放射性同位元素等による放射線障害の防止に
関する諮問について(答申)

 昭和32年9月17日付32原第721号により当審議会に対して諮問のあった事項のうち、左記の事項について当審議会の意見を別紙のとおり答申する。

  昭和33年3月19日放射線審議会会長

科学技術庁長官殿


1.放射性同位元素等の使用並びに放射性同位元素の詰替、保管、運搬及び廃棄の基準(第15条から第19条まで)
2.放射線の測定に関する基準(第20条)
3.放射線障害を受けた者の発見に関する基準(第23条)
4.放射線障害を受けた者等に対する措置内容(第24条)
5.危険時における措置内容(第33条)

1 放射性同位元素等の使用並びに放射性同位元素
の詰替、保管、運搬及び廃棄の基準

放射性同位元素等の使用並びに放射性同位元素の詰替、保管、運搬及び廃棄の基準は、次のとおりとすることが適当である。

(使用の基準)

1 法第15条に規定する使用の技術上の基準は、次のとおりとする。

一 放射性同位元素、放射性同位元素装備機器及び放射線発生装置(以下「放射性同位元素等」という。)の使用は、使用施設において行うこと。ただし、令第8条第2項に規定する場合には、この限りでない。

二 見学者等放射性同位元素等の使用に従者する者以外の者が使用施設又は使用の場所(以下「使用施設等」という。)に立ち入る場合には、放射性同位元素の使用に従事する者の指示に従わせること。

三 人件の被はく放射線量を、次の措置を講ずることにより、使用施設等に立ち入る者(見学者等一時的に立ち入る者を除く。以下同じ。)にあっては、科学技術庁長官の定める許容週線量(以下「最大許容週線量」という。)、見学者等一時的に立ち入る者にあっては、最大許容週線量の10分の1をこえないようにすること。

イ しやへい壁その他のしやへい物がある場合には、これを使用することにより、放射線のしやへいを行うこと。

ロ 遠隔操作装置、鉗子等を使用することにより、放射性同位元素等と人体との間に適当な距離を設けるか又は人体が放射線に被ばくする時間を短くすること。

四 作業室内の人が常時立ち入る場所における空気中の放射性同位元素の濃度を、次の措置を講ずることにより、最大許容空気中濃度をこえないようにすること。

イ 作業室内の人が常時立ち入る場所における放射性同位元素によって汚染された空気を換気し、又は浄化すること。

ロ 前記イの措置は、換気設備がある場合には、その換気設備を用いることにより行うこと。

ハ 換気設備の修理等最大許容空気中濃度をこえる空気をやむをえず呼吸する場合には、呼吸用保護具を用いること。

五 放射性同位元素を使用し、又は放射線発生装置を使用して放射性同位元素を製造する場合には、作業室及び管理室があるときはその管理室内の壁、床、作業台等人の触れる物の表面の放射性同位元素の濃度が科学技術庁長官が定める許容表面濃度(以下「最大許容表面濃度」という。)をこえないようにすること。

六 作業室においては、作業衣等を着用して作業すること。

七 作業衣等を着用してみだりに作業室から退出しないこと。

八 作業を終了した場合には、人体、作業衣等の表面の放射性同位元素の濃度が最大許容表面濃度をこえているときは、放射性同位元素による汚染を除去し、又は作業衣等を廃棄すること。

九 前号の汚染の除去は、管理室がある場合には、その管理室において行うこと。

十 最大許容表面濃度をこえて放射性同位元素によって汚染された物をみだりに作業室から持ち出さないこと。

十一 放射線監視設備がある場合には、これに標識を付すること。

十二 令第8条第3項及び第4項に規定する場合(工場又は事業所以外の場所において使用する場合に限る。)には、放射線量率が、最大許容週線量の10分の1をこえるおそれのある場所に、境界さくその他人がみだりに立ち入らないようにするための施設を設け、かつ、これに標識を付すること。

2 前項第八号の規定は、令第8条第3項及び第4項に規定する場合には、適用しない。

(詰替の基準)

2 法第16条に規定する詰替の技術上の基準は、次のとおりとする。

一 放射性同位元素の詰替は、使用者にあっては使用施設、販売業者にあっては詰替施設において行うこと。

二 見学者等放射性同位元素の詰替に従事する者以外の者が使用施設又は詰替施設に立ち入る場合には、放射性同位元素の詰替に従事する者の指示に従わせること。

三 人体の被ばく放射線量を、次の措置を講ずることにより、使用施設又は詰替施設に立ち入る者(見学者等一時的に立ち入る者を除く。以下同じ。)にあっては、最大許容週線量、見学者等一時的に立ち入る者にあっては、最大許容週線量の10分の1をこえないようにすること。

