昭和32年度原子燃料公社予算・事業計画について

 昭和32年度における原子燃料公社の予算は、第1表のとおり、現金650,872,000円のほか債務負担額427,420,000円が計上されている。これにより前年度に引き続いてウラン鉱の探鉱および開発準備を実施するとともに、新たに選鉱製錬等に関する試験所および製錬中間試験工場を建設し、近く建設を予定されている国産1号原子炉用等燃料の生産技術を確立する。
 以上の事業を実施するため、昭和31年度末公社人員100名に対し、本年度においては第1・4半期50名、第2・4半期以降70名を増員し、年度末約220名の人員配置を予定している。
 事業別計画は次のとおりである。

1. 探 鉱 計 画
 本年度においては、昭和31年度において探鉱を実施した小鴨、人形峠および三吉地区について引き続き主として坑道および試錐により鉱床下部および延長方向の探鉱を実施し、品位および鉱量を算定して将来の開発にそなえることとするが、特に人形峠地区については、現在までの調査結果、かなりの埋蔵量が予想されるので、特に重点をおいて探鉱を実施する。
 このほか、地質調査所が行った基礎調査の結果、新しく企業化調査の必要を生じた地区については、地表調査を主とする探鉱を実施する。
 地区別探鉱計画は第2表のとおりである。

  
  

第1表 昭和32年度原子燃料公社予算

第2表 探鉱計画一覧表

2.開 発 計 画
 前年度に引き続き、有望地区に対し鉱山出願を行い、またできれば、鉱区買収、祖鉱権の設定等を行い、将来の開発にそなえる。

3. 製 錬 計 画
 金属ウラン製錬設備の設計上、運転上の実際的資料の収集および技術の確立を目的として、金属ウラン日産30kgの中間試験工場を建設する。昭和32年度においては精製、還元、溶解施設および付帯施設の一部を完成するとともに、破砕、抽出施設および付帯施設の残部の建設に着手し、昭和33年度初頭にこれを完成する。またこれと並行して、選鉱製錬試験、製品の検定、故障の原因追求、操業方法の改善ならびに鉱石、半製品および製品の分析等、工場の運転上必要不可欠な試験を実施することを目的として試験所を建設するが、その一部については、本年度中に完成し、操業を開始するとともに残部については、昭和33年度初頭完成する予定である。
 なお、原料鉱石はできるたけ国内鉱を使用する計画であるが、とりあえずは精鉱(イエローケーキ)を輸入して、精製以降の工程について試験を実施する予定である。