国立放射線医学総合研究所設立準備小委員会の審議

 国立放射線医学総合研究所(以下「研究所」という)の構想に関し調査審議するため、原子力委員会に設置された国立放射線医学総合研究所設立準備小委員会(以下「小委員会」という)は、5月11日、同月23日および6月12日の3回にわたり会議を開き、研究所の組織、規模、定員、設置場所、設立年次計画等について審議した。審議状況は、おおむね、次のとおりである。

1 組 織

 研究所は、管理部門としての総務部、研究部門としての物理、化学、生物、遺伝、障害基礎、障害臨床、薬学、環境衛生、診断、治療の各研究部、所内各部の研究を促進するためのセントラルサービス部門としての技術部および放射線医、ヘルスフィジシスト公衆衛生従事者等に対する養成訓練部門としての養成訓練部の合計13部と放射線障害の診断および治療ならびに疾病の診断および治療に際しての放射線の応用を行うための附属病院とをもって構成される。

 各部および病院の組織ならびにおもな業務内容は、第5表のとおりとする。

 なお、附属病院の性格については研究所における研究目的に附随したものとされ、したがって病床数も100床ていどが適当とされた。

2 定 員

 研究所の定員としては、管理部門約100名、研究部門約190名、技術部および養成訓練部約70名、附属病院約60名、計約420名の配置案が事務局から提示され、おおむね了解された。

3 規 模

 施設の規模については、設置場所が未定のため確定的な結論はでなかったが、事務局から、敷地約2〜3万坪、建坪約5,000坪として、施設の構造、設備、予算額等の細目にわたり案が提示され、おおむね承認された。なお、上の予算額は約10億円である。

4 年次計画

 研究所設立の年次計画として、事務局から4ヵ年計画の試案が示され、これに対し管理部門、基礎研究部門を優先的に整備し、附属病院およびベータトロン、中性子発生装置等の特殊機械は最終年次に整備するのが妥当であるとの意見が多かった。

 なお、特に議題とはされなかったが、審議の過程において、研究所の設置場所がその組織、規模等の審議に少なからず影響を及ぼすので、政府において可及的すみやかに決定して欲しい旨の発言が相当あり、また、優秀な要員の確保その他の理由から、設置場所とししては東京が望ましい旨の意見が多かった。

 研究所の構想は、元来日本学術会議の政府にたいする勧告にもとづいて着想されたものであり、また、その後の情勢の変化もあるので、政府はさきに同会議にたいし研究所に関する基本方針について諮問したが、同会議は検討小委員会を設けて数次にわたり審議した結果、近く政府に答申するはこびとなっている。

 原子力局は、小委員会における審議が一応の結論を得たので、これをとりまとめたうえ原子力委員会に報告し、その決定にもとづいて研究所の設立に必要な明年度予算の要求を行うことになっている。

第5表 国立放射線医学総合研究所組織(案)