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@mieru(あっとみえる) 原子力委員会メールマガジン
2012年8月24日号
☆★☆ めざせ! 信頼のプロフェッショナル!! ☆★☆
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┏ 目次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┣ 尾本委員からひとこと 最近の委員会および原子力を巡る動きから
┣ 定例会議情報 東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会
┃ 最終報告について
┃ 東京電力(株)福島第一原子力発電所1〜4号機の廃止措置
┃ 等に向けた中長期ロードマップの改訂についての説明とそ
┃ れに関する有識者との意見交換
┃ 原子力被災者等の健康不安対策に関するアクションプラン
┃ 国家課題対応型研究開発推進事業(原子力基礎基盤戦略研
┃ 究イニシアティブ)の公募結果について
┃ 我が国における保障措置活動状況等について
┃ 平成25年度原子力関係経費概算要求構想ヒアリング
┣ 部会情報等
┣ 事務局だより 見込み違い
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━・・・━ 委員からひとこと ━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━
最近の委員会および原子力を巡る動きから
尾本 彰
メールマガジンへの寄稿はほぼ2ヶ月半に一回。前回寄稿以降に委員会およ
び原子力を巡る重要な新展開が幾つかあったので、それを取り上げたい。
第一に、サイクルを巡る小委員会への準備作業で不適切さがあったとの指摘
に関し、8月3日に検証委員会が検証結果を公表した。委員会全体として不適切
なプロセスがあったと指摘を受けたことについて、改めてお詫びを申し上げる。
本件を踏まえた資料策定過程の公正性確保等の方策は既に委員会決定として出
したが、何が問題だったかの認識が重要である。「勉強会」の目的自体が参加
者によって異なった理解を持たれていたという曖昧さや、資料作成を通じて小
委員会の審議を誘導する可能性の発生を許したという規範の不徹底は重大であ
る。私は、小委員会は当該事業の将来を左右する議論を行なうのだから、小委
員会の場で事業者が直接データや計算結果を提出して意見発表が自由にできる
ようにして、別の場での影響力行使の必要性がないと誰にでもわかる体制にす
べきだったと思っている。時間的な制約が厳しく、そうすることは難しかった
のかもしれないが。
第二に、国会と政府の事故調査会の報告が7月に相次いで公開された。いず
れも安全規制に係る諸問題と改善の方向を提言していながら、これら報告以前
に国会で新法制定という順序には少々不思議に思うところがあった。しかし、
報告が、技術的な問題の背景に潜む想定外への対応に関する考え、危機管理の
考え方と体制、規制と事業者との関係に言及していることは、個人的にはもっ
ともと考えている。因みに2010年のメキシコ湾での原油流出事件に関して、米
国では大統領への事故調査報告が出ているが、そこでは開発推進と規制の両機
能を有した米国内務省鉱山資物管理部とその規制スタッフの能力、事業者のリ
スク管理について触れており、興味深い。政府事故調査報告で、防災を含む今
後の安全確保の考え方について、ある種のパラダイムシフトが提言されている
ことは重要と思う。炉心溶融事故はあらゆる手段で防止するが、仮にそれが生
じても長期的移住は必要とされないような防護措置が必要ということだと思う。
原子力委員会の原子力政策大綱では、原子力利用にあたっての基本重要事項
である「安全確保」と「国民の信頼の下での利用」に関する方針を示し、この
安全確保に関する政策の評価を平成18年に原子力委員会政策評価部会で行って
いる。この報告を読むと、オフサイトセンターの耐震性などの重要な件につい
て既に触れられていた。しかしながら、政策大綱の方針に基づいた行政の取組
に対する評価と、評価結果に基づいた行政への要請は、安全委員会との関係も
あり実施してこなかった。この点が原子力委員会の反省としてあると思う。
第三に、エネルギー・環境会議は、7月初めに2030年の原子力発電シェアに
関し国民に3つの選択肢を提示した。その前に原子力委員会はこの選択肢に応
じた核燃料サイクルオプションの評価を行い、エネルギー・環境会議に提出し
た。原子力以外のエネルギーに係わらない原子力委員会は全体像を描く立場に
無く、本シェアの問題には発言していないが、原子力政策を考える上では、シェ
アが2030年以降どの方向を志向しているかは重要だと思う。国民的コンセンサ
スとしてシェアが決められれば、原子力委員会は原子力基本法第4条に定めら
れた原子力委員会の役割(計画的遂行)に従って、これに沿った研究、開発及
び利用の方策を策定することになる。個人的には、ごく一般的には政府の役割
は、人や環境へのリスク管理を保安規制で確実なものにしつつ、持続可能な発
展の為に将来実現すべき価値を定めて、それを実現するべくエネルギー供給市
場を誘導することと思う。短期的視野に陥り、市場価格に反映されない価値を
失念しがちな市場行動と、エネルギーに係わる技術と資源動向の不確かさ、そ
して国際的な合意(例えばラクイア・サミットでの日本を含む先進国合意であ
る2050年迄に温暖化ガス放出80%削減)を考慮に入れた誘導策を用意すべきも
のと思う。こう考えると、エネルギー委員会ではない原子力委員会は、その守
備範囲内で何が役割かが重要で、その論議が必要となる。
●次号は近藤委員長からのひとことの予定です!
