第2章 原子力発電
3 原子力発電所の立地関連状況

(3)原子力発電所の立地促進

 昭和57年4月23日閣議決定された「石油代替エネルギーの供給目標」に示された,昭和65年度における原子力発電の供給目標(設備容量4,600万キロワット)を達成することは容易ではないが,原子力発電のエネルギー供給上の重要性に鑑み,その達成に向けて,環境保全に留意しつつ,原子力発電所の立地に最大限の努力を傾注する必要があり,地域の実情を踏まえつつ,電気事業者はもちろんのこと関係行政機関の一層積極的な取組が強く望まれるところである。

i 広報活動等の実施
 原子力に対する国民の理解を求め,その研究開発利用を一層円滑に推進するため,テレビ,出版物等の活用,講演会,各種セミナーの開催等により広報活動を積極的に推進した。
 また,原子力発電所等の立地を円滑に進めるために立地予定地域のオピニオンリーダーを対象とした原子力講座等を開催するとともに,原子力発電所立地の初期段階における地元住民の理解と協力を得るため,国自らが広報活動を展開する等の施策を講じた。さらに,地方自治体の行う広報活動等への助成を行った。
 また,電源立地調整官等の機能的活動により,原子力発電所の立地に係る地元調整を推進するとともに,運転に入った原子力発電所の立地県については原子力連絡調整官による地元と国との連絡調整を進めている。
 さらに,昭和56年9月及び昭和57年4月の総合エネルギー対策閣僚会議において,要対策重要電源に東通原子力発電所1号機及び伊方発電所3号機を追加し,その立地の促進に努めている。

ii 電源三法の活用
 発電用施設周辺地域整備法等のいわゆる電源三法を活用し,引き続き,原子力発電施設等の周辺住民の福祉の向上等に必要な公共用施設の整備を進めるとともに,施設周辺の環境放射能の監視,温排水の影響調査,防災対策,原子力発電施設等の安全性実証試験等を推進し,原子力発電施設等の立地の円滑化を図った。
 また,昭和56年度からは,新たに次のような施策を推進した。
(i) 原子力発電施設等の周辺地域の住民,企業に対する給付金の交付及び周辺地域における企業導入・産業近代化事業の促進のための「原子力発電施設等周辺地域交付金」及び発電用施設の周辺地域における企業導入・産業近代化事業の促進のための「電力移出県等交付金」からなる「電源立地特別交付金」を創設し,原子力発電施設等の立地施策の強化を図った。
(ii) 既存の制度についても,電源立地促進対策交付金について,同交付金により整備された公共用施設の維持等のためにも供するよう,その使途を拡大するとともに,放射線監視交付金及び温排水影響調査交付金についても,設備の更新にも使用できるよう,その使途を拡大し,また原子力発電施設等緊急時安全対策交付金について,緊急時の周辺環境への影響調査を交付対象に追加する等,内容の充実を図った。
 さらに,昭和57年度においては,「電源立地促進対策交付金」の使途として産業の振興に寄与する施設(工業団地及び工業用水道)を加えるとともに,新たに立地する企業等に対する長期の設備資金の融資制度の整備を図り得るよう,その原資として「電力移出県等交付金」の単価を増額するなど,内容の充実を図っている。


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