昭和32年度原子力関係海外留学生の派遣について

 昭和32年度原子力関係海外留学生の派遣については、1月17日開催の第58回定例原子力委員会において審議の結果、その派遣方針が決定され、またこれに必要な予算の見通しもついたので、原子力局においては下のような「昭和32年度海外留学生派遣方針および選考要領」を発表した。
 すなわち関係官庁、日本原子力研究所、原子燃料公社、のほか今回は特に広く一般民間にも呼びかけて候補者を募集し、書類選考、面接試験、語学審査などの過程を経て、外国受入先と折衝の後、派遣留学生を最終的に決定する予定である。

昭和32年度海外留学生派遣方針

 昭和32年度において原子力技術習得のため海外に派遣する留学生についての方針を次の如く定める。

1.予定人員数および分野

イ 原子力予算によるもの   55名

 (A) 各省庁国家公務員(大学関係を除く)

 (B) 日本原子力研究所関係者

 (C) 原子燃料公社関係者

ロ 原子力予算によらないもののうち外国政府機関ならびにこれに準ずるものに留学を希望するもの      25名

   合  計          80名

2.専門別分類

 イ 原子炉物理             3名

 ロ 原子炉工学             10名

 ハ 資源関係              5名

 ニ 核燃料冶金             8名

 ホ 化学再処理および廃棄物処理 10名

 ヘ 原子炉用材料            5名

 ト 原子炉用機器            10名

 チ 放射線、利用技術         10名

 リ 原子力船舶              2名

 ヌ 障害防止               7名

 ル 原子炉運転技術          10名

    合  計               80名

 註 必要により専門別分類人員は変更することができる。

3.そ  の  他

1.留学生の年令は原則として25〜35才とす。

2.期間は原則として1年とするが、場合によっては短期留学も認める。

3.原子力局予算による昭和31年度留学生のうち、留学期間の延長が必要と認められる場合には本年度留学生に加え、引き続き留学させることとする。

4.各省庁国家公務員で滞在費等先方負担にて専門研究に従事しようとする場合は事情により旅費を支給することができる。

昭和32年度海外留学生選考要領

 昭和32年度において原子力技術習得のため海外に留学を希望する者のうち次の(イ)(ロ)に該当する者の募集は下記の要領によるものとする。

(イ) 原子力予算によるもの

(A) 各省庁国家公務員(大学関係を除く)

(B) 日本原子力研究所関係者

(C) 原子燃料公社関係者

(ロ) 原子力予算によらないもののうち、外国政府機関ならびにこれに準するもの


(1)(イ)の(A)によるものは別に定める専門分野により各省庁において適当な候補者を様式(1)により原子力局に推薦せしめる。

(2)(イ)の(A)以外のものについては、別に定める専門分野により大学関係者は文部省より、日本原子力研究所職員は同所より、原子燃料公社職員は同社より、民間企業関係者は、日本原子力産業会議より、適当な候補者を様式(1)により原子力局あて推薦せしめる。その他のものについては直接原子力局において取り扱う。

(3) 原子力局においては、(1)(2)による候補者について書類選考ならびに面接試験の上外務省語学審査委員会の審査結果を参考にして研究題目ごとに留学生を内定し、受入先への申込その他所要の手続を行う。

(4) (1)(2)による原子力局への推薦の締切は、昭和32年2月15日とする。ただし、以下のものはこの限りではない。

(イ) 第2回コルダーホールリアクターオペレーションスクールならびにハーウェル原子炉学校講習会(6月開催)に参加しようとするもの。

(ロ) 各省庁国家公務員で滞在費等を先方負担で専門的研究に従事しようとするもの。

様式1



   記入上の注意

(1)右肩に所属機関の略称を記入すること。(東大、農林省、原研、東京電力等)

