第10章 国際協力
3 国際機関との協力

 国際原子力機関(IAEA), OECD原子力機関(NEA), OECD国際エネルギー機関(IEA)等の主要メンバー国として国際協力を活発に進めた。

(1)国際原子力機関(IAEA)

 独自の憲章をもちつつ,国際連合と密接な協力関係にあるIAEAは,昭和50年9月,第19回総会を開催し,核不拡散のため保障措置の徹底等につき検討がなされた。加盟国は新たに,アラブ首長国連合,タンザニア,カタールを加えて,109ケ国となった。
 定常的活動としては, 「原子力発電所の国際安全基準作成専門家会合」等への専門家派遣,国際協力事業団経由による日本原子力研究所での研修生受入れ等が行われた。

(2)OECD原子力機関(NEA)

 昭和50年12月開催の第5回NEA運営委員会は,原子力安全性,廃棄物処理処分,パブリックアクセプタンス,燃料サイクルの経済的,技術的評価を四大重要分野とする1976年度事業計画を採択し, OECD理事会で承認された。
 この計画に対応して組織的には,安全規制部と開発部とに分けられ,前者担当の次長ポストが日本に与えられた。
 原子力安全性,放射性廃棄物処理処分については,同じOECD下のIE Aにおける活動にNEAが積極的に参加しているが,両機関に加盟している我が国ば政策,技術の両面において,主要な役割を果たした。
 また,加盟国は,フィンランドを加えて22ケ国になるとともに,米国の1976年度中加盟が明らかにされ,NEAの活動も活発さを増した。
 本年3月には,「ガス冷却高速炉に関する会合」,「ナトリウム―水反応に関する専門家会合」が東京で開催された。

(3)OECD国際エネルギー機関(IEA)

 代替エネルギーの確保,エネルギー節約,新エネルギーの開発等を目的として昭和49年11月に設置されたIEAは,精力的に活動を進めたが,主要加盟国の一つである我が国は積極的に協力に参加した。
 すなわち,長期協力の基本となる「長期協力計画」を我が国は本年2月閣議了解した。
 また,原子力を中心とするエネルギー研究開発(R&D)の重要性にかんがみ,昭和50年11月IEAR&D特別理事会が開催され,我が国からは,科学技術事務次官,在OECD大使等からなる代表団が出席し,今後の積極的な協力の必要性を確認し,新たにIEA直属機関として「エネルギー研究開発委員会」の設立が決定された。
 個別協力分野では,我が国は,原子力安全性,放射性廃棄物,核融合,システムズアナリシスに参加している。


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