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第411号 原子力委員会メールマガジン


    @mieru(あっとみえる) 原子力委員会メールマガジン
             2024年5月31日411号
― 目次 ――――――――――――――――――――――――――――――
●こんにちは、原子力参事官です
「フェラーリとカローラ」

●5月28日(火)の定例会議報告
・医療用等ラジオアイソトープ製造・利用推進アクションプランのフォローアップについて(国立研究開発法人国立がん研究センター センター長 土井俊彦氏、日本放射性医薬品協会 総務委員長 片倉博氏)
・東北電力株式会社女川原子力発電所2号炉の発電用原子炉の設置変更許可(所内常設直流電源設備(3系統目)の設置等)について(答申)
・関西電力株式会社高浜発電所1号炉、2号炉、3号炉及び4号炉の発電用原子炉の設置変更許可(3号炉及び4号炉の蒸気発生器の取替え等)について(答申)

●6月4日(火)の定例会議予定
・医療用等ラジオアイソトープ製造・利用推進アクションプランのフォローアップについて【制度・体制の整備、研究開発の推進等】(文部科学省)
・令和5年度版原子力白書(案)の概要について

●原子力関係行政情報
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――‥‥――こんにちは、原子力参事官です ――‥‥――‥‥――‥‥――
「フェラーリとカローラ」

こんにちは、原子力参事官の山田です。
5月だというのに、もう台風が来ています。と思ったら、実は、台風1号の発生は例年に比べて遅く、1951年の統計開始以来、7番目に遅い発生とのことでした。台風1号の発生が遅れた年の年間発生数と上陸数をみると、帳尻を合わせるかのようにハイペースで台風が発生する傾向があるとのことです。あくまで「傾向」ですので実際のところは今年が終わらないと分かりませんが、早め早めの台風対策を心掛けたいものですね。

今年も、「医療用等ラジオアイソトープ製造・利用推進アクションプラン」のフォローアップの時期がやってきました。昨年に引き続き、2回目のフォローアップになります。
初回を飾ったのは、国立がん研究センターと日本放射性医薬品協会でした。今回のフォローアップで、ラジオアイソトープ(ちょっと長いので「RI(アールアイ)」と略すこともあります)を製造する側だけでなく、より医療側・利用側に近い団体からもヒアリングをするんだ、ということを鮮明にしたわけです。
私が特に印象に残ったのは、国立がん研究センター先端医療開発センターの土井センター長の発表でした。
もちろん、がん研究の最前線にいらっしゃり、私たちではなかなかすぐに理解できないような難しい臨床研究を日々されている方ですが、出来るだけ分かりやすく私たちに伝えよう、という思いが溢れるプレゼンとなりました。このメルマガのタイトルにも書きました「フェラーリ」と「カローラ」についても、土井センター長から出てきた発言です。
これは、医薬品の開発の話題の際に出てきた言葉で、我が国が世界に誇る再生細胞医薬品が(残念ながら)世界に普及しなかった例として挙げられたものです。つまり、再生細胞医薬品で世界トップレベルの技術を持つ日本の研究者は、誰にも負けない技術で論文を書きたい、と思うあまり、まるで「フェラーリ」のようなスーパーカー的な医薬品を作りがちだが、アメリカで上記のような「フェラーリ」医薬品を何十台も作ることは出来ず、むしろ、大衆車の「カローラ」のように、多少スペックを落としたレベルで医薬品を作るとアメリカで現地生産できるようになるのです、ということでした(念のため、この比較はあくまで「イメージ」です。最近のカローラはスポーツカーのようなカッコいいデザインのものも出てきていると思いますよ)。
研究と実装(臨床)のギャップを見事に表した表現だと思いました。
それから、がん細胞をやっつける、という意味で「武装化抗体医薬品」という表現を使われたり、ラジオアイソトープが最初にくっついたがん細胞だけでなく、その近傍の細胞まで巻き込んでやっつける効果があることを、英語ではバイスタンダー(傍観者)効果、と言いますが、日本では「もらい泣き効果」という、など、ちょっとロマンチックな表現も使って説明されていました。フェラーリとかカローラとか、武装化とかもらい泣き効果とか、これって何の説明でしたっけ、と一瞬思ってしまうような、聞き飽きない説明でした。

原子力委員会は医療用のラジオアイソトープを使った核医学診断・治療を進めるため、アクションプランを策定しましたが、各アクションを進めるのと同じくらい、医療用ラジオアイソトープのこと、それを使うメリット、それをつくる/使うことへの課題など、国民の皆さまに分かりやすく説明をしていくことも大事だと思います。