━・・・━━ 定例会議情報 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━
●8月8日(水)第33回臨時会議の概要は以下のとおりでした。詳しくはホーム
ページに掲載される議事録をご覧下さい。
【議題1】東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会最終報告
について(東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会事務局)
<主なやりとり等>
東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会の小川事務局長よ
り、7月23日に野田総理に提出した同委員会の最終報告書について説明があり
ました。具体的には、事故発生後の東京電力や政府等の対処、被害拡大防止策、
等の分析結果について説明がありました。
委員からは、発生確率が低くとも被害が大きくなる事象に対する具体的な対
策として何があるのか、安全目標として確率論的安全評価の具体的な数値に関
する議論はあったか、報告書の作成に当たって集めた情報は今後どのようにし
て公開する予定か、等の質問がありました。
【議題2】その他
<主なやりとり等>
当日の議題として予定しておりませんでしたが、近藤委員長より、原子力委
員会原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会での検討に関する検証報
告書について各委員に見解が求められ、各委員からそれぞれ発言がありました。
●8月14日(火)第34回定例会議の概要は以下のとおりでした。詳しくはホーム
ページに掲載される議事録をご覧下さい。
【議題1】東京電力(株)福島第一原子力発電所1〜4号機の廃止措置等に向けた
中長期ロードマップの改訂についての説明とそれに関する有識者との意見交換
(有識者:東京大学大学院 教授 淺間一氏、一般財団法人電力中央研究所 研
究顧問 井上正氏、独立行政法人日本原子力研究開発機構 理事 上塚寛氏、会
津大学 学長 角山茂章氏、説明者:経済産業省)
<主なやりとり等>
冒頭、近藤委員長より、東京電力(株)福島第一原子力発電所の廃炉に向けた
中長期的措置に関する原子力委員会のこれまでの取組、等について説明があり
ました。その後、経済産業省より、中長期ロードマップの改訂点として、循環
冷却設備の信頼性向上対策や、これまでの成果として使用済燃料プールからの
燃料の取り出し、等の説明がありました。次に、出席をお願いした有識者それ
ぞれから、研究開発の目標設定・達成状況の管理を行う研究開発体制の強化、
国と立地自治体が協力して廃止措置への取組を監視する仕組み作り、等の提言
がありました。
委員からは、廃止措置に関する取組の進捗について、地元住民にどのように
情報提供を行っているのか、ロボット技術開発に対して国際的にどのような連
携が図られているのか、公衆が除染に関する取組の意志決定に参加するといっ
た海外事例を参考として、国と県が具体的な協議は行っているのか、等の質問
がありました。
今回頂いた提言を踏まえて、原子力委員会として今後提言を行う際に参考と
していくこととしました。
●8月21日(火)第35回定例会議の概要は以下のとおりでした。詳しくはホーム
ページに掲載される議事録をご覧下さい。
【議題1】原子力被災者等の健康不安対策に関するアクションプランについて
<主なやりとり等>
内閣府被災者生活支援チームより、平成23年5月31日に原子力被災者等の健
康不安対策調整会議が決定した「原子力被災者等の健康不安対策に関するアク
ションプランのポイント」について説明がありました。同アクションプランは、
国民が抱える放射線による健康不安に対して、政府一丸となって不安に応える
ための取組であり、住民からの相談に対応できる保健医療福祉関係者等の育成
や県民健康管理センターの健康不安対策の拠点化、等を行うものです。
委員からは、作成している放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資
料は具体的にどのように活用するのか、県民健康管理センターは県民が容易に
アクセスできるようになっているのか、等の質問がありました。
【議題2】国家課題対応型研究開発推進事業(原子力基礎基盤戦略研究イニシア
ティブ)の公募結果について(文部科学省)
<主なやりとり等>
文部科学省より、本年2月22日〜4月13日にかけて公募した「原子力基礎基盤
戦略研究イニシアティブ」の選定結果について説明がありました。復興対策に
資するため、「原子力プラントの安全性向上に係る基礎基盤研究」、「放射線
影響・低減に係る基礎基盤研究」、「原子力と社会の関わりに係る人文・社会
