2 原子力委員会の計画及び方針

(4)第二段階核融合研究開発基本計画

(昭和50年7月31日決定)
 原子力委員会

 第二段階の核融合研究開発は,次に示す基本計画に基づき実施するものとする。

1 研究開発の目標
 第二段階の研究開発は,核融合動力炉実現の前提となる臨界プラズマ条件の達成を目指した核融合炉心プラズマ技術の研究開発に重点を置いて進めることとし,内外における研究開発の成果をふまえ,トカマク型の臨界プラズマ試験装置を開発することを目標とする。さらに,核融合動力実験炉の開発等に必要な核融合炉心プラズマ技術,核融合炉心工学技術及び核融合炉工学技術について,研究に長期間を要する技術,基盤的技術その他の必要な技術に関する研究開発を行い,第三段階以降の研究開発に反映させることを目標とする。

2 研究開発の内容
 研究開発の内容は,次のとおりとする。
(1)核融合炉心プラズマ技術
(i)臨界プラズマ試験装置に関する研究開発
 臨界プラズマ条件,温度数千万度から一億度程度,プラズマ密度と閉じ込め時間の積2〜6×10-13cm-3秒程度を目標とし,水素又は重水素プラズマを用いた臨界プラズマ試験装置の設計,製作及び機能確認実験を行う。また,臨界プラズマ条件達成に必須な理論解析,計算機実験,加熱技術,不純物対策等に関する研究開発を行う。
(ii)中間ベータ値トーラス装置(JFT-2)に関する研究開発
 JFT-2によりプラズマのエネルギー平衡,安定性等の解明を目的とする実験研究を行った後,同装置により高エネルギーの中性粒子入射等の加熱技術の研究開発を行う。
(iii)非円形断面トーラス磁場装置に関する研究開発
 プラズマ安定化等に及ぼす非円形断面の効果及びプラズマ中の不純物の除去を目的としたダイバータ効果について知見を得るため,高安定化磁場試験装置(JFT-2a)に引き続き,トカマク型の非円形断面トーラス試験装置によりプラズマ温度一千万程度を対象とする研究開発を行う。
(iv)高ベータ・プラズマに関する研究開発
 高ベータ・トーラス系装置による研究開発については,高ベータ・プラズマの挙動解明を目的とし,同装置によりプラズマ温度一千万度までを対象として行う。
(v)診断技術に関する研究
 高温,高密度のプラズマの診断技術に関する研究を行う。
(2)核融合炉心工学技術及び核融合炉工学技術
(i)核融合炉心工学技術の研究開発
 大容積炉心プラズマの生成,制御技術の開発に備え,実験炉炉心モックアップ試験のための準備的研究を行うとともに,動的真空技術に関する研究を行う。
(ii)核融合炉工学技術の研究開発
 核融合動力実験炉を目指し,核融合炉のシステム解析,炉物理に関する研究,材料の照射損傷等に関する研究,材料の共存性に関する研究,トリチウムの生産・回収に関する研究,伝熱流動に関する研究,安全性に関する研究及び核データの整備を行う。

3 研究開発の実施分担
 研究開発は,当面次の分担により実施するものとする。
 主要計画であるトカマク型装置を用いた核融合炉心プラズマ技術の研究開発及び核融合炉心工学・炉工学技術の中核的研究開発については日本原子力研究所において実施する。また,高ベータ・プラズマに関する研究開発,診断技術,真空技術に関する基礎的研究,材料に関する基礎的研究等については,電子技術総合研究所,理化学研究所,金属材料技術研究所等において分担して実施する。

4 第二段階の研究開発は,昭和50年度から開始し昭和50年代中頃に完了することを一応の目途に研究開発を進めるものとし,臨界プラズマ試験装置の完成の段階で計画の見直しを行う。


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