イ しやへい壁その他のしやへい物を使用することにより、放射線のしやへいを行うこと。

ロ 遠隔操作装置、鉗子等を使用することにより、放射性同位元素等と人体との間に適当な距離を設けるか又は人体が放射線に被ばくする時間を短くすること。

四 作業室内の人が常時立ち入る場所における空気中の放射性同位元素の濃度を、次の措置を講ずることにより、使用施設又は詰替施設に立ち入る者にあっては、最大許容空気中濃度をこえないようにすること。

イ 作業室内の放射性同位元素によって汚染された空気を換気し、又は浄化すること。

ロ 前号の措置は換気設備がある場合には、その換気設備を用いることにより行うこと。

ハ 換気設備の修理等最大許容空気中濃度をこえる空気をやむをえず呼吸する場合には、呼吸用保護具を用いること。

五 作業室及び管理室があるときはその作業室及び管理室内の壁、床、作業台等人の触れる物の表面の放射性同位元素の濃度が、最大許容表面濃度をこえないようにすること。

六 放射性同位元素を容器等に詰め替える場合において、その容器等の表面が最大許容表面濃度をこえて放射性同位元素によって汚染されているときは、すみやかにその汚染を除去すること。

七 作業衣等を着用して作業すること。

八 作業衣等を着用してみだりに作業室から退出しないこと。

九 作業を終了した場合には、人体、作業衣等の表面の放射性同位元素の濃度が最大許容表面濃度をこえているときは、放射性同位元素による汚染を除去し、又は作業衣等を廃棄すること。

十 前号の汚染の除去は、管理室がある場合には、その管理室において行うこと。

十一 最大許容表面濃度をこえて放射性同位元素によって汚染された物をみだりに作業室から持ち出さないこと。

十二 放射線監視設備がある場合には、これに標識を付すること。

(保管の基準)

3 法第17条に規定する保管の技術上の基準は、次のとおりとする。

一 放射性同位元素の保管は、貯蔵施設において行うこと。

二 見学者等放射性同位元素の保管に従事する者以外の者が貯蔵施設に立ち入る場合には放射性同位元素の保管に従事する者の指示に従わせること。

三 貯蔵施設には、その能力以下の放射性同位元素を貯蔵すること。

四 人体の被ばく放射線量を、次の措置を講ずることにより貯蔵施設に立ち入る者(見学者等一時的に立ち入る者を除く。以下同じ。)にあっては、最大許容週線量、見学者等一時的に立ち入る者にあっては、最大許容週線量の10分の1をこえないようにすること。

イ しやへい壁その他のしやへい物を使用することにより、放射線のしやへいを行うこと。

ロ 遠隔操作装置、鉗子等を使用することにより、人体との間に適当な距離を設けるか又は人体が放射線に被ばくする時間を短くすること。

(運搬の基準)

4 法第18条の規定による運搬の技術上の基準は、次のとおりとする。

一 放射性同位元素を運搬する場合には、次に定めるところにより、容器に入れること。

イ 容器の外における空気を汚染するおそれのある放射性同位元素を入れる容器は、気密な構造とすること。

ロ 液体状の放射性同位元素を入れる容器は、こぼれにくい構造とし、浸透しにくい材料を用いること。

ハ 液体状又は固体状の放射性同位元素を入れた容器で、きれつ、破損等の事故の生ずるおそれのあるものは、吸収材その他その容器内の放射性同位元素による汚染のひろがりを防止することができる材料で包むこと。

二 放射性同位元素を入れた容器は、破損しないように措置すること。

三 遠隔操作装置、鉗子等を使用し、放射性同位元素等と人体との間に適当な距離を設けるか、又は人体が放射線に被ばくする時間を短くすることにより、放射性同位元素の運搬に従事する者の被ばくする放射線量が最大許容週線量をこえないようにすること。

四 放射線のしやへいを次に定めるところにより、行うこと。

イ 容器(容器をこん包した場合においては、そのこん包。以下同じ。)内の放射性同位元素から1メートルの距離において放射線の放射線量率が10ミリレム毎時をこえないようにすること。

ロ 容器の表面の放射線量率が200ミリレム毎時をこえないようにすること。ただし、郵送する場合には、容器の表面の放射線の放射線量率が10ミリレム毎24特をこえないようにすること。