実は、診断・検査に使われるモリブデン99(原料であるモリブデン99は、実際に医療現場で使うときはテクネチウム99mに替わっています)は、国内で年間100万件程度の画像診断に既に使われており、私たちにとって決して縁遠い診断法ではありません。ただ、ここで使われているモリブデン99は、国産のものは現在1つもなく、全てを海外に頼っている、というのが現状です。ラジオアイソトープには半減期がありますので、時間とともに効果はどんどん減っていきます。ナマモノなのです。そういう点でもラジオアイソトープの取り扱いは時間との戦いになり、そのナマモノを全て海外に頼っている現状は果たしていいのだろうか、というところからアクションプランの検討は始まりました。
実際に、これまで、海外の原子炉が計画外に止まってしまったり、火山の大噴火が起きて飛行機が飛べなくなるなどして日本にモリブデンが届かなかった、ということが、実は毎年のように起こっています。海外にだけ頼っていると、こういうことも起こってしまうのです。

もちろん、医療用ラジオアイソトープの活用には課題もたくさんあります。国民皆保険制度を採用している我が国で、どこまでのラジオアイソトープを医薬品にするのか、については、今後、相当な議論が必要になると思います。それでも、ラジオアイソトープを治療薬として使ったところ、転移がん(つまり、進行しているがん)に有効で、寛解した、という研究成果は、高齢化社会を迎える私たちに大きな希望を与える結果です。世界各国での医療用ラジオアイソトープ製造・利用に関する積極的な動きもあります。我が国での薬品化について議論する価値は大いにあると思います。
放射線と聞くと、ちょっと怖いな、と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、このように、うまく使えばプラスの効果もあり得る、ということは知っていただいてもいいと思います。

医療用ラジオアイソトープについて、自分で納得出来たことを、愚直に、まさに愚直に伝え続けることが、遠回りに見えるけど結果として、国民の皆さまに医療用ラジオアイソトープについて知っていただく一番の近道なのかもしれません。


――‥‥――定例会議情報――‥‥――‥‥――‥‥――‥‥――‥‥――‥
●原子力委員会の定例会議を傍聴にいらっしゃいませんか。会議は霞ヶ関周辺で開催しており、どなたでも傍聴できます。開催案内や配布資料は、すべて原子力委員会ウェブサイト(以下URL)で御覧いただけます。
https://www.aec.go.jp/kaigi/teirei/index.html

●5月28日(火)の定例会議の議題は以下のとおりです。
配布資料はこちら
https://www.aec.go.jp/kaigi/teirei/2024/siryo16/

【議題1】医療用等ラジオアイソトープ製造・利用推進アクションプランのフォローアップについて(国立研究開発法人国立がん研究センター センター長 土井俊彦氏、日本放射性医薬品協会 総務委員長 片倉博氏)

<主なやりとり等>
医療用等ラジオアイソトープ製造・利用推進アクションプランのフォローアップについて、国立研究開発法人国立がん研究センター 土井センター長 、日本放射性医薬品協会 片倉総務委員長より説明し、その後、委員との間で質疑を行った。また、参与より専門的な観点から意見をいただいた。

【議題2】東北電力株式会社女川原子力発電所2号炉の発電用原子炉の設置変更許可(所内常設直流電源設備(3系統目)の設置等)について(答申)

<主なやりとり等>
東北電力株式会社女川原子力発電所2号炉の発電用原子炉の設置変更許可(所内常設直流電源設備(3系統目)の設置等)についての答申案について、事務局より説明し、その後委員との間で質疑を行った。委員の異議がないことを確認し、事務局の案を委員会の答申とすることとした

【議題3】関西電力株式会社高浜発電所1号炉、2号炉、3号炉及び4号炉の発電用原子炉の設置変更許可(3号炉及び4号炉の蒸気発生器の取替え等)について(答申)

<主なやりとり等>
関西電力株式会社高浜発電所1号炉、2号炉、3号炉及び4号炉の発電用原子炉の設置変更許可(3号炉及び4号炉の蒸気発生器の取替え等)についての答申案について、事務局より説明し、その後委員との間で質疑を行った。委員の異議がないことを確認し、事務局の案を委員会の答申とすることとした

●6月4日(火)の定例会議予定
6月4日(火)14:00からの定例会議の議題は以下となります。傍聴をご希望される方は、以下より登録をお願いいたします。(登録の締め切りは6月3日(月)15:00となります。) 
https://form.cao.go.jp/aec-melmaga/opinion-0075.html
【議題1】医療用等ラジオアイソトープ製造・利用推進アクションプランのフォローアップについて【制度・体制の整備、研究開発の推進等】(文部科学省)
【議題2】令和5年度版原子力白書(案)の概要について

