昭和34年1月23日 総理府放射線審議会長 労働大臣 倉 石 忠 雄殿 「電離放射線障害防止規則案」に対する答申 昭和33年6月30日に当審議会に諮問のあった電離放射線障害防止親則(第6次案)については、同月の第1回総会において放射線影響部会及び放射線防護部会にその審議を附託したが、両部会は同年7月14日以来23回にわたり会合を重ね、慎重に審議をしてきたところ、今般原案に対する修正点に関し結論を得たので、当審議会はここに次のとおり答申する。 なお、この答申は、現に当審議会の特別部会において審議中の国際放射線防護委員会の勧告とは切り離してなされるものであり、その結論の如何によってはこの答申の内容にも変更の可能性があり、また、原子炉の事故の場合の措置についてはなお検討の余地があるので、この点について特に留意されたい。 記 1.第2条関係
2.第4条関係 この規則で定める測定義務が、測定請負契約の締結等により担保される場合には、測定器の備付義務を課さないこと。 3.第9条関係 放射性物質の取扱時間によってすべての労働者が1週間に300ミリレムをこえて放射線を受けないことが明らかな場合は、警戒区域を設けないか、又は警戒区域を縮小することができることとすること。 なお、警戒区域の設定にあたっては内部照射をも含めて考えること。 第5条ないし第8条についてもこれに準じて改めること。 4.第14条関係 被ばく管理区域の設定にあたっては、3.の趣旨によること。 5.第15条関係 被ばく線量測定用具を装着しないでもよい場合は、被ばく放射線量が1週間に30ミリレムをこえないことが明らかな場合とすること。 6.第16条関係 汚染管理区域を表面汚染管理区域及び空気汚染管理区域に分け、前者は、別表第一に掲げる汚染限度をこえて汚染されるおそれのある区域とし、後者は、別表第二に掲げる限度の10分の1をこえて汚染された空気を吸入するおそれのある区域とすること。 7.第17条関係 身体表面の放射性同位元素による汚染の除去限度は、手の表面については200マイクロマイクロキュリー、その他の身体表面については、原案の別表第一に掲げる限度の10分の1とすること。 8.第19条関係 ただし書を削除すること。 9.第21条関係 清掃に関する規定は不要であり、放射性同位元素による汚染の検査及び除去を毎月1回行うべき旨の規定を設けること。 10.第22条関係 「種類別に区別しなければならない。」は、「放射性物質以外の物質に用いてはならない。」とすること。 11.葬23条関係 「汚染が拡がらない措置」の例示は削除すること。 12.第24条関係 導管を用いる場合に、その導管の備えるべき要件に関する規定とすること。 13.第25条関係 いわゆる所内運搬及び土中埋没を行う揚合には、容器を用いることを要しないこととすること。 14.第27条関係 エックス線に関する部分については、備付を勧奨する規定に改め、その他の部分については、表を次のように改めること
15.第28条関係 ただし書の規定には、最大許容放射線量をこえないようにして作業を行う者をも含めること。 16.第29条関係 診察又は処置を必要とする労働者に、原案の別表第二に掲げる限度をこえて放射性同位元素により汚染されている空気を吸入した者を含めること。 17.第30条ないし第35条関係
18.第37条関係 第1項第二号の検査は、「末しよう血液中における」ものに限定し、「全血比重及び血しよう比重の検査」は「血球素量の検査」とすること。