五 容器の表面には、標識を付し、かつ、次の事項を明示すること。

イ 放射性同位元素の種類及び数量

ロ 容器の表面の放射線量率の最大値

ハ 荷送人の氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名

ニ 運撒上の注意事項

2 前項第五号の規定は、放射性同位元素を使用施設内において運搬する場合等これを運搬する時間が極めて短く、かつ、放射線障害の発生するおそれがない場合には、適用しない。

(廃棄の基準)

5 法第19条の規定による廃棄の技術上の基準は、次のとおりとする。

一 見学者等放射性同位元素及び放射性同位元素によって汚染された物の廃棄に従事する者以外の者が廃棄施設に立ち入る場合には、放射性同位元素及び放射性同位元素によって汚染された物の廃棄に従事する者の指示に従わせること。

二 排水設備、焼却炉、保管設備等人の触れる物の表面の放射性同位元素の濃度が最大許容表面濃度をこえないようにすること。

三 作業衣等を着用して作業すること。

四 作業衣等を着用してみだりに作業の場所から退出しないこと。

五 作業を終了した場合には、人体、作業衣等の表面の放射性同位元素の濃度が最大許容表面濃度をこえているときは、放射性同位元素による汚染を除去し、又は作業衣等を廃棄すること。

六 前号の汚染の除去は、使用施設又は詰替施設に管理室がある場合には、その管理室において行うこと。

七 最大許容表面濃度をこえて放射性同位元素によって汚染された物をみだりに作業の場所から持ち出さないこと。

八 液体状の放射性同位元素又は放射性同位元素によって汚染された液を流す場合には、排水設備において排水し、又は浄化すること。

九 前号の浄化は、ろ過、イオン交換樹脂法による吸着、放射線の強さの時間による減衰、多量の水による希釈等の方法により行うこと。

十 排液処理槽があり、かつ、これがふたのできるものであるときは、排液の採取排液中における放射性同位元素の濃度の測定等を行う場合を除き、確実にふたをしておくこと。

十一 令第10条第二号イの放射線監視設備がある場合には、これに標識を付すること。

十二 放射性同位元素によって汚染された物を焼却する場合には、焼却炉において行うこと。

十三 焼却炉の排出口における排気中の放射性同位元素の濃度が最大許容空気中濃度の10分の1をこえるおそれのある場合には、換気設備を用いることにより排気を行うこと。

十四 換気設備の修理等最大許容空気中濃度をこえる空気をやむをえず呼吸する場合には、呼吸用保護具を用いること。

十五 令第10条第四号の規定による放射線監視設備がある場合には、これに標識を付すること。

十六 液体状若しくは固体状の放射性同位元素又は放射性同位元素によって汚染された物を第八号及び第十二号に規定する方法以外の方法で廃棄する場合には、これを令第10条第五号に規定する容器に入れ、かつ、その容器を同号に規定する設備において保管すること。ただし、科学技術庁長官が定める種類及び数量の固体状の放射性同位元素又は科学技術庁長官が定める種類及び数量の放射性同位元素によって汚染された物で固体状のものを廃棄する場合にあっては、土中埋没、固体状の放射性同位元素又は放射性同位元素によって汚染された物で固体状のものを本文の規定により保管することが著しく困難である場合にあっては、海洋投棄をすることができる。

十七 前号の規定により容器に入れる場合には、作業に従事する者の被ばく放射線量が最大許容週線量をこえないようにすること。

十八 第十六号ただし書の規定による土中埋没は、次に定めるところにより、行うこと。

イ 地くずれ及び浸水のおそれの少く、かつ、飲料の用に供する井戸、貯水池、田、畑その他これに類するものに影響を及ぼさない箇所に埋没すること。

ロ 埋没箇所相互間の距離は、10メートル以上とすること。

ハ 埋没箇所は、特に必要がある場合を除き発掘しないこと。

ニ 埋没箇所の周囲には、さくその他人がみだりに立ち入らないようにするための施設を設け、かつ、埋没箇所及びさくその他人がみだりに立ち入らないようにするための施設には、標識を付すること。ただし、最後に埋没をした日から1年を経過した場合には、この限りでない。

十九 第十六号ただし書の規定による海洋投棄は、次に定めるところにより、行うこと。

イ 固体状の放射性同位元素又は放射性同位元素によって汚染された物で固体状のものは、廃棄の際及び廃棄後において破損するおそれがない程度の強度を有し、かつ、これを入れたときの比重が1.2以上である容器に入れること。