(4)県または市のみを記入すること。

(8),(9),(10)は該当事項を○でかこむこと(10)にその他があれば記入すること。

(12)たとえば工学部応用化学科と記入すること。

(14)主要なものを記入すること。

(18)主要なもののみを記入すること。博士号のあるものは、論文題目と称号を得た年月日を記入すること。

(23)たとえば機器部計測課主任研究員、技術局管理課技術係長、製造部工作課技師と記入すること。

(27)原名の不明なものは日本語で記入すること。

(28)原名の不明なものは日本語で記入すること。全然不明のものは空欄とすること。

(29)たとえば工学部冶金学科1957年秋期コース、1958年春期コース、アルゴンヌ第6期コース等を記入すること。

(31)希望のないときは空欄とすること。

(32)具体的に記入すること。

(34)原子力局予算によるものは原子力局、その他は経費負担者名を記入すること。なお、fellowship 等を得る可能性のあるものは、その旨記入すること。

(35)受入先と具体的に交渉を行っているものは、その旨記入すること。

参  考

(1)留学生受入れの主な外国政府機関

 昭和32年度において受入を予想される外国政府関係研究開発の機関ならびに受入れ数は次のとおりである。

   1 定期訓練コースを有するもの

    1.アルゴンヌ原子炉学校

               第6期    2〜3名

               第7期    2〜3名

    2.オークリッジ、アイソトープ学校

                年間6回  数 名

    3.ハーウェル原子炉学校

              第11期      2名

              第12期      4名

              第13期      8名

    4.ハーウェル、アイソトープ学校

                年間6回  数 名

    5. コールダーホール原子炉運転学校

                年間5回   20名

   2 不定期的に受け入れるもの

       アルゴンヌ国立研究所  (米)  2

       ブルックヘヴン国立研究所(米) 2

       0RINS         (米)     2

       ハーウェル研究所    (英)  2

       サクレ研究所      (仏)   2

       シェラー研究所(ノールウェー)  2

 (2)31年度留学派遣実績

   1 予算実施状況

                 予 算 支 出 残

                 万円  万円  万円

      旅費、滞在費  4,500  4,490     10

      授 業 料    1,620   450  11,700

   2 1)留学生の所属別分類 留学生数

       原子力局   4名(予定1名を含む)

       通商産業省  6名(内特許2)

       農 林 省  3名

       文 部 省  5名

       厚 生 省  2名

       運 輸 省  1名(予定)

       建 設 省  1名

      日本原子力研究所 10名(予定1名を含む)


        計    32名

     2)留学生の派遣先別分類

    留 学 先   留学生数

米 国

 アルゴンヌ原子炉学校      5名(予定3名を含む)

 アルゴンヌ国立研究所      2名

 ブルックヘヴン国立研究所   1名

 米国地質調査所         1名

 農業技術研究所         1名

 コロラド鉱山学校          1名

 ミシガン大学            3名

 M I T                 2名

 ノートルダム大学         2名

 イリノイ大学            1名

 カリフォルニア大学        1名

 ペンシルバニヤ州立大学    1名

 ワシントン大学           1名


   小    計          22名

カ ナ ダ

  オタワ大学            1名

 

英 国

 ハーウェル原子炉学校    3名(この他民間より1)

 ロンドン大学 1名(ハーウェル原子炉学校にも出席)

 バーミンガム大学       2名(内1名は同上)

 オックスフォード大学     2名(内1名は同上)


    小  計         5名(この他民間より1)

ノルウェー

 シェラー研究所        2名

スエーデン

 ノーベル研究所       1名

 放射線医学研究所     1名


    小   計       2名

    合   計       32名

 3)留学生の研究課題別分類

     課  題    留学生数

   原 子 炉 物 理       2名

   中 性 子 実 験       1名

   計 測 制 御         4名

   再処理および廃棄物処理  3名

   冶金および放射線損傷    4名

   機     械          3名

   資 源 探 査         1名

   選     鉱          1名

   電     気          2名

   傷 害 防 止         4名

   アイソトープ農業利用     4名

   耐放射線構造物       1名

   放 射 線 化 学        2名


     計              32名