国際原子力機関第1回総会について

 昭和31年10月23日国際原子力機関憲章が採択され、同月26日わが国もこれに署名したが、同機関の第1回通常総会およびこれに引き続く第1回特別総会が10月1日からウィーンにおいて合計4週間の予定で開催された。

 原子力委員会は、去る8月30日開催の第35回定例会議において主席代表として石川原子力委員会委員を派遣することを決定したが、代表代理在ウィーン駐在公使古内広雄氏以下顧問、随員の正式決定を見、石川主席代表は去る9月25日午後9時代表顧問岸本通智(中部電力取締役)、同浅田忠一(電源開発原子力室付)、同随員井上力(科学技術庁原子力局)氏らとともに羽田発SAS機で出発した。〔注 代表顧問は、上記2氏のほか正井省三(住友化学工業専務取締役)の3氏〕

 通常総会においては理事国10ヵ国の選出が行われ、理事会を成立させた後、引き続く特別総会において理事会により事務局長の任命、予算、新加盟国の承認についての勧告等が行われることとなっている。特別総会の議題としては、そのほか主要委員会の設置、加盟国分担金の割合、総会の議事規則等が予定されている。

 なお、憲章の署名開始と同時に、日本を含む18ヵ国により準備委員会が設置され、第1回総会の準備に当ってきたが、同委員会で「機関の第1年度事業計画及び予算に関する報告書」を作成し、総会に提出することとなっている。同報告書は、第1部−機関の初期計画、第2部−機関の職員編成、第3部−予算にわかれ、機関の初期計画として、研究の奨励および援助、放射性同位元素および放射線源、物質および役務の供与、保障措置、保健、安全と廃棄物処理等の9項目につき種々勧告を行うよう述べている。

 原子力委員会としては、機関の初期計画については、準備委員会の報告に全般的に賛成するが、特に機関による燃料等の供給の確保および条件、保障措置の基準の設定、原子力保険の検討等を強調するよう要望した。