ロ 容器は密封し、内容物がこぼれないようにすること。

ハ 投棄する箇所の海洋の探さは、2,000メートル以上であること。

2 放射線の測定に関する基準

 放射線の測定に関する基準は、次のとおりとすることが適当である。

(放射線障害が発生するおそれのある場所等の測定)

6 法第20条第1項の規定による測定、測定の結果の記録及び保存は、次に定めるとおりとする。

一 放射線量率、粒子束密度及び放射性同位元素による汚染の状況(以下「放射線量率等」という。)の測定をする場合には、放射線測定器を用いなければならない。ただし、放射線測定器を用いて測定することが著しく困難である場合には、計算によってこれらの値を算出することができる。

二 前号の測定は、次表の上欄に掲げる項目に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる場所について行うこと。



三 第一号の測定は、1月をこえない期間ごとに1回行うこと。ただし、作業の期間が1月にみたない場合には、その期間中に1回とする。

四 第一号の測定は、放射線量率等を知るために最も適した箇所において行うこと。

五 測定記録は、5年間保存すること。

2 法第20条第2項の規定による測定、測定の結果の記録及び保存は、次のとおりとする。

一 放射線量、粒子束密度の時間積分量及び放射性同位元素による汚染の状況を測定する場合には、放射線測定器又は放射線測定用具を用いること。ただし、人体の被ばく放射線量が最大許容週線量の10分の1をこえるおそれのない場合には、計算によってこれらの値を算出することができる。

二 放射線量及び粒子束密度の時間積分量の測定は、放射線に最も大量に被ばくするおそれのある人体部位(その部位が手、足等である場合には、その部位のほか胸若しくは腹)について行うこと。この場合において放射線測定器又は放射線測定用具を用いるときは、これをその部位又はその部位上の衣服の外面に装着すること。

三 放射性同位元素による汚染の状況の測定は、手、足、衣服の表面等放射性同位元素による汚染のおそれのある部位について行うこと。

四 第二号の測定にあっては、作業中に、前号の測定にあっては使用施設、詰替施設、貯蔵施設又は廃棄施設に立ち入る者が、作業を終了したときに行うこと。

五 測定記録は、測定を行った日から5年を経過した場合には、これを科学技術庁長官が指定する機関に引き渡すことができる。

3 放射線障害を受けた者の発見に関する基準

 放射線障害を受けた者の発見に関する基準は、次のとおりとすることが適当である。

(放射性障害者の発見のための措置)

7 使用者及び販売業者が、法第23条の規定により講じなければならない措置は、次のとおりとする。

一 使用施設、詰替施設、貯蔵施設又は廃棄施設に立ち入る者(見学者等一時的に立ち入る者を除く。)に対し、健康診断を行うこと。

二 健康診断の結果を記録すること。

三 前号の記録を保存すること。ただし、健康診断を行った日から5年を経過した場合において、科学技術庁長官が指定する機関に引き渡すときは、この限りでない。

四 前号の記録の写を健康診断を受けた者に対して、交付すること。

2 前項第一号の健康診断の方法は、問診及び検査又は検診とする。

3 使用施設、詰替施設、貯蔵施設又は廃棄施設に初めて立ち入る者(見学者等一時的に立ち入る者を除く。)に対する問診は、次の事項について行うものとする。

イ 放射線(百万電子ボルト末満のエネルギーを有する電子線及びエックス線を含む。以下本項において同じ。)被ばく歴の有無

ロ 前記イの被ばく歴を有する者については、作業の種類、内容、期間等放射線に被ばくした当時の状況並びに放射線取扱主任者又は放射線障害の防止に関し知識及び経験を有する者により最大許容度をこえて放射線に被ばくし、若しくは被ばくしたおそれがあると判定され、又は医師により放射線障害を受けており、若しくは受けたおそれがあると診断されたことの有無

4 検査又は検診は、次の項目について行うものとする。

イ 皮ふ

ロ 白血球及び赤血球の数並びに血球素量

ハ 末しよう血液像

ニ その他科学技術庁長官が指定する項目

5 第1項第一号の健康診断は、使用施設、詰替施設貯蔵施設又は廃棄施設に初めて立ち入る者(見学者等一時的に立ち入る者を除く。)にあっては、その立ち入る前に、これらの施設に常時立ち入る者にあっては、3月をこえない期間ごとに行わなければならない。