科学的研究」の3つのテーマについて、87課題の提案があり、審査の結果13課
題が選定されました。
委員からは、人文・社会科学系の学会等にも公募の呼びかけを行ったとある
が、呼びかけ先の分野が偏ることのないように、科学研究費助成事業の人文・
社会系に含まれる分野を参考に呼びかけを行うべき、等の意見がありました。
【議題3】我が国における保障措置活動状況等について(文部科学省)
<主なやりとり等>
文部科学省より、平成23年に保障措置活動を実施した結果、我が国において
核物質の転用及び保障措置上の問題となる原子力活動がなかったことについて
説明がありました。また、IAEA(国際原子力機関)が本年8月13日に公表した「2
011年版保障措置声明及びその背景」において、「我が国の全ての核物質が平
和的活動の中にとどまっている」との結論を得たと報告がありました。
【議題4】平成25年度原子力関係経費概算要求構想ヒアリング(外務省、原子
力委員会、農林水産省)
<主なやりとり等>
外務省、原子力委員会事務局、農林水産省より、平成25年度概算要求構想に
ついて説明がありました。
委員からは、外務省に対して、二国間協定の交渉のための予算は今年度に引
きつづき増やす方向ではなかったのか、農林水産省に対して、ガンマフィール
ドにおける米の品種改良事業等の放射線利用は継続しているのか、等の質問が
ありました。
※資料等は以下のURLでご覧いただけます。
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/index.htm
●次回は8月28日(火)に定例会を開催します。議題は以下のとおりです。
(1) 平成25年度原子力関係経費概算要求構想ヒアリング
(2) その他
●定例会議を傍聴にいらっしゃいませんか。定例会議は通常毎週火曜午前、
霞ヶ関にある合同庁舎4号館で開催しており、どなたでも傍聴できます。開催
案内や配布資料はすべて原子力委員会ホームページでご覧いただけます。
━・・・━━ 部会情報等 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━━
●原子力委員会には、調査審議組織として専門部会や懇談会等が設置されてい
ます。これらの部会や懇談会等は原則として一般に公開しており、どなたでも
傍聴することができます。開催案内や配布資料はすべて原子力委員会ホーム
ページでご覧いただけます。
●専門部会等の開催はありませんでした。
●次週の専門部会等開催情報
・次週は専門部会等の開催は予定されていません。
+-+-+-+-+-+-+ 事務局だより +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
見込み違い
ロンドンオリンピックで日本選手団は史上最多のメダル数を獲得した。その
要因はいろいろあるのであろうが、選手強化の中核拠点であるナショナルト
レーニングセンターが大きな要因の一つではないかと言われているようである。
この施設、その効果に疑問を呈する声もあったが、アテネでの日本選手の活躍
を一つのきっかけとして、当時の小泉総理の強力なイニシアティブにより整備
されたものである。スポーツ振興、特に競技スポーツ強化にはシンパシーを感
じるが、当時、予算担当部局に所属していたこともあって、ハコモノ行政的手
法を極めて懐疑的に見ていた。時として見込み違いはあるが、改めて自分の洞
察力のなさを痛感している次第である。
ところで「政治主導」の下、公務員の役割範囲は縮小しているとの指摘もあ
り、もはや行政官に洞察力は必要ないとの声も聞こえてきそうな気がする。確
かに国の将来を左右するような重要な大局的判断は行政官の領域ではなく、政
治によって適時になされるべきものであると思う。その判断には様々な前提と
なる予測・想定が必要であるが、簡単なものは何一つないような気がする。我
が国の政治行政システムの一刻も早い成熟を期待しつつも、その途上では一介
の行政官の洞察力も時には必要とされるであろう。あまり腐らずに自己研鑽し
ていきたい。
(金子)
●次号配信は、平成24年9月7日(金)午後の予定です。
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発行者:内閣府原子力政策担当室(原子力委員会事務局)
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http://www.aec.go.jp/jicst/NC/melmaga/index.htm
○原子力委員会ホームページ http://www.aec.go.jp/
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