原子力委員会

原子力委員会の新組織

 岸内閣の改造にともない、国務大臣正力松太郎氏がふたたび第三代目の原子力委員会委員長(科学技術庁長官ならびに国家公安委員長を兼任)に就任した。いうまでもなく正力委員長は初代原子力委員会委員長として、日本原子力研究所、原子燃料公社の設立などわが国における原子力平和利用の基礎をうちたて、日本原子力産業会議設立の提唱を行ってこれが実現をはかり、さらにヒントン卿ら海外原子力関係権威者を招きなどして原子力に対する世の関心を高めたことは、よく知られているところである。

 原子力委員会においては、さきに、6月30日をもって任期の満了した藤岡、有沢両委員が、7月1日付をもって内閣総理大臣により再任され、ここに正力委員長以下、石川、藤岡、有沢の3常勤委員と、非常勤の兼重委員とをもって組織されることとなり、昭和33年度予算、原子力開発利用長期基本計画、海外諸国との一般協定、動力炉の導入計画などの問題を控え、重要な時期にさしかかったわが国原子力政策の企画決定にあたることとなった。

 また、原子力委員会設置法施行令(昭和31年1月24日公布政令第4号)にもとづき、原子力委員会に、参与を置き、会務に参与させることとし、また専門の事項を調査審議させるため、専門委員を置くこととされているが、このたび同施行令の一部を改正する政令(昭和32年6月28日公布政令第160号、60ページ参照)が公布された。すなわち原子力開発の進展にともない関係各省庁との関連事項が増加していく実情に対応して、関係行政機関の職員をも参与、専門委員に任命することとし、連絡の円滑化を目的としたものであって、参与として新たに10名を加え、定員25名とし、また専門委員にも各省の担当者20名を正式メンバーとして加え、定員を50名とするものである。

 また専門委員は、従来動力炉、原子炉材料、放射線の3部門に分れていたが、原子炉材料および放射線の専門委員は、その職務の終了または再編成のために廃止し、新たに原子燃料および放射能調査の両専門委員を置くこととなり、ほぼその人選を終った。したがって、原子力委員会専門委員は動力炉、原子燃料、放射能調査の3部門となり、関係参与を加えて専門部会を組織して職務の遂行にあたることとなった。