放射線障害防止法案技術基準検討小委員会の設置

 原子力局においてはかねて放射線による障害を防止するため放射線障害防止法案を検討中であったが、11月上旬、一応その第1次案がまとまり、原子力委員会および同委員会の専門委員会にも中間的に報告がなされた。

 同法案は、放射性物質取扱施設の位置、構造、設備、放射性廃棄物の処理等の技術基準その他の実態的内容の大部分を政令、府令等の下部法令にゆだねており、これらについても、法案とほとんど並行的に作業が進められている。

 しかしながら、高度の技術立法である放射線障害防止法案の政令、府令案等の作成には相当の専門的知識が必要とされるため、原子力局の政令、府令案の作成作業に学識経験者の参加を願い、その意見を原案に反映させることによって原案の技術的正確性を期することとなった。

 すなわち非公式ではあるが放射線障害防止法案技術基準検討小委員会が原子力局に設置されることとなり、委員は審議の段階その他必要に応じて随時委嘱することとし、とりあえず、次の6氏が委嘱された。

立教大学理学部 講師 道家忠義
国立予防衛生研究所
抗生物質部主任
伊沢正実
電気試験所放射線課長 伊藤岳郎
電気試験所放射線課員 森内和之
日本原子力研究所
保険物理研究部員
村主進
株式会社科学研究所研究員 大塚巌
(順不同)


 同委員会の設置については、原子力委員会の専門委員会に法案の第1次案の報告が行われた際、その了承をも得ており、機構的にいえば、専門委員会の下部組織といいうるものである。

 同委員会の実際の活動は、12月4日に第1回の会議を開いたときに始まり、引き続き15日、20日にそれぞれ第2回、第3回の会議を開き、法律の適用範囲その他の技術的基本問題の審議を行い、また法律の適用対象をきめるため、17日には東芝、21日には精工舎およびラジオ東京についてそれぞれ実態調査をも行った。

 原子力局としては、同委員会の審議結果にもとづいて、法案の第2次案を作成し、関係各省との調整をすみやかに行った上、通常国会に同法案を提出する予定である。