放射線医学総合研究所の設置に関する国会の承認

 放射線医学総合研究所の敷地については、さきに茨城県那珂郡東海村に設置することに決定され、国会においても承認がなされたのであるが、既報(本誌Vol2.No.10.39ページ)のような経緯で、放射線医学総合研究所においては千葉市黒砂町所在の国有地を代替地として適当と考え、科学技術庁長官に対して再審議を要請してきた。
 科学技術庁においては、この件に関して種々の角度から慎重な検討をかさねた結果、これを適当と考え、閣議において第27臨時国会に次の承認を求める件を提出することを決定した。

地方自治法第156条第6項の規定に基き、放射線医学
総合研究所の設置に関し国会の承認を求めるの件

 科学技術庁設置法(昭和31年法律第49号)第16条の規定に基き置かれる放射線医学総合研究所を茨城県那珂郡東海村に設置することについては、その設置場所を変更する必要を生じたので、あらためて、同研究所を千葉県千葉市に設置することについて、地方自治法第156条第6項の規定に基き、国会の承認を求める。

〔参考〕  地方自治法第156条第6項

 国の地方行政機関(駐在機関を含む。以下本条中これに同じ。)は、国会の承認を経なければ、これを設けてはならない。
 国の地方行政機関の設置及び運営に要する経費は、国においてこれを負担しなければならない。
 本件については11月11日国会両院の本会議において承認され、放射線医学総合研究所はいよいよ正式に千葉市黒砂町に設置されることとなり、急速に建設が進められることとなった。
 なお、放射線医学総合研究所を千葉市に設けることとなった理由は本誌前月号39ページにより明らかであるが、次に同伴に関する提案理由の説明をかかげて御参考に供したい。

地方自治法第156条第6項の規定に基き、放射線医学総合研究所の
設置に関し国会の承認を求めるの件の提案理由説明

 ただ今議題となりました地方自治法第156条第6項の規定に基き、放射線医学総合研究所の設置に関し国会の承認を求めるの件について、その趣旨を御説明いたします。

 放射線医学総合研究所は、原子力の平和利用に伴う放射線障害の防止対策の一環として、放射線障害の予防、診断治療及び放射線の医学的利用に関する調査研究並びに関係技術者の養成訓練を行うことを任務とし、本年7月1日科学技術庁に設けられた附属機関でありまして、今後3ヵ年の間にその整備が図られることになっております。

 本研究所の設置場所につきましては、茨城県那珂郡東海村の国有地約6万1千坪を建設用地に充てることとし、さる5月18日御承認を得たのでありますが、その後原子燃料公社の敷地の入手が困難なため、約3万坪を同公社に割愛し、さらに同公社が将来の拡張計画を考慮して本研究所の建設用地の全面的使用を要望していること、また建設要地が原子燃料公社及び日本原子力研究所に近接する関係上、建設用地における空気中の放射性物質濃度は人体許容量以下ではあるが、本研究所の研究業務遂行のために重要な支障を及ぼすおそれのある旨判明したこと等の情勢の変化によりまして、東海村以外の場所に建設用地を求める必要が生じたのであります。

 右の事情から設置場所につきまして新たに検討いたしました結果、千葉県千葉市の国有地約2万坪を本研究所の建設用地に充てることといたしました。同地は、本研究所の業務、土地の立地条件、建設費用その他から設置場所として適当と思われますので、国家行政組織法第8条第2項の規定により適用される地方自治法第156条第6項の規定に基きまして国会の承認を仰ぎたいと存ずる次第であります。

 以上が本件の趣旨でございます。何とぞ慎重御審議の上御賛成あらんことをお願いいたします。