第2章 新長期計画策定の背景としての内外の原子力開発利用の現状
9.原子力分野の国際協力

(2)近隣アジア諸国及び開発途上国との協力

 我が国は,IAEAの支援の下,「1987年の原子力科学技術に関する研究,開発及び訓練のための地域協力協定(RCA)」の締約国として積極的に広くアジア・太平洋地域諸国との協力を行っており,特にRI・放射線の環境利用,医学・生物利用及び放射線防護強化の3つのプロジェクトを中心に推進している。1994年3月には,インドネシアにおいて第16回RCA政府専門家会合が開催され,9月には,ウィーンにおいてRCA総会が開催された。
 また原子力委員会の主催により,1989年度よりアジア地域原子力協力国際会議が毎年開催され,1994年3月にも第5回会議が東京において開催された。本会議においては,近隣アジア諸国の原子力開発利用及び国際協力の現状について発表が行われ,さらに今後の協力の課題等について参加国間で率直な意見交換がなされた。また,本国際会議で協力分野として合意されている,①研究炉利用,②放射性同位元素(RI)・放射線の医学利用,③RI・放射線の農業利用,及び④パブリック・アクセプタンス,の4分野について,インドネシア,タイ,中国及び日本においてセミナーが開催された。国際会議においては,これらセミナーの結果を踏まえ,具体的な協力の計画及び問題点について積極的な検討が行われた。

 さらに中国との間では,本年4月に日中原子力協力協定の下での協力として,科学技術庁原子力安全局長と中国国家核安全局長との間で,原子力発電所及び研究炉における,運用により発生する低レベル放射性廃棄物の安全規制及び緊急時対応等を含む安全規制に関連する分野に関する情報交換・専門家の交換等の協力取決めを,また,本年5月には資源エネルギー庁長官と中国国家核安全局長との間で,商業用原子力発電所の安全規制に関連する分野に関する情報交換・専門家等の協力取決めを締結し,安全分野における協力を開始した。


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