6 前項の規定にかかわらず、第1項第一号に規定する者が、次の一に該当する場合には、遅滞なく、第1項第一号の健康診断を行わなければならない。

イ 放射性同位元素を誤って飲み込んだとき

ロ 放射性同位元素により皮ふが汚染され、その汚染を容易に除去することができないとき

ハ 放射性同位元素により皮ふの創傷面が汚染されたとき

ニ 放射線取扱主任者又は放射線障害の防止に関し知識と経験とを有する者により、最大許容濃度をこえて放射性同位元素により汚染された空気を吸入し、又は吸入したおそれがあると判定されたとき

ホ 放射線取扱主任者又は放射線障害の防止に関し知識と経験とを有する者により、最大許容度をこえて放射線に被ばくし、又は被ばくしたおそれがあると判定されたとき

ヘ 放射線障害を受けたおそれのある自覚症状を訴えたとき

4 放射線障害を受けた者等に対する措置内容

 放射線障害を受けた者等に対する措置内容は、次のとおりとすることが適当である。

(放射線障害を受けた者又は受けたおそれのある者に対する措置)

8 使用者及び販売業者が、法第34条の規定により講じなければならない措置は、次の各号に掲げるものとする。

一 放射線障害又は放射線障害を受けたおそれの程度に応じ、使用施設、詰替施設、貯蔵施設及び廃棄施設に立ち入る時間を短縮し、若しくは立入を禁止し、又は放射線に被ばくするおそれの少い業務へ配置転換すること。

二 使用者又は販売業者の従業者(以下「従業者」という。)で放射線障害を受けた者又は受けたおそれがある等に対し、保健指導を行うこと。

三 従業者で放射線障害を受けたおそれがある者(前条第1項第一号の健康診断を受ける有を除く。)に対し、健康診断を行うこと。

2 前条第1項(第一号を除く。)、第2項、第4項、第5項、第6項(第一号から第五号までを除く。)及び第7項の規定は、前項第三号の健康診断に準用する。

5 危険時における措置内容

 危険時における措置内容は、次のとおりとすることが適当である。

(危険時の措置)

9 使用者及び販売業者並びにこれらの者から運搬を委託された者が、法第33条第1項の規定により講ずる応急の措置は、次のとおりとする。

一 使用施設、詰替施設、貯蔵施設又は廃棄施設に火災が起り又はこれらの施設に延焼するおそれがある場合には、消火又は延焼の防止に努めるとともに消防吏員に直ちに通報すること。

二 放射性同位元素の使用、詰替、廃棄及び運搬並びに放射性同位元素装備機器及び放射線発生装置の使用をすみやかに停止するよう努めること。

三 放射性同位元素及び放射性同位元素装備機器を安全な場所に移す余裕がある場合には、必要に応じてこれを移し、かつ、その場所の周囲には、なわ張り、標識等を設けるとともに見張人をつけ、関係者以外の立入を禁止すること。

四 必要に応じて使用施設、詰替施設、貯蔵施設又は廃棄施設の内部にいる者及び付近にいる者に避難するよう警告すること。

五 放射性同位元素による汚染が生じた場合には、すみやかにそのひろがりの防止及び除去を行うこと。

六 放射線障害を受けた者又は受けたおそれのある者がある場合には、すみやかに救出し、避難させる等必要な措置を講ずること。

七 その他放射線障害を防止するために必要な措置を講ずること。

注1 放射線を放出する同位元素の数量

放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律施行令(昭和33年政令第14号。以下「令」という。)第1条に規定する数量は、次の表の上欄の放射線を放出する同位元素の種類に応じてそれぞれ同表の下欄のとおりとする。


 ただし、右表は、許可に係るものであって、廃棄等の場合には、最大許容濃度の10分の1以上のものが規制されるようにすること。

注2 機器に装備している放射性同位元素の数量令第2条ただし書に規定する放射性同位元素の数量は、1ミリキュリーとする。

注3 主要構造部及び管理等に関する放射性同位元素の種類及び数量令第8条第1項第三号(令第11条において準用する場合を含む。)及び同項第九号(令第11条において準用する場合を除く。)並びに令第9条第三号ただし書に規定する放射性同位元素の種類及び数量は、次の表のとおりとする。


注4 換気設備に関する放射性同位元素の種類及び数量

令第8条第1項第八号(令第11条において準用する場合を含む。)ただし書に規定する放射性同位元素の種類及び数量は、次の表のとおりとする。


注5 土中埋没に関する放射性同位元素の種類及び数量

物理的半減期30日以下の固体状の放射性同位元素を連続する1月間に総量5ミリキュリー以下を廃棄する場合には、土中埋没を行うことができる。ただし、アルファ線を放出する放射性同位元素は、土中埋没を認めない。