原子力委員会日誌

(第38回〜第42回)

第38回

〔日 時〕昭和33年10月8日(水)14.10〜15.55

〔議 題〕
(1)原子力災害補償について
(2)原子力平和利用促進同盟の寄付について

〔配布資料〕
(1)原子力災害補償についての基本方針(案)
(2)第2回重水専門部会議事録

審議決定および報告事項

(1)原子力災害補償について
 原子力災害補償について前回の委員会に提出された実の修正案が提出され、原子力災害賠償補償制度の確立ならびに確立にいたるまでの経過措置について了承されたが、国家補償等につき問題があるので、さらに検討することとなった。

(2)原子力平和利用促進同盟の寄付について
 上記同盟から申し出のあった寄付金は核融合懇談会において受領する旨連絡があったので、この線で処理することとした。

第39回

〔日 時〕昭和33年10月15日(水)15.30〜16.40

〔議 題〕
(1)動力炉調査専門部会の設置について
(2)核燃料物質の所有方式について
(3)原子力災害補償についての基本方針
(4)原子力災害補償問題調査員派遣について
(5)東海大学原子炉設置反対期成同盟について
(6)Sir John Cockcroft招待について
(7)核燃料開発について
(8)専門部会委員の変更について

〔配布資料〕
(1)原子力災害補償についての基本方針(案)
(2)3天然ウラン燃料棒のspec.
(3)1.原子力炉調査専門部会(仮称)の設置について(案)
   2.専門部会委員の変更について
(4)原子力災害補償問題調査員派遣要領(案)
(5)重水専門部会中間報告書
(6)「核燃料開発に対する考え方」(案)に関する意見

審議決定および報告事項

(1)動力炉調査専門部会の設置について
 重水型、有機材減速型、増殖炉等の動力炉についての全般的な資料を集め、検討を行う部会を設置することになったが、全委員出席の委員会においてその人選を行うこととした。

(2)核燃料物質の所有方式について
 原子力一般協定を批准するに際して、当分の間核燃料を国有とすることを閣議において確認した旨大臣から報告があった。

(3)原子力災害補償についての基本方針
 前2回に引き続き補償、保険問題につき討議を行い、大蔵省に対しても積極的に折衝することになった。

(4)原子力災害補償問題調査員派遣について
 同問題の実態を調査するため、諸外国へ11月から2ヵ月間、官民からなる調査員を派遣することになった。

(5)東海大学原子炉設置反対期成同盟について
 渋谷区住民有志から成る同期成同盟の有志が約5,890名の設置反対署名簿を持って陳情にきた旨報告があった。

(6)Sir John Cockcroft招待について
 英国原子力公社のCockcroft卿が11月17日から来日する旨報告があり、歓迎を行うよう準備することとした。

(7)核燃料開発について
 人形峠鉱山の近況について報告を行った。

(8)専門部会委員の変更について
 放射能調査専門部会の樋口助弘、大坪藤市、山口正義各委員の転職等により、塚本憲甫、小倉武一、尾村偉久の各氏を委員に任命し、松本政吉原子力船専門部会委員の同部会委員の辞任をそれぞれ承認した。

第40回

〔日 時〕昭和33年10月22日(水)15.40〜18.10

〔議 題〕
(1)専門部会の幹事について
(2)動力炉調査専門部会について
(3)原子力災害補償についての基本方針について
(4)Sir John Cockcroftの来日について
(5)SENN・世界銀行の原子力発電審査について
(6)原子力白書について
(7)海外との情報交換について

〔配布資料〕
(1)昭和32年度原子燃料公社業務報告書
(2)原子力災害補償についての基本方針(案)
(3)動力炉調査専門部会について(案)
(4)原子力災害補償専門部会の設置について(案)
(5)専門部会幹事の変更について(案)

審議決定および報告事項

(1)専門部会の幹事について
 既設専門部会の幹事の異動について配布資料(5)により説明があり了承された。

(2)動力炉調査専門部会について
 前回の委員会において設置が決定された動力炉調査専門部会の構成メンバーについて事務局から案が提出され、委員の追加があり、また担当委員は石川委員とする旨決定された。

(3)原子力災害補償についての基本方針について
 基本方針についての決定は次回に譲ることとし、原子力災害補償専門部会を設置、原子力賠償責任に関する問題、原子力責任保険の問題、その他国家補償等の問題を審議することを決定した。

(4)Sir John Cockcroftの来日について
 Sir John Cockcroft の来日にあたり、天皇との拝謁その他についての手続を進めている旨報告があった。

(5)SENN・世界銀行の原子力発電審査について
 標記審査の調査結果につき、イタリアの原子力関係機関の現状、SENN・世界銀行の審査結果により、米国IGE社のBWRに落札した旨報告があった。

(6)原子力白書について
 原子力白書については早急に取りまとめることとなり、1週間以内に各委員から意見を出すこととなった。

(7)海外との情報交換について
 原子力関係の情報を海外と交換するよう態勢を固めるため、協定締結の必要性の有無等を検討することとなった。

第41回

〔日 時〕昭和33年10月29日(水)14.10〜16.00

〔議 題〕
(1)「原子力災害補償についての基本方針」について
(2)原子力災害補償専門部会専門委員候補について
(3)Sir John Cockcroft の日本滞在日程について
(4)燃料用ウラン購入の諸問題について

〔配布資料〕
(1)原子力災害補償についての基本方針(案)
(2)原子力災害補償専門部会の設置について
(3)原子力災害補償専門部会専門委員候補
(4)原子炉安全審査専門部会第5回議事録
(5)Sir John Cockcroft 日本滞在日程(案)

審議決定および報告事項

(1)「原子力災害補償についての基本方針」について
 原案を一部修正して採択された。

(2)原子力災害補償専門部会専門委員候補について
 原案に委員を追加して採択した。

(3)燃料用ウラン購入の諸問題について
 太田課長から、IAEA事務局長からの日本政府への報告書の説明があった。その要旨は以下のとおり。
 a)供与を申し出た国はすべて入札の権利をもつ。
 b)決定前に日本政府に通報協議する。
 c)燃料の再処理を入札条件に加えれば、入札国を制限することになろう。

第42回

〔日 時〕昭和33年11月5日(水)15.30〜17.00

〔議 題〕
(1)原子炉安全審査専門部会専門委員の追加について
(2)外人の訪日について
(3)井上調査官の視察報告について

〔配布資料〕
(1)原子炉安全審査専門部会専門委員の追加について
(2)Sir John Cockcroft 日程(案)
(3)原子炉安全基準専門部会第4回議事録
(4)核燃料専門部会第2回議事録

審議決定および報告事項

(1)原子炉安全審査専門部会専門委員の追加について
 同部会専門委員に福田節雄、後藤清太郎の2氏を追加することを決定した。

(2)外人の訪日について
 西独バルケ原子力大臣は明年3月8日〜21日訪日の予定、また米国グレアム氏は11月3日米国発訪日する旨それぞれ報告あり。
 Cockcroft 卿の日程について中間案を検討した。

(3)井上調査官の視察報告
 井上調査官からスライドによりアイソトープ視察団の一員として欧米訪問の概要につき報告があった。