第2章 国内外の原子力開発利用の状況
3.情報公開と国民の理解増進

(3)国民の理解の増進

 原子力に関する国民の理解を増進させるため,様々な活動が行われている。「草の根」的な広報,体験型の広報をはじめ,インターネットなどの新しい媒体を活用した情報提供を展開するなど,実効性のある事業を体系的に実施していくことが重要である。

 国では,国民の質問などにきめ細かに対応していくため,全国的な活動に加え,立地地域においても施設の必要性,安全性に対する住民の疑問や不安に直接答えるべく,国の担当官や専門家が各地で説明会・座談会を実施するなど,地域の事情に応じた懇切丁寧な広報を心掛けている。

①エネルギーや原子力に関する講師の派遣
5人以上の集まりから依頼があれば,希望テーマに応じて原子力やエネルギーに関する専門家を無料で派遣している。1988年以来続けており,1996年10月末までに約1,440回の派遣を行い,延べ約86,400人の参加を得た。

申込み先:(財)日本原子力文化振興財団 事業部 講師派遣係
〒105  東京都港区新橋1-1-13
TEL 03-3597-8058
FAX 03-3580-8188

②原子力施設の見学会
 国民に実際に原子力開発利用の現場を見ていただくことが,原子力に関する理解を深める上で重要である。国では,20人以上の集まりから要望があれば,原子力施設の見学会を手配しており,1995年度には29回開催され,延べ537人の参加があった。

申込み先:(財)日本原子力文化振興財団 事業部 一般見学会係
〒105  東京都港区新橋1-1-13
TEL 03-3597-8058
FAX 03-3580-8188
③青少年に対する正確な知識普及
 青少年に対する原子力についての正確な知識の普及は,より多くの人々が原子力に対する客観的な判断を持つようになる上でとりわけ重要である。青少年の原子力に関する学習機会を確保するため,各地の科学技術館においても,原子力関連展示の充実や事業者の広報施設における青少年向け展示の充実が図られてきている。1995年12月に東京・新宿にオープンした未来科学技術情報館は開館以来入場者が約7万2千人(1996年12月1日現在)を記録するなど,新しい情報発信源として注目を集めている。

〈未来科学技術情報館〉
開館時間:午前10:30~午後6:30
休館日:第2,第4火曜日(12月29日~1月3日)
場  所:〒163-04
東京都新宿区西新宿2-1-1
新宿三井ビルディング1階
TEL:03-3340-1821
 また,学校教育に原子力を取り上げることの重要性にかんがみ,関係省庁の緊密な連携の下,学校向け副読本の作成,現場のニーズに応じた教師の研修などが行われている。
④原子力の日を記念した活動
 我が国では,広く国民一般の原子力平和利用についての理解と認識を深めることを目的として10月26日を「原子力の日」と定めている。
 この日は,1956年に我が国が国際原子力機関憲章に調印した日であるとともに,日本原子力研究所が1963年に我が国で初めて原子力による発電に成功した日である。この日にあわせ,科学技術庁と通商産業省資源エネルギー庁が共同し,公募により「原子力の日」のポスターを選定しているほか,各地で関係機関による様々な行事が行われており,1996年度の第33回原子力の日については,9月から11月を中心に496件の行事と307件の広報が関係機関により開催されている。
⑤対話集会
 様々な意見を持つグループの主催する集会に国や関係機関の職員を派遣し,原子力政策を説明し,グループの意見,疑問点への回答を行っている。これまでに,大阪,神奈川,長野,東京において合計9回(1996年11月末現在)実施された。
⑥電話,ファクシミリ等による質問への対応
 原子力などに関する質問を電話で受け付ける原子力テレフォン質問箱や,ファクシミリまたは手紙により質問,意見を受け付ける原子力発電目安箱を設け,国民の疑問に個々に回答している。
〈原子力発電目安箱〉
問い合わせ先:通商産業省 資源エネルギー庁
原子力広報推進室内 原子力発電目安箱宛
〒100  東京都千代田区霞ケ関1-3-1
FAX 03-3591-8566
〈原子力テレフォン質問箱〉
問い合わせ先:(財)原子力発電技術機構
TEL 0120-119433(フリーダイヤル)
「原子力なんでも相談室」は平成17年に廃止されております。
受付時間 月曜~金曜10時~12時,13時~17時
(休祝日を除く)

 原子力情報のパソコンネットワークが統合
 電子図書館「げんしろう」
 原子力に関連する情報を様々なかたちで提供し,国民の皆様の疑問に答えるために,以下のようなパソコン通信で情報を提供しています。そして,平成8年10月,この3つの通信ネットのノードを統合し,インターネットでもアクセスできるようになりました。
◎インターネットのアクセスポイント
 http://sta-atm.jst-c.go.jp
①STAビレッジ
 -原子力についてわかりやすい資料と-
 科学技術庁の情報を提供
②原子力百科事典(ATOMICA)
 -一般から専門まで,より詳しい原子力関連情報を提供-
③原子力情報ファイル(NUCLEN)
 -原子力の学術的情報を提供-


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