放射線審議会 労働基準法に基く、電離放射線障害防止規則案について貴会の意見を問う。 右諮問する。 昭和33年6月30日 労働大臣 倉 石 忠 雄 電離放射線障害防止規則(第6次案) 第1章 総 則 (通則) 第1条 エックス線装置若しくはサイクロトロン、べ―タトロンその他の荷電粒子を加速する装置の使用、若しくは電離放射線(以下「放射線」という。)の発生を伴う検査、エックス線管若しくはケノトロンのガス抜若しくはエックス線の発生を伴う検査又はガンマ線照射装置その他の放射性物質を装備している機器若しくは放射性物質の取扱の業務を行う事業(以下「放射線事業」という。)における労働者の放射線による障害の防止については、労働基準法(昭和22年法律第49号)及びこれに基く他の命令に定めるもののほか、この省令の定めるところによる。 (定義) 第2条 この規則において「放射性物質」とは、放射性同位元素及びその化合物並びにそれらの含有物をいう。ただし、左の各号に該当するものを除く。 一、放射性同位元素が1種類のものにあっては、その放射性同位元素の量が次表以下のもの
二、放射性同位元素が2種類以上のものにあっては、その物質に含まれる前号表の上欄に掲げる放射性同位元素のそれぞれの量の下欄に定める量に対する割合の和が1以下となるもの 2.この規則において「放射線」とは、左に掲げるものをいう。 一、アルファ線、陽子線及び重陽子線 3.この規則において「汚染」とは、放射性同位元素による汚染をいう。 (放射線障害防止の基本原則) 第3条 放射線事業の使用者(以下「使用者」という。)は、労働者が放射線にさらされ又は汚染されることを、できるだけ少くするように努めなければならない。 (測定器の備付) 第4条 使用者は、この省令で定める業務を遂行するため、必要な測定器を備えなければならない。 第2章 被ばくの防止 (区画物等の設立) 第5条 使用者は、エックス線装置を使用する場合には、その装置のエックス線管を装備した部分の上方、下方及び周囲をしやへい壁等のしやへい物、さく等の区画物又は境界線(以下「区画物等」と総称する。)で区画しなければならない。 2.使用者は、前項の場合においては、区画物等で囲まれた区域(以下「警戒区域」という。)の外側における放射線量率を、常時一定の場所に据えつけて使用するものにあっては、8ミリレントゲン毎時、使用のつど据えつけて使用するものにあっては15ミリレントゲン毎時以下にしなければならない。ただし、警戒区域の外側の区域で、その区域における放射線量率が本文で定める率を超えるものに労働者が立ち入るおそれがない場合は、その区域にかかる放射線量率についてはこの限りでない。 第6条 使用者は、ガンマ線照射装置を使用する場合には、その装置の上方、下方及び周囲を区画物等で区画しなければならない。 2.使用者は、前項の場合においては、警戒区域の外側における放射線量率を常時一定の場所に据えつけて使用するものにあっては6ミリレントゲン毎時、使用のつど据えつけて使用するものにあっては15ミリレントゲン毎時以下にしなければならない。 第7条 使用者は、エックス線装置のエックス線の発生を伴う検査又はエックス線管若しくはケノトロンのガス抜若しくはエックス線の発生を伴う検査をする場合には、その装置のエックス線管を装備した部分又はエックス線管若しくはケノトロンの上方、下方及び周囲を区画物等で区画しなければならない。 2.使用者は、前項の場合においては、警戒区域の外側における放射線量率を8ミリレントゲン毎時以下にしなければならない。 第8条 使用者は、サイクロトロン・べ−タトロンその他の荷電粒子を加速する装置の使用又は荷電粒子の加速を伴う検査をする場合には、その装置の上方、下方及び周囲を区画物等で区画しなければならない。 2.使用者は、前項の場合においては、警戒区域の外側における放射線量率を8ミリレム毎時以下にしなければならない。 第9条 使用者は、10ミリキュリー以上の放射性物質を取り扱う場合(第25条第1項の場合を除く。)には、その放射性物質の上方、下方及び周囲を区画物等で区画しなければならない。 2.使用者は、前項の場合においては、警戒区域の外側における放射線量率を6ミリレム毎時以下にしなければならない。 第10条 第5条第2項ただし書の規定は、第6条第2項、第7条第2項、第8条第2項及び前条第2項の場合について準用する。 (警報装置等) 第11条 使用者は、エックス線装置若しくは荷電粒子を加速する装置の制御器若しくはエックス線管若しくはケノトロンのガス抜若しくはエックス線の発生を伴う検査をする装置に電力が供給されていること、ガンマ線照射装置で照射していること又は10ミリキュリー以上の放射性物質を取り扱っていることを明示するために、警戒区域の入口に、警報装置又は標識を設けなければならない。 (機器の標識) 第12条 使用者は、エックス線装置にあっては、そのエックス線管回路最大電圧、荷電粒子を加速する装置にあっては、その種類及び最大エネルギー、ガンマ線照射装置その他の放射性物質を装備している機器にあっては、その種類並びに装備された放射性物質に含まれた放射性同位元素の種類及び量(以下単位はキュリーとする。)を明記した標識を当核装置若しくは機器又はその附近の箇所に掲げなければならない。 (立入制限) 第13条 使用者は、第5条第1項、第6条第1項、第7条第1項、第8条第1項及び第9条第1項の場合には、ただちに、警戒区域の中の労働者をその外に立ち退かせ、かつ、労働者をその区域の中に立ち入らせてはならない。 2.使用者は、汚染された場所で放射線量率が6ミリレム毎時を超えるものを標識によって明示するとともに、その場所から労働者を立ち退かせ、かつ、その場所に労働者を立ち入らせてはならない。 3.前2項の規定は、作業の性質上やむを得ず立ち入ることを要する労働者について、その者の受ける放射線量が、1週間に手、前ぱく、足又は足関節部(以下「手足等」という。)については1,500ミリレム、その他の身体の部分については300ミリレムを超えない措置を講じた場合には、これを適用しない。 (被ばく管理区域の明示) 第14条 使用者は、放射線にさらされる場所で放射線量率が0.6ミリレム毎時を超えるおそれのあるものの区域を、標識によって明示しなければならない。 (被ばく線量測定用具の装着) 第15条 使用者は、前条の規定により明示した区域(以下「被ばく管理区域」という。)の中で就業する労働者のさらされる放射線量(以下「被ばく線量」という。)を測定するために、その者の放射線に最も多くさらされるおそれのある部位(その部位が手、足等である場合にあっては手、足等のほか胸若しくは腹)に、フィルムバッジ、ポケット線量計等の被ばく線量測定用具を装着させなければならない。ただし、1週間の被ばく線量が100ミリレムを超えないことが明らかな作業に従事する者については、この限りでない。 2.前項に規定する労働者は、前項の測定用具を装着しなければならない。 第3章 汚染の防止 (汚染管理区域の明示) 第16条 使用者は、労働者の身体が別表第一に掲げる限度の10分の1を超えて汚染されるおそれのある区域(以下「汚染管理区域」という。)を、標識によって明示しなければならない。 (汚染の除去) 第17条 使用者は、汚染管理区域で労働者に作業を行わせた場合には、その出口等特定の場所において、その身体及び衣服、履物、保護具等身体に装着しているものの汚染の状態を検査しなければならない。 2.使用者は、前項の検査の結果、身体が別表第−に掲げる限度の10分の1、衣服、履物、保護具等身体に装着しているものが別表第一に掲げる限度を超えて汚染されている場合には、次に掲げる措置を講じなければならない。 一、身体が汚染されている場合には、検査の場所に隣接した場所で洗身させること。 二、衣服、履物、保護具等身体に装着しているものが汚染されている場合には、検査の場所で、その衣服、履物又は保護具等身体に装着しているものを脱がせ、又はとりはずさせること。 第18条 使用者は、汚染管理区域から持ち出す物品については、持出の際に前条の検査の場所において、その物品の汚染の状態を検査しなければならない。 2.使用者及び労働者は、前項の検査の結果、当核物品が別表第一に掲げる限度を超えて汚染されている場合には、汚染を除去した後でなければその物品を持ち出してはならない。ただし、汚染が他のものに及ばない措置を講じて汚染を除去するための施設若しくは廃棄の施設又は他の汚染管理区域まで運搬する場合はこの限りでない。 (局所持出装置の設置) 第19条 使用者は、屋内で放射性物質を取り扱うことによって放射性物質のガス、蒸気又は粉じんが発散するおそれのある場合には、局所排出装置又は発散源を密閉する装置を設けて、労働者が常時作業する場所における空気汚染度を別表第二に掲げる限度以下にしなければならない。ただし、その場所が警戒区域の外にあるときは、その場所の放射線量率の6ミリレム毎時に対する割合を1から減じた数を、別表第二に掲げる数値に乗じて得た数値以下にしなければならない。 (飛来防止板の設置) 第20条 使用者は、放射性物質を取り扱うことによってその物質の飛沫又は粉末が飛来するおそれのある場合には、その飛沫又は粉末が労働者の身体又は衣服に付着しないように労働者の前面に飛来防止板を設けなければならない。 (清掃) 第21条 使用者は、屋内で放射性物質を取り扱うことによって汚染されるおそれのある天井、床、周壁及び固定設備を汚染されにくい状態に、その構造及び材質を汚染の除去が容易なものにしなければならない。 2.使用者は、前項に規定する施設の表面の清掃を行う場合には、じんあいの飛散しない方法で行わなければならない。 3.使用者は、前項の清掃を行う場合には、その直前に第1項に規定する施設の表面が汚染されているかどうかを検査し、その表面が汚染されているときは、第23条の規定に準じ汚染を除去した後でなければ、これを行ってはならない。 4.使用者は、第1項に規定する施設については、少くとも毎月1回その表面を清掃しなければならない。 5.使用者は、第2項の規定により清掃を行った場合には、そのつど、清掃に用いた用具が汚染されているかどうかを検査し、その用具が汚染されているときは、その汚染が別表第一に掲げる限度以下になるまでは、これを使用してはならない。 (取扱用具) 第22条 使用者は、放射性物質の取扱に用いるかん子、ピンセット等の用具を放射性物質の種類別に区別しなければならない。 2.使用者は、汚染を容易に除去することができる構造及び材質の用具掛又は置台を備え、これに前項の用具を格納しなければならない。 (局所汚染の除去) 第23条 使用者は、粉状又は液状の放射性物質をこぼす等により局所に汚染が生じた場合には、水で湿らせ、吸取紙で吸い取らせる等その汚染が広がらない措置を講じて、別表第一に掲げる限度以下になるまでその汚染を除去しなければならない。 (排気、排液の処理) 第24条 使用者は、放射性物質を含む排気又は排液をろうえいするおそれのない導管を用いて、排気又は排液を処理するための施設まで導かなければならない。 (容器) 第25条 使用者は、放射性物質又は別表第一に掲げる限度を超えて汚染されたものを貯蔵し、保管し、運搬し又は廃棄する場合には、第18条第2項ただし書の場合を除き容器を用いなければならない。 2.使用者は、前項の容器のうち、放射性物質を貯蔵し、保管し又は運搬するのに用いるものは、放射性物質及びその放射性物質に含まれる放射性同位元素の種類、その放射性同位元素の量並びにその放射性物質の気体、液体又は固体の区別を、汚染されたものを貯蔵し、保管し又は運搬するのに用いるものには、その旨を標示しなければならない。 3.使用者は、放射性物質又は汚染されたものを廃棄するために−時溜めておく容器には、その旨を標示しなければならない。 第4章 測定及び保護具 (測定) 第26条 使用者は、次の各号の−に該当する場合には、それぞれ各号に定めるものを測定し、その結果を記録しなければならない。ただし、測定が不可能又は困難な場合には、計算を行って測定に代えることができる。 一、警戒区域を設定し又は変更した場合及び警戒区域の外側を測定した日から1月を経過した場合には、警戒区域の外側の放射線量率 二、第13条第3項に規定する労働者が警戒区域又は同条第2項の場所に立ち入る場合には、その労働者が立ち入る場合の放射線量率 三、第28条第一号及び第四号前段の場合には、同条第2項の規定により明示した区域の放射線量率 四、第28条第1項第二号、第三号及び第四号後段の場合には、同条第2項の規定により明示した区域の放射線量率、表面汚染度及び空気汚染度 (保護具) 第27条 使用者は、次の表の上欄に掲げる作業に従事する労働者に使用させるために同表の下欄に掲げる保護具を同時に就業する労働者の人数と同数以上備えなければならない。
