放射線審議会のうごき


 昭和33年5月21日法律第162号として公布された「放射線障害防止の技術的基準に関する法律」ならびにこの法律にもとづいて同日政令第135号として公布された「放射線審議会令」にもとづいて総理府に設置された放射線審議会は、昭和33年6月30日第1回の総会を開催したが(本誌第3巻第7号14ページ参照)その後の経過を以下に紹介する。

 第2回総会

 昭和33年11月21日(金)午後2時から東京会館(千代田区丸の内3の14)で開催された。

1.都築会長の開会の挨拶につづいて、鈴木原子力局アイソトープ課長から第1回総会以後の経過報告が あった。

○樋口委員の逝去にともなう後任として塚本氏が委員に任命(33.11.5)された。
○鈴木治氏が専門委員に任命(33.11.11)された。
○運輸大臣の諮問(運搬に従事する者の最大許容週線量)について放射線影響部会の審議にもとづき8月27日付会長から運輸大臣あて答申した。(本誌第3巻第10号24ページ参照)
○労働大臣の諮問(電離放射線障害防止規則案)については放射線影響、放射線防護の両部会の審議を経て、目下合同会で審議中である。

2.ICRPの報告について説明があり、各委員から意見の開陳ならびに質疑応答があった後、新しく部会を設けてこの問題を検討することとなり、各部会から委員および専門委員数名の選出をすることとなった。

3.国際原子力機関で作成したアイソトープ安全取扱基準案について鈴木アイソトープ課長ならびに同基準作成会議に出席した山崎委員からの説明ならびに質疑応答があった後これを放射線防護部会に付託することとした。

4.厚生大臣からの諮問(診療用放射線の防護に関する技術的基準および放射性医薬品製造規則案に規定する許容度)について厚生省田辺委員その他関係者から説明ならびに質疑応答があった後放射線影響部会に付託することとなった。

5.放射線影響部会では今まで村地委員が部会長代理をしていたが、塚本氏の委員就任にあたり塚本委員を部会長に決定した。

6.上記ICRP勧告案検討特別部会の構成について各部会からの選出にもとづき委員9名、専門委員11名、合計20名を決定した。

ICRP勧告案検討特別部会構成員名簿(五十音順)

委員

  青木 敏男  日本原子力研究所保健物理部長
後藤 以紀  電気試験所長
田島 英三  立教大学理学部教授
竹山謙三郎  建築研究所長
塚本 憲甫  放射線医学総合研究所長
中泉 正徳  東京大学名誉教授
広瀬孝六郎  東京大学工学部教授
村地 孝一  立教大学理学部教授

専門委員(○印は今度新たに任命しようとするもの)

伊沢 正実  放射線医学総合研究所室長
井上弥次郎  電気試験所放射線課長
江藤 秀雄  放射線医学総合研究所障害研究部長
木村 資生  国立遺伝学研究所第2研究室長
左合 正雄  東京都立大学助教授
鈴木  正  放射線医学総合研究所室長
田島弥太郎  国立遺伝学研究所形態遺伝部長
長沢 佳熊  国立衛生試験所特殊薬品部長
西垣  晋  農業技術研究所化学部室長
丸山 正倫  原子燃料公社主任研究員
宮永 一郎  日本原子力研究所

 第3回総会

 昭和34年1月23日(金)午後2時から首相官邸(千代田区永田町1番地)で開催された。

1.都築会長の開会の挨拶こ続いて昨年6月放射線影響部会および放射線防護部会に付託した労働大臣からの諮問(電離放射線障害防止規則案)について各部会の結論がまとまった旨各部会長から報告があった。報告は、原案に対する修正箇所について逐条的に行われ、活発な質疑応答があった後おおむね部会報告のとおり決定された。注目される点は、原子炉事故の場合に対処すべき規定が欠けていることが指摘され、現には規定を置かないとしても、十分考慮を払うべき旨を答申中にもりこむべきこととされたことである。

2.昨年12月厚生大臣から諮問され放射線影響部会に付託した「診療用放射線の防護に関する技術的基準」および「放射性医薬品製造規則案に規定する許容度」について、同部会の審議経過が塚本部会長から報告され、同部会の結論のとおり決定された。

3.第2回総会以後の経過について鈴木アイソトープ課長から報告があった。