昭和32年度日本原子力研究所予算について

昭和31年6月15日日本原子力研究所が発足して以来1年を経過したが、その間わが国最初の原子炉であるウォーターボイラー型原子炉の建設工事を終り、本年7月下旬には運転が開始され、ファンデグラーフ加速器および各種研究施設の完成とあいまって、本年10月には東海村へ研究態勢を集中して本格的研究に着手する予定である。このような状態への裏付となっている予算を見ると、昨年度の約9億(ほかに債務負担行為約13億)から本年度の約43億(ほかに債務負担行為約15億)へと飛躍的な増加を示しているが次にこの予算の概要を説明する。

1. 一般管理費

 年度末実定員450名、外来研究員50名、合計500名の予算定員を基盤として総額290,239千円であって、昭和31年度末200名定員の予算規模の115,988千円に比較すると約3倍の増加である。その内訳は次のとおりである。

(1)役職員給与(167,787千円)

 年度初め150名、7月、10月におのおの50名を増員して昨年度実在員と合せて450名に要する経費

(2)管理諸費(109,412千円)

 研究成果をあげるため有能な研究員に非常勤で研究してもらうため非常勤研究員の制度を設け、これに要する嘱託手当、さらにはCP−5製作ならびに燃料関係打合せ、国産1号炉設計打合せ、燃料再処理等のための外国出張の旅費ならびに職員の増員にともなう備品、厚生整備に要する経費

(3)交際費(1,600千円)

 役員交際に要する経費

(4)職員訓練費(3,838千円)

 新入職員の研修および外人講師招へい分担金に要する経費

(5)研究委員会費(7,602千円)

 炉本体、制御関係、燃料要素、燃料再処理、原子力船、動力炉等の各委員会に要する経費

2. ラジオアイソトープ研修所費 (44,000千円)

 株式会社科学研究所の土地を借りて305坪の講義室、実験室等を建設し、4週間を1コースとして本年度はとりあえず2コースの研修を行うに要する費用である。

3.試験研究費

 総額1,652,186千円(ほかに債務負担行為949,185千円)で、昨年度の417,089千円(ほかに債務負担行為580,830千円)に比較すると4倍の増加であって、その内訳は次のとおりである。

(1)原子炉購入費(233,389千円)

 ウォーターボイラー型原子炉ならびにCP−5型原子炉購入に要する経費

(2)試験研究費(1,247,983千円)

 ウォーターボイラー型原子炉、CP−5型原子炉等の整備、運転、管理、原子炉開発試験研究、原子核物理研究、計測制御研究、燃料再処理研究、原子燃料研究、原子炉材料研究、廃棄物処理研究、保健物理研究、放射線利用研究、放射線管理等に要する経費

(3)附属施設整備費(132,646千円)

 工作工場、図書室、研究室等の整備に要する経費

(4)研究諸経費(38,167千円)

 研究諸施設の光熱、燃料、その他臨時職員の賃金等に要する経費

4. 建  設  費

 総額2,251,656千円(ほかに債務負担行為520,039千円)で、昨年度の360,777千円(ほかに債務負担行為722,570千円)に比較すると6倍の増加であってその内訳は次のとおりである。

(1)研究所施設建設費(1,255,155千円)

 研究各棟、冶金特別研究室、化工特別研究室、原子炉建家、ファンデグラーフ加速器建家、放射線照射室、工作工場、廃葉物処理場、その他諸施設の建設に要する経費

(2)諸 設 備 費(595,051千円)

 電気設備、ガス設備、暖房設備、電話設備、取水給排水設備、浄水設備等に要する経費

(3)住宅建設費(254,644千円)

 職員および外来者の住宅に要する経費

(4)用地造成費(69,799千円)

 日本原子力研究所内の道路工事、整地および砂止工事に要する経費

(5)用地買収費(19,785千円)

 日本原子力研究所の水戸用地、東海村用地に要する経費

(6)建設業務諸費(35,500千円)

 建設事務に要する経費

(7)建設関係調査費(21,720千円)

  建設調査用器具、土地測量、海底調整に要する経費

  なお昭和32年変予算の内訳は別表のとおりである。

別表

昭和32年度日本原子力研究所予算