原子力委員会

第2回ジュネーブ会議概要

 9月1日から13日まで国際連合主催のもとにスイスのジュネーブにおいて第2回の原子力平和利用国際会議が開催された。さる昭和30年開催の第1回会議が原子力の秘密を大幅に公開し、その後の原子力の発展に大きな役割をはたした事実から今回の会議によせられた各方面からの期待は非常に大きく、世界各国から6,000名の参加者を得て盛大に開催され、有意義のうちに閉幕した。わが国からも52名の代表団が参加し、多大の収穫をもたらすものと期待されている。

第2回ジュネーブ会議概要

9月13日盛会裡に閉幕


 第2回原子力平和利用国際会議すなわちいわゆる第2回ジュネーブ会議は、さる9月1日から13日まで国連主催のもとにスイスのジュネーブのパレ・デ・ナシオンで開催された。この会議には全世界69ヵ国から合計6,000名(うち政府代表約2,400名)が参加し、約2,300篇の論文が提出され、うち600篇余が口頭により発表された。わが国からは前号紹介のように代表団52名(ほかにオブザーバー17名)が参加し、また54篇の論文が提出された。なお、おもな国々からの参加者数は次のとおりである。

 アメリカ 約700名  イタリア 約130名
 イギリス 〃250名  西ドイツ 〃 80名
 フランス 〃250名  カナダ  〃 70名
 ソ  連 〃170名

 また、議長にはフランスのペラン氏(原子力庁長官)、副議長にはインドのバーバ博士ら6名が選任された。
 会議は9月1日午前10時30分スイスのホレンシュタイン大統領の挨拶により開始され、ハマーショルド国連事務総長、ペラン議長、コール国際原子力機関事務局長の演説およびアメリカ、ソ連等6ヵ国の政府代表者からのメッセージの披露があった。
 ついで同日午後2時30分から総合会場において原子動力の将来についての討論が行われ、アメリカ、イギリス、ソ連、フランス、カナダ、西ドイツ、インド、イタリア等の諸国の代表者とともに日本代表によるパネル討論が行われた。この討論においてソ連代表からソ連ではすでに高速増殖炉を運転中であることが発表され、また核融合反応に関する多くの未発表論文が公開された。この討論における各国の報告を総合して、コッククロフト議長は1970年までに世界の原子力発電量は1,500万kWに達するものとみられると述べた。
 第2日目(9月2日)は同じく総合会場で、午前が原子力発電の経験についての討論、午後が核融合反応制御の可能性についての討論が行われた。
 第3日目(9月3日)は総合会場で、午前が保健・安全問題における実地経験ならびにアイソトープ利用の進歩について、午後が発電以外の原子力利用についての報告があり、またこの日から専門部会が開かれ、各会場において論文の発表と討論が行われた。
 以下9月12日まで(9月7日の日曜日は会議なし)会議の中心は五つの会場の専門部会における報告および討論におかれた。この間の総合会場における発表は4日の原子力発電所の建設計画と9日の基礎物理学における最近の発展の二つであった。
 最終日9月13日は午前総合会場で技術者の訓練および供給、近年における国際協力の進展の二つの会議ののち午後0時10分から閉会式が行われ、ベラン議長、パンチ国連事務総長代理のあいさつがあって13日間にわたる会議を終了した。
 また会議と並行して国連主催の展示会(パレ・デ・ナシオン)とジュネーブ市およびスイス政府主催による原子力国際見本市(パレ・デ・イクスポジション)がそれぞれともに8月31日から9月15日まで開催され前者にはわが国を含めて20ヵ国が、後者には12ヵ国が参加した。展示会にはわが国から日本原子力研究所、原子燃料公社、東大生産技術研究所、農林水産技術会議、その他民間企業からの出品があった。