開放するという思想がでてくると思われるので、これを頭において考えてほしい。航路を指定したり、陸上設備も指定港には特別のものを考える必要もあろう。

 中曽根委員長:ノーチラスの取扱はどうなっているか。

 山県参与:軍艦を含めて軍用船が外国に入るときには許可制の国と通報のみの国とがある。

 中曽根委員長:原子力船開発問題の検討はどうなっているか。

 山県参与:金勘定からは大型のほうがよいが、災害補償をどうするかの目途がつかなければ小型の国有船が考えられる。国際金利で金が貸してもらえるなら大型タンカーは黒字になる。

 伏見参与:小型観測船は望みはないか。

 山県参与:小型でも20数億円かかる。タンカーは50億円ほどだが、それさえ調達できればあとは楽である。

5.大型発電炉の安全問題に関する公聴会について

 大型発電炉の安全問題に関する公聴会の内容について佐々木局長から説明した。

 大屋参与:コンテナーをつけねばならぬようなら、日本にはあのような大型の原子炉は置けないことになる。安全だということを専門部会で結論を出すか、英国側の保証をとりつけるかしてはっきりさせるのが先決である。

 法貴次長:安全審査専門部会で検討している。コンテナーの要、不要については、緊急停止装置が十分作動するかどうかが重要なカギとなる。