第5章 緊急措置 (退避及び立入禁止) 第28条 使用者は、次の各号の一に該当する場合には、ただちに、労働者を著しく放射線にさらされ又は汚染されるおそれのある区域から退避させなければならない。 −、第5条乃至第9条の規定により設けられたしやへい壁等のしやへい物が、放射線の照射時において破損し、ただちにはその照射を停止しがたい場合 二、第19条の規定により設けられた局所排出装置又は発散源を密閉する装置が、放射性物質の取扱中、故障、破損等によりその機能を失った場合 三、放射性物質の取扱中、放射性物質が多量にろうえいし、こぼれ又は逸散した場合 四、その他著しく放射線にさらされ又は汚染される不測の事態が生じた場合 2.使用者は、前項の区域を標識によって明示し、かつ、その区域の放射線量率がエックス線については8ミリレントゲン毎時、その他の放射線については6ミリレム毎時以下に又は表面汚染度若しくは空気汚染度が、それぞれ別表第一又は別表第二に掲げる限度以下になるまでは、労働者がその区域に立ち入ることを禁止しなければならない。ただし、特に安全な方法によって、人命救助又は危害の防止に関する作業に従事させる者については、この限りでない。 (診察又は処置) 第29条 使用者は、次の各号の一に該当する労働者に医師の診察又は処置を受けさせなければならない。 一、前条第1項の各号の一に該当する場合において、著しく放射線にさらされ又は汚染された者 二、1週間に受けた放射線量が300ミリレム(放射線を受けた身体の部位が手足等のみの場合には1,500ミリレム)を超えた者 三、放射性物質を飲み込んだ者 四、皮ふが汚染され、かつ、その汚染が容易に除去できない者 五、皮ふのきずが汚染された者 第6章 エックス線装置等の規格 (40キロボルト以上400キロボルト以下のエックス線装置の規格) 第30条 エックス線管回路最大電圧(以下波高値とする。)40キロボルト以上400キロボルト以下のエックス線装置は、次の各号に掲げる規格を具備しなければ、設置してはならない。ただし、研究又は教育のため、使用のつど組み立てるものは、この限りでない。 一、エックス線管は、そのエックス線管から一定の距離における利用線錐以外のエックス線の放射線量率が、医療用以外の用途に使用のつど据え付けて使用するエックス線装置においては別表第三、その他のものにおいては別表第四に掲げる鉛当量のものを透過した利用線錐のその距離における放射線量率以下になるようにしやへいされていること。 二、エックス線管から一定の距離における照射筒壁を透過したエックス線の放射線量率が、医療用以外の用途に使用のつど据え付けて使用するエックス線装置においては別表第三、その他のものにおいては別表第四に掲げる鉛当量のものを透過した利用線錐のその距離における放射線量以下にすることができる照射筒を設けてあること。 三、利用しない軟線を吸収するためのろ過板を設けてあること。 2.使用の目的から照射筒を設けることが困難なエックス線装置においては、前項第二号の規格を具備することを要しない。 (間接撮影に使用することができるエックス線装置の規格) 第31条 間接撮影に使用することができるエックス線装置は、前条に掲げる規格を具備するのほか、利用線錐の底面が螢光板の有効面を超えないものでなければ、設置してはならない。 (透視に使用することができるエックス線装置の規格) 第32条 透視に使用することができるエックス線装置は、第30条に掲げる規格を具備するのほか、次の各号に掲げる規格を具備しなければ、設置してはならない。 一、透視する労働者が、作業位置でエックス線の発生を止め又は利用線錐をしやへいしうること。 