原子力委員会の新組織

 前号において紹介したように、藤岡原子力委員会委員は国際原子力機関事務局のアイソトープ部長に就任することとなり、原子力委員会委員を辞任することとなった。この後任として東京大学教授原子核研究所長菊池正士博士(原子力委員会参与)を任命することとなり、原子力委員会設置法(昭和30年12月19日公布法律第188号)第8条第1項の規定に基き、原子力委員会委員に菊池正士を任命する件について国会の同意を求めたが、2月18日衆議院、翌19日参議院の同意を得て、2月20日内閣総理大臣により任命された。前任の藤岡委員は昭和32年7月1日任命(再任)されているので、菊池委員の任期は上記設置法第9条第1項の規定に基き、藤岡委員の残任期間、すなわち昭和35年6月30日までとなる。
 今回の任命により原子力委員会の新しい組織は次のようになった。

委員長  正力 松太郎
     国務大臣、国家公安委員長、科学技術庁長官

委員   石川 一郎  (常勤、任期昭和33年12月31日まで)

委員   有沢 広巳  (常勤、任期昭和35年6月30日まで)

委員   兼重 寛九郎 (非常勤、任期昭和33年12月31日まで)
     東大教授、日本学術会議副会長

委員   菊池 正士 (非常勤、任期昭和35年6月30日まで)
     東大教授、原子核研究所長兼宇宙線観測所長


 なお、同じく2月20日付で辞任発令をみた藤岡前委員は、2月28日羽田発空路ウィーンに向った。

               菊池委員略歴

        明治35年8月25日生
        大正15年3月  東京帝国大学理学部物理学科卒
        昭和9年 9月  大阪大学教授
          28年4月  東京大学教授併任
          30年7月  東京大学教授
                原子核研究所長
          30年9月  東京大学宇宙線観測所長併任
          31年3月  原子力委員会参与