核融合反応懇談会について

 わが国における核融合反応に関する研究は、現在のところまだ初期的な調査研究の段階にあり、また海外における研究の現状に関してもその詳細はほとんど知られていない。しかし核融合反応が持つ莫大な利点および各国の研究状態からみて、わが国においても原子力開発計画の一環として核融合反応研究にも相当の重点を置くべきことは明らかであり、適当な組織、所要予算措置を講じて本格的に核融合反応研究を推進助成することが望まれていた。
 原子力委員会においては第1回核融合反応懇談会を去る2月6日開催し、石川、藤岡、有沢、湯川各原子力委員会委員をはじめ、伏見(阪大)、中村(東大)、駒形、嵯嵯根、杉本(以上原研)、本多(東大)、林(京大)、畑中(天文台)、岡田(阪大)、後藤(電試)の各氏および法貴原子力局次長らか出席し、各機関における研究の現状などについて説明を聴取するとともに今後の研究の進め方について種々の意見交換を行った。
 同懇談会において最も強く要望されたことは、各研究機関の研究情報の交換ということであったが、現在わが国で行われている核融合反応関係の研究は各種研究機関でいろいろの構想で進められているので、これを総括し、研究者相互の連絡を密にして効果的に研究を進めるため、引き続いて懇談会を開催することとし、第2回核融合反応懇談会が10月19日午後1時半から原子力委員会会議室において開催された。
 まず東大理学部宮本梧楼氏から核融合反応の一般的問題と新しいプラズマ・粒子加速機構について一考案が発表され、活発な質疑応答が行われた。ついで東大本多侃士氏のヴェニス放電物理学会出席談があった。
 引き続いて懇談会の今後の運営方針が検討さたが、おもな協議事項は次のとおりである。

(1)本懇談会に会長および幹事を設けることとし、会長に湯川秀樹氏、幹事に嵯嵯根遼吉、菊池正士、伏見康治、早川幸夫の各氏が就任することとなった。

(2)懇談会は開放的な会として広く各分野に呼びかけることとする。

(3)核融合反応は目下のところ決定的に良い方法がないので、可能性のあるものはすべて援助する方針とする。