原子力研究用物品の関税免除に関する政令の一部を改正する政令案については、本年初頭から日本原子力産業会議の協力を得て、大蔵省税関部および科学技術庁原子力局において検討中であったが、このほど改正案がまとまり、6月19日次官会議、同月20日閣議成立した。改正のおもな点は後記政令要綱のとおりであり、この改正により33年度中において免税を受ける物品は約1億2千万円、免税額は約2千方円となる見込である。 原子力研究用物品の関税の免除に関する政令の一部を改正する政令要綱 1 最近の原子力研究の進展等に即応し、政府から委託費又は補助金の交付を受けていない民間の原子力研究についても、研究用物品の関税を免除することができることとするとともに、その関税を免除する原子力研究の範囲を若干改める。 2 最近の国産等の状況にかえりみ、免税の必要がなくなった品目を別表から削除し、新たに免税の必要が生じた品目をこれに追加するとともに、一部の品目について仕様の改正を行い、その免税範囲を明確にする。 3 その他原子力研究用物品の免税手続の簡素化を図るとともに、免税物品の用途外使用をしても関税を徴収しない場合について所要の規定の整備を行う。 昭和33年6月25日公布政令第184号 原子力研究用物品の関税の免除に関する政令の一部を改正する政令 内閣は、関税定率法の一部を改正する法律(昭和29年法律第42号)附則第12項及び第13項の規定に基き、この政令を制定する。 一 核燃料物質の精錬及び加工に関する研究 二 原子炉用の重水及び黒鉛の製造に関する研究 三 原子炉の一次冷却系及び制御機構を構成する装置の製作に関する研究 四 超高温プラズマによる核融合反応に関する研究 五 放射線(原子力基本法(昭和30年法律第186号)第3条第五号に規定する放射線をいう。)の利用に関する研究 一 核分裂電離箱 二 電離槽式中性子用サーベーメーター 四 波高分析装置(チャンネル数が30以上のものに限る。) 同表第六号から第十号までを削り、同表第十一号中 「沃化リチウムシンチレーター及びプラスチックシンチレーター」を「(沃化ナトリウムの結晶体の直径が80ミリメートル以上のもの又はウェル型のものに限る。)」に改め、同号を同表第五号とする。 七 ファン・ド・グラーフ型加速装置(加速された粒子のエネルギーが300万電子ボルト以上で、電流が千分の1アンペア以上のものに限る。) 八 バーターニング盤(長さ2メートル以上の棒材の表皮切削をセンターレス式により行うことができるもので、棒材に送りをかけるのみで刃物を回転して切削するものに限る。)及びこれに附属する棒材の自動供給装置 九 タングステンパイプ抵抗式焼結炉(摂氏2,000度以上の温度で核燃料物質の焼結を行うことができるものに限る。) 十 連続式焼結炉(核燃料物質の送入から加熱及び冷却までの操作を連続して行うもので、炉内の温度を自動的に調整することができるものに限る。)及びこれに附属するアンモニア分解ガス発生装置同表第十三号及び第十四号を削り、同表第十五号中「シンチレーションカウンター用」を「陽極が11以上あるもので、その配置がベネシアンブラインド型」に改め、同号を同表第十一号とする。 十三 ウラン及びウラン・アルミニウム合金 十四 重水(純度が100分の99以上のものに限る。) 十五 ナトリウム・カリウム合金 同表第十九号から第二十二号までを削る。 附則 1 この政令は、公布の日から施行する。 2 改正前の原子力研究用物品の関税の免除に関する政令(以下「旧令」という。)第1条に規定する物品に該当する物品で、改正後の原子力研究用物品の関税の免除に関する政令第1条に規定する物品に該当しないものについては、旧令第1条及び第2条の規定は、この政令の施行の日から起算して30日を経過する日までは、なおその効力を有する。 3 この政令の施行前に関税定率法の一部を改正する法律附則第12項の規定により関税免除を受けた物品については、旧令第3条から第5条までの規定は、なおその効力を有する。 〔参照〕 第1条 関税定率法の一部を改正する法律(以下「法」という。)附則第12項の規定により関税を免除する物品は、次に掲げる研究でこれについて政府が委託費又は補助金を交付したものに使用するため輸入する物品で、別表に掲げるもの(以下「原子力研究用物品」という。)に限る。 一 原子炉の設計、築造若しくは運転のための研究又は原子炉用の原材料の製造のための研究 二 核原料物質の開発のための研究又は核燃料物質の生産若しくは再処理のための研究 三 原子炉、核原料物質、核燃料物質又は放射性同位元素(その化合物を含む。)の利用のための研究 四 前3号の研究に伴う放射線障害の防止又は放射性の廃棄物の処理のための研究 五 前各号の研究のため直接使用する装置、機械又は器具の製造のための研究 第2条第2項 前項の申請書には、当該物品が政府から前条各号に掲げる研究について委託費又は補助金の交付を受けて輸入するものである旨の内閣総理大臣の証明書を添附しなければならない。 第2条第3項 原子力研究用物品の輸入申告は、政府から前条各号に掲げる研究について委託費又は補助金の交付を受けた者の名をもってしなければならない。 第5条 原子力研究用物品の関税の免除を受けた者が、その輸入の許可の日から2年以内に、その免除に係る研究を終了したこと等により当該物品をその研究のために必要としなくなった場合において、当該物品を第1条各号に掲げる研究でこれについて政府から委託費若しくは補助金の交付を受けないものの用に自ら供し、又は同条各号に掲げる研究について政府から委託費若しくは補助金の交付を受けている他の者の当該用に供させたときは、法附則第13項ただし書の規定によりその関税を徴収しない。 2 原子力研究用物品の関税の免除を受けた者が当該物品を前項に規定する用に供し、又は供させようとするときは、当該物品について前条の規定により申告する際に、当該物品が同項の規定に該当するものである旨の内閣総理大臣の証明書を同条に規定する税関長に提出しなければならない。 原子力研究用物品の関税の免除に関する政令別表改正新旧対照表 なおウラン精鉱及びウラン化合物については下記の適用を受けるので、政令別表に掲げられていない。 1.ウラン精鉱 第14類 金属鉱及び金属 2.ウラン化合物(酸化物、弗化物、塩類) |