二、医療に使用するものにおいては10ミリアンペア以上、その他のものにおいては連続定格の2倍以上の電流が、エックス線管に通じたときに、ただちにエックス線管回路を開放位にする自動装置を設けてあること。 三、しぼりを設けてあること。 四、蛍光板に別表第五に掲げる鉛当量以上の鉛ガラスを付してあること。 五、螢光板の枠に散乱線をしやへいする板を設けてあること。 (400キロボルトを超えるエックス線装置の規格) 第33条 エックス線管回路最大電圧400キロボルトを超えるエックス線装置は、次の各号に掲げる規格を具備しなければ設置してはならない。 −、エックス線管は、エックス線管から一定の距離における利用線錐以外のエックス線の放射線量率が、労働大臣が別に定める鉛当量のものを透過した利用線錐のその距離における放射線量率以下になるようにしやへいされていること。 二、制御器に電力が供給されたときに、警報装置が自動的に作動するようになっていること。 (ガンマ線照射装置の規格) 第34条 ガンマ線照射装置は、次の各号に掲げる規格を具備しなければ、設置してはならない。 −、線源をろうえいし、脱落し、破損し又は磨耗しないようにとり付けることができること。 二、線源の収納容器は、常時一定の場所に据え付けて使用するものにおいては別表第六、使用のつど据え付けて使用するものにおいては別表第七に掲げる鉛当量以上のしやへい能力を有するものであること。 (その他の放射性物質を装備している装置の規格) 第35条 ガンマ線照射装置以外の放射性物質を装備している装置は、線源をろうえいし、脱落し、破損し又は磨耗しないようにとり付けることができるものでなければ、設置してはならない。 第7章 健康診断 (定期の健康診断の回数) 第36条 使用者は、被ばく管理区域又は汚染管理区域の中で常時就業する労働者及び放射性物質のガス、蒸気又は粉じんが発散する屋内又は坑内における作業に常時従事する労働者については、3月に1回以上定期に、医師に健廉診断をさせねばならない。 (健康診断の項目) 第37条 前条の労働者にかかる雇い入れの際及び定期の健廉診断においては、労働安全衛生規則第50条に掲げる項目についての検査又は検診のほか次に掲げる項目についての評価又は検査を行わなければならない。ただし、同規則第50条に掲げる項目についての検査又は検診は、同規則第49条に定める回数を超えて行う健康診断においては省略することができる。 一、被ばく線量又は汚染量に関する評価 二、赤血球及び白血球の数並びに血球像の検査 三、全血比重及び血しよう比重の検査 四、眼の検査(白内障に関するもの) 五、皮ふの検査 2.前項第四号の検査は、医師においてその必要を認めない場合には、省略することができる。 (健康診断に関する記録の作成) 第38条 使用者は、第36条の労働者についての健康診断に関する記録を、様式第一号によって作成しなければならない。 (定期の健康診断の結果に関する統計の報告) 第39条 使用者は、定期の健康診断の結果に関する統計を、そのつど、様式第二によって、所轄労働基準監督署長に報告しなければならない。 (放射線による障害を受けた者又は受けるおそれのある者に対する措置) 第40条 使用者は、第36条の労働者についての健康診断の結果、放射線による障害を受けており又は受けるおそれがあることが判明した者については、その障害が治癒し又はそのおそれがなくなるまで、被ばく時間の短縮、作業方法の変更又は体内若しくは体表面の放射性物質の排除等、その者の健康の保持に必要な措置を講じなければならない。 第8章 雑 則 (明細書の添付) 第41条 使用者は、法第54条第1項の規定により届出をする場合には、労働安全衛生規則第56条第1項の規定により添えるべき書類のほか、様式第三による明細書を添えなければならない。 (緊急措置に関する報告) 第42条 使用者は、第28条各号の一に該当する事態が生じた場合にはただちにその旨を所轄労働基準監督署長に報告しなければならない。 附 則 この省令は、昭和33年 月 日から施行する。 |