4. 環境保全に関する研究

4. 環境保全に関する研究

(1)原子力施設周辺環境に関する調査研究

 水産庁(東海区水産研究所)は,放射能調査研究費によって昭和44年度から「放射性元素移行蓄積の指標生物に関する研究」および「原子力施設排水の分布拡散の調査研究」を県水産試験場の協力を得て実施している。
 最初に内湾型モデルとして福井県敦賀地区を昭和44,45年度にわたって調査研究を行ない,昭和46年度からは,外洋型モデルとして福島県大熊沿岸の調査研究を開始したが,本調査研究は昭和48年度以降も継続する予定である。
 厚生省(国立予防衛生研究所,国立公衆衛生院,国立衛生試験所)は,「原子力施設排水の環境食品に与える影響に関する調査研究」を県衛生研究所の協力のもとに,とくに食用生物の放射能蓄積の解明およびそれら環境試料の分析測定法の開発のため,昭和47年度は福井県敦賀地区および福島県大熊地区で調査研究を行なった。
 また,茨城県東海村に建設中の使用済燃料再処理施設の操業開始に先だち,水産庁が放射能調査研究費により,東海村沿岸海域の海水,海底土,魚介藻類の放射性核種の分布蓄積の実態,放射能水準等についても調査を実施した。

(2)原子力発電所温排水の海洋生物への影響に関する調査研究

原子力発電所から放出される温排水中に含まれる極微量の放射能の海洋生物への濃縮および温排水の漁業への利用等について総合的に研究するため,放射能調査対策研究の一環として「原子力施設排水の海洋資源への影響に関する調査研究」を昭和46年度より5か年計画で進めることとし,(社)日本水産資源保護協会に委託して調査研究を実施している。
 昭和47年度は,前年度に建設した養魚試験池に東海発電所から温排水を取水してチダイ,アワビ,クルマエビなどの飼育試験を開始した。これら試験魚の生育状況,放射性物質の濃縮等については,水産庁東海区水産研究所,放射線医学総合研究所東海支所臨海実験場および茨城県水産試験場の協力を得て調査研究を実施した。
 また,東海発電所の定期検査や不慮の停止に備えて,「日本原子力研究所動力試験炉(JPDR)のタービン復水器から温排水を取水するための設備を設置したほか,前年建設した海水および温排水の取水ポンプの予備ポンプを増設した。


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