――‥‥――原子力関係行政情報――‥‥――‥‥――‥‥――‥‥――‥‥
原子力関係の他の行政における委員会等のリンク情報は以下のとおりです。

※URLが改行されてリンクが認識されない場合
URLはクリックせず、文字列全体をURL欄に Copy & Paste してください。

■首相官邸
・原子力防災会議
(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/genshiryoku_bousai/)
・原子力災害対策本部会議
(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/genshiryoku/)
・廃炉・汚染水・処理水対策関係閣僚等会議
(https://www.kantei.go.jp/jp/singi/hairo_osensui/index.html)

■内閣官房
・原子力関係閣僚会議
(http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/genshiryoku_kakuryo_kaigi/)
・最終処分関係閣僚会議
(http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/saisyu_syobun_kaigi/)
・放射能対策連絡会議
(https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/housyanou/index.html)
・GX実行会議
(https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/gx_jikkou_kaigi/index.html)

■内閣府
・統合イノベーション戦略推進会議
(https://www8.cao.go.jp/cstp/tougosenryaku/kaigi.html)
┗イノベーション政策強化推進のための有識者会議「核融合戦略」
(https://www8.cao.go.jp/cstp/fusion/index.html)
・原子力防災
(https://www8.cao.go.jp/genshiryoku_bousai/index.html)
┗地域原子力防災協議会
(https://www8.cao.go.jp/genshiryoku_bousai/kyougikai/kyougikai.html)

■経済産業省・資源エネルギー庁
・総合資源エネルギー調査会電力・ガス事業分科会
(https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/index.html)
┗原子力小委員会
(https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/genshiryoku/index.html)
┣自主的安全性向上・技術・人材WG
┣原子力の自主性安全性向上に関するWG
┣原子力事業環境整備検討専門WG
┣革新炉WG
┣廃炉等円滑化WG
┗電力・ガス基本政策小委員会
(https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/denryoku_gas/index.html)
┣特定放射性廃棄物小委員会
(https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/radioactive_waste/index.html)
┗地層処分技術WG
(https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/radioactive_waste/geological_disposal/index.html)
・総合資源エネルギー調査会基本政策分科会
(https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/kihon_seisaku/index.html)
┣長期エネルギー需給見通し小委員会
┣発電コスト検証WG
(https://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/#cost_wg)
┗電力需給検証小委員会
(https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/kihon_seisaku/denryoku_jukyu/index.html)
┗使用済燃料対策推進協議会
(https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/shiyozumi_nenryo/index.html)
┗地層処分研究開発調整会議
(https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/chiso_shobun/index.html)
┗高速炉開発会議
(https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/kosokuro_kaihatsu/index.html)
┗青森県・立地地域等と原子力施設共生の将来像に関する共創会議
(https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/aomori_kyosokaigi/index.html)
┗福井県・原子力発電所の立地地域の将来像に関する共創会議
(https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/fukui_kyosokaigi/index.html)

■原子力規制委員会
・原子力規制委員会
(https://www.nsr.go.jp/)
┣原子炉安全専門審査会・核燃料安全専門審査会
(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/roanshin_senmon/menu.html)
┣放射線審議会
(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/houshasen/index.html)
┣国立研究開発法人審議会
(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/nrda/nrda/index.html)
┣量子科学技術研究開発機構部会
(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/nrda/nirs/index.html)
┣日本原子力研究開発機構部会
(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/nrda/jaea/index.html)
┣原子力規制委員会政策評価懇談会
(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/yuushikisya/seihyou_kondan/index.html)

■文部科学省
・科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会原子力科学技術委員会
(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/055/index.htm)
┣原子力研究開発・基盤・人材作業部会
(https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/100/index.htm)
┣核不拡散・核セキュリティ作業部会
(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/076/index.htm)
┣原子力バックエンド作業部会
(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/099/index.htm)
┗科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会核融合科学技術委員会
(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/074/index.htm)
┗原型炉開発総合戦略タスクフォース
(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/078/index.htm)
┗調査研究協力者会議等(研究開発)
┗「もんじゅ」廃止措置評価専門家会合
(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/kaihatu/022/index.htm)
┗原子力損害賠償紛争審査会
(https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/kaihatu/016/index.htm)
┗次世代革新炉の開発に必要な研究開発基盤の整備に関する検討会
(https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/kaihatu/025/index.html)
┗核融合の挑戦的な研究の支援の在り方に関する検討会
(https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/kaihatu/027/index.html)
┗国立研究開発法人審議会
(https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/kokurituken/index.htm)
┣量子科学技術研究開発機構部会
(https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/kokurituken/010/index.htm)
┗日本原子力研究開発機構部会
(https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/kokurituken/003/index.htm)

●次号配信は、2024年6月7日(金)頃の予定です。
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発行者:内閣府原子力政策担当室(原子力委員会事務局)
原子力委員会:上坂 充委員長、直井 洋介委員、岡田 往子委員
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