第2章 国際協力
§3 国際会議

II ユネスコ主催放射性同位元素国際会議

 本会議はさる30年開催された第1回原子力平和利用会議(ジユネーブ会議)に放射性同位元素に関する論文が非常に多数発表された状況にかんがみ,同会議のうちから放射性同位元素に関する部門を独立させて,ユネスコの主催により33年9月開催される第2回ジユネーブ会議にさきだち,32年秋開催することとなつたものである。
 この準備のための委員会が32年1月わが国をふくめたユネスコ加盟国8カ国の代表者が参加して開催計画を検討した結果について,ユネスコ事務局から外務省を通じて正式連絡があつた。原子力委員会においては,外務省,文部省,日本学術会議,ユネスコ国内委員会等関係諸機関と協議した結果,提出論文については選考委員会を組織してこれにあたることとなつた。
 会議は,開催計画にもとづき9月パリにおいて開催され,わが国からは18名が参加゛した。またわが国からの提出論文は10篇であつた。この会議には全参加国数60,出席者総数1,200名,提出論文数245篇にのぼつた。会議は総会のほか,物理化学工学部門と生物医学部門との二つの部会からなり,アイソトープの各種の研究への応用について論じられたが,とくに,(1)アイソトーブの生産,(2)アイソトープの生体への吸収,(3)大量線源の使用方法,(4)医学および生物学のアイソトープ利用による研究,(5)放射線障害防止に関する論文の発表が活発におこなわれた。
 なおこの会議は主として基礎的学術分野におけるアイソトープの利用に限定し,実際的応用分野におけるものは33年9月開催される第2回ジユネーブ会議にゆずられている。


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