第3章 核燃料
§3 使用済燃料の再処理

3 使用済燃料の輸送

 研究炉等一部の原子炉にあっては既に使用済燃料の排出が開始されているものがあり,その使用済燃料は46年度も引続き海外に輸送され,再処理された。すなわち,日本原子力研究所のJRR-2および京都大学の原子炉の使用済燃料は米国に輸送され,アイダホ再処理工場において再処理の後,米国政府に返還された。また,日本原子力研究所のJMTRおよび日本原子力発電(株)東海発電所の使用済燃料は英国に輸送され,英国核燃料会社(BNFL)において再処理された。
 使用済燃料の輸送における安全を確保するためには輸送容器の設計および輸送の方法についての適切な規制が必要である。国際間の輸送については従来国際原子力機関(IAEA)の放射性物質安全輸送規則によって規制が行なわれてきたが,国内輸送の規制に関する法体系は必ずしも十分に整備されていなかった。同規則は1972年に大幅に拡充整備されることとなっており,これを契機に放射性物質の安全輸送のための国内関係法令を整備することとし,所要の検討を進めている。
 一方,動力炉・核燃料開発事業団の再処理施設が操業を開始する49年度からは,発電炉から再処理施設への使用済燃料の国内輸送が頻繁に行なわれることになり,これに対応して民間においても使用済燃料の輸送事業をめぐる動きが活発化しているので,法令の整備はますます緊急の課題となっている。


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