3 保障措置に関する研究開発

 NPTに基づく保障措置に対処するためには,国内核物質管理システムを充実しなければならないが,その一環として核物質の管理に関する報告の電子計算機による迅速処理がある。昭和47年度にシステムプログラムを開発したが,このプログラムを実験的に実施し,核物質の管理に関する報告の電子計算機による迅速処理システムの問題点の把握と検討を行うため,昭和48年度において財団法人核物質管理センターでデモンストレーションを行った。
 昭和49年度には,この開発研究を更に一歩進め,加工施設,大規模研究施設等における核物質収支及び棚卸し時の実在庫データの処理に伴う問題点の把握と報告様式の改善に取組んできた。
 また,昭和48年度においては,原子力平和利用研究委託費によって「核物質不明量の統計分析による国内保障措置検証システムに関する研究」,「独立検証のためのサンプリング手法の研究およびこれを含めた各種原子力施設における保障措置適用システムに関する研究」,「濃縮施設に対する査察方式の最適化に関する研究」,「加工施設の操業のシミュレーションによる国内査察に関する研究」,「保障措置のための検証を目的とした核物質測定法に関する研究」及び「自発放射線を利用した核燃料物質の非破壊分析法に関する研究」の6テーマについて研究がなされ,昭和49年度は,「核物質不明量の統計分析による国内保障措置システムの設計研究」 「原子力施設における核物質のフィジカル・プロテクション・システムに関する研究」「S/C-MBAにおける計量管理機械化システム及びその物的防護手段としてのフィージビリティーに関する研究」,「核燃料加工施設の計量管理における秤量誤差の取扱いに関する試験研究」の4テーマについて研究がなされた。
 また,日本原子力研究所においては,破壊分析,非破壊分析及び燃焼率測定に関する研究,動力炉・核燃料開発事業団においては,新型動力炉及び再処理施設の保障措置研究開発を中心に研究が進められた。
 一方,国際的な協力のもとでの保障措置技術の開発等も推進されており,とくに,IAEAは,世界の主要国の優秀な分析能力をもつ研究所に,査察の際サンプリングした試料の分析を依頼するNWAL(NetWorkAnalytical Laboratory)計画をたてている。
 このNWAL計画を実施するための技術的問題及び各研究所の分析精度の確認を行うため,PAFEX-1(Plutonium Analysis Field Experiment)が実施され,我が国の日本原子力研究所のほか,米国,英国,ソ連等8ヵ国の研究所が参加した。
 また,核物質管理並びに保障措置に関する専門家の養成及び知識の普及等を目的とする「核物質管理セミナー」が昭和49年2月28日及び3月1日の両日,更に昭和49年11月25日及び同26日の両日,核物質管理センター主催のもとに開催された。


目次へ          第11章へ