第9章 核不拡散
2.核不拡散に関する国際的協議

(2)NPT再検討会議と原子力平和利用国連会議

①NPT再検討会議
 「核兵器の不拡散に関する条約」(NPT)第8条3には,この条約の運用を検討するため,発効の5年後に締約国の会議を開催すること,及び,その後5年毎に必要に応じて締約国の過半数が提案する場合には同趣旨の会議を開催することが規定されている。
 この規定を受け,過去1975年,1980年及び1985年と3回のNPT再検討会議が開催されている。
 第3回再検討会議は,1985年8月27日から約4週間にわたり,スイスのジュネーブにおいて開催された。同会議においては,NPTの有効性を再確認し,引き続きNPTに基づく核不拡散体制を維持.強化していく趣旨の「最終宣言」がコンセンサスで採択された。
 この宣言においては,NPTの一層の普遍化,条約に加盟していない非核兵器国における全原子力施設へのIAEA保障措置の適用呼びかけ,核兵器国における保障措置対象施設拡大の方向での検討要請等が言及されている。また,非核兵器国への原子力供給政策の基礎として受領国によるフル・スコープ保障措置の受諾を志向することの必要性が指摘されるとともに,開発途上国への技術協力・援助の強化が求められている。
 第4回再検討会議は1990年8月20日~9月14日の間ジュネーブで開催される予定である。

②原子力平和利用国連会議(PUNE)
 本会議は,1977年の第32回国連総会におけるユーゴスラビアを中心とする非同盟諸国による「経済的社会的発展のための原子力平和利用国連会議」開催提案を発端とするものである。1980年及び1981年の国連総会決議により,原則として1983年に開催することが決定されたが,その後の準備委員会の決定に基づき,1987年3月23日から4月10日にかけてスイスのジュネーブにおいて開催された。同会議には世界106ヵ国,IAEA,OECD/NEAなどの国際機関等が参加し,原子力平和利用における国際協力の原則,国際協力促進のための方法と手段,発電分野および非発電分野における原子力の役割等に関し討議が行われた。同会議においては,国連総会に提出する報告書が全体会議で採択されたほか,原子力分野の国際協力に関する各国の政策・経験・研究成果等に関して詳細な情報交換がなされた。


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