IAEA保障措置の強化・効率化方策にかかる
モデル議定書の採択について

 

平成9年5月20日
原子力委員会委員長談話

 

  1. 今般、国際原子力機関(IAEA)の特別理事会において、IAEA保障措置
   の強化・効率化方策、いわゆる「93+2計画」に係るモデル議定書が採択され
   た。この「93+2計画」は、イラクの核開発計画の発覚に端を発し、未申告核
   物質、未申告活動に対するIAEAの探知能力の向上を目指し、各国参加の下、
   1993年より検討が開始されたものであり、我が国も積極的に対応してきたと
   ころである。

  2.各国とも、本計画は国際的な核不拡散体制の強化を図るうえで重要なものと認
   識し、精力的に検討が行われた。今回、特別理事会において、圧倒的多数の国が、
   保障措置体制の一層の強化に向けて、このモデル議定書の重要性を理解し、支持
   を表明したことは、国際的な核不拡散体制の強化という点で極めて重要な前進で
   あると評価したい。

  3. 核不拡散条約を誠実に遵守し、かつ、原子力の平和利用に徹している我が国は、
   従来より保障措置の厳格な実施に努めてきたところであるが、これを契機として
   原子力活動の透明性を一層向上し、さらには核不拡散の面での信頼性を高める努
   力をすべきであることは当然である。今後、我が国としては、本計画の円滑かつ
   効果的な実施と保障措置の一層の効率化に十分に留意するとともに、国内の関係
   事業者等の理解が得られるよう最大限の努力を払うべきである。

  4. 国際的な核不拡散の強化の観点からは、本計画の諸方策は、関係するすべての
   国において実施されることが重要である。このため、我が国は、従来より、核兵
   器国等が本計画の目的達成のために必要な方策を積極的に受け入れることが重要
   である旨強く主張してきたところである。この度、一定の範囲ながら核兵器国か
   らそれぞれ必要と考える方策について受入が表明されたことは前進と考えるが、
   今後とも、核不拡散体制の強化の観点から本計画がより実効性のあるものとなる
   よう、核兵器国をはじめとする関係主要国はもとより、IAEAに対しても、引
   き続き働きかけていくべきである。

 

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