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@mieru(あっとみえる) 原子力委員会メールマガジン
2010年5月14日号
☆★☆ めざせ! 信頼のプロフェッショナル!! ☆★☆
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┏ 目次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┣ 秋庭委員からひとこと 温泉と放射線
┣ 定例会議情報 成長に向けての原子力戦略に係る有識者との意見交換
┃ 原子力委員会報告書案等に対する意見募集について(2件)
┃ 核セキュリティ・サミットの結果報告 等
┣ 部会情報等
┣ 事務局だより 母の小言
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●メールマガジンや、原子力委員会の活動に関するご意見・ご感想等を、
https://form.cao.go.jp/aec-melmaga/opinion-0002.htmlまで、ぜひお寄せ
ください。
━・・・━ 委員からひとこと ━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━
温泉と放射線 秋庭 悦子
温泉ブームが続いている。テレビの旅番組や雑誌の特集、そしてバスツアー
でも一番人気は温泉である。私もGWに実家の母と温泉に出かけたが、たった
1泊でものんびりとくつろぐことができた。鮮やかな緑の木々と白やピンクの
華やかなツツジが咲く庭を見ながら食べる食事は格別で、新鮮な地元の魚や山
菜がさらに美味しく感じた。また、露天風呂や檜風呂などにゆったりとつかっ
ていると、身体だけでなく、心までリラックスする。
日本は火山が多いために温泉が豊富にあり、古くから利用されている。島根
県の玉造温泉や兵庫県の有馬温泉などは日本書紀や万葉集などにも名が記され
ている。温泉の医療効果も科学的に実証されており、現在では予防医学の観点
からも利用されている。温泉の人気ランキングを見ると、秋田県の玉川温泉や
鳥取県の三朝温泉が上位に入っているが、ここはラジウム温泉であり、ラドン
温泉とあわせて「放射能泉」と呼ばれている。「放射能泉」は法律(温泉法)
によりラドンやラジウムの濃度によって定義されており、低線量の放射線によ
る効果があるといわれている。
さて、温泉には行きたいけど費用も時間もかかるということで、最近では、
手軽に家庭のお風呂で温泉を楽しめる様々なグッズが売れている。「風呂に入
れるだけでラドン温泉やラジウム温泉になる」などとうたって販売されている
鉱石やセラミック製のボールなどがあるが、しかし、本当に効能があるかどう
かは注意が必要である。
4月末に発表された独立行政法人国民生活センターの商品テストによると、
このような商品を風呂に入れてもラドンやラジウム濃度は水道水とかわらない
ことがわかった。
商品テストでは、インターネットで購入した10商品を浴槽の底に置き、蓋を
してから6分目まで42℃の湯を張り、30分間放置後、採水した風呂水について、
ラドンおよびラジウムの濃度を測定した。その結果、ラドンは全ての商品で、
温泉法の基準を大きく下回った。ラジウム濃度も全ての商品で検出できないほ
ど低く、温泉法の基準の100分の1にも満たなかった。また、風呂で各商品を
使用した場合、どの程度外部被曝をうけるのかを調べたところ、1日1時間、
1年間直近で使用した場合でも、0.7ミリシーベルトと一般公衆の線量限度1ミ
リシーベルトを下回っていた。このような効能がほとんどない「温泉の素」で
あるが、その価格はビックリするほど高い。2004年から2010年2月末までに、
全国の消費生活センターに寄せられた相談は387件あり、そのうちの43%は30万
円から50万円の価格で、100万円以上もするものも4件あった。0.7ミリシーベ
トのために100万円支払う人がいる一方で、原子力発電所から放出される0.001
ミリシーベルト(実績)については、「不安」「怖い」といわれるのはなぜだ
ろうか。健康増進のためや医療の放射線は「役に立つ放射線」で、原子力施設
から出る放射線は「役に立たない放射線」といわれることもあるが、放射線の
人体への影響はまったく同じである。
先日、ある会合で「これからの医療は脱放射線になっているのをご存知です
か」と言われて驚いたが、その後、「陽子線や重粒子線に代わってきているの
です」と続けられたので「それも放射線です」と答えた。今まで学校教育で放
射線についてほとんど教えられていないので、誤解している人が多いのは仕方
がないかもしれない。幸い今後、中学校の理科で教えられることになったので、
その子供たちが社会の意識を変えることを期待しつつ、今の大人にも正確な知
識を持ってもらうように絶えず啓発することが必要だと痛感している。農作物
の改良や工業利用など、私たちの暮らしに役立っている放射線について、ぜひ、
消費者に正確に知ってほしいと願っている。
●次号は大庭委員からのひとことの予定です!
━・・・━━ 定例会議情報 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━
●4月23日(金)第24回定例会議の概要は以下のとおりでした。詳しくはホー
ムページに掲載される議事録をご覧下さい。
・成長に向けての原子力戦略の策定に係る有識者との意見交換
<主なやりとり等>
(財)日本エネルギー経済研究所の伊藤常務理事より、3月16日の第15回臨
時会議でご説明いただいた原子力発電の温室効果ガス限界削減コストについて
の補足説明として、風力発電が火力発電を代替すると仮定した場合のCO2削減
コストの計算結果などの説明がありました。
また、水ビジネスの国際展開について日揮(株)の篠田執行役員よりご説明
がありました。
その後の意見交換では、水ビジネスの海外参入の際のリスクやリスクヘッジ
の方法、アプローチの仕方などについて質問がありました。
・原子力政策大綱に示している放射線利用に関する取組の基本的考え方に関す
る評価について(案)に対する意見募集について
<主なやりとり等>
第23回定例会における議論を反映した、原子力政策大綱に示している放射線
利用に関する政策の評価結果をまとめた報告書案について事務局より説明を行
い、同案について国民の皆様の意見募集を行なうこととしました。
なお、意見募集は5月7日に終了しています。
●4月27日(火)第25回定例会議の概要は以下のとおりでした。詳しくはホー
ムページに掲載される議事録をご覧下さい。
・核セキュリティ・サミットの結果報告について(外務省)
<主なやりとり等>
外務省より、4月12日、13日に行われた核セキュリティ・サミットの結果に
ついて説明がありました。
委員より、核セキュリティ・サミットの今後の予定や、核テロを国際犯罪と
して罰するための新たな法的基盤の検討に関する議論の内容などについての質
問がありました。
・成長に向けての原子力戦略(案)に対する意見募集について
<主なやりとり等>
事務局より、成長に向けての原子力戦略(案)について説明を行い、同案に
ついて国民の皆様の意見募集を行うこととしました。
・尾本原子力委員の海外出張報告について
<主なやりとり等>
尾本委員より、韓国への出張(4月14日~16日)の結果について報告があり
ました。委員は、ソウルで開催された韓国原子力産業会議/韓国原子力学会第
25回年次大会に出席し、講演・パネル討論を行いました。また、ソウル国立
大学他の有識者と日韓両国の原子力政策に関する意見交換を行いました。
・尾本原子力委員の海外出張について
<主なやりとり等>
5月4日から7日にかけて尾本委員が米国へ出張することについて説明があ
りました。現地では、ワシントンで開催される日米官民原子力ラウンドテーブ
ルに出席し、講演・パネル討論を行います。
●5月11日(火)第26回定例会議の概要は以下のとおりでした。詳しくはホー
ムページに掲載される議事録をご覧下さい。
・成長に向けての原子力戦略の策定に係る有識者との意見交換
<主なやりとり等>
成長に向けての原子力戦略(案)について、気候ネットワーク代表の浅岡弁
護士、一橋大学大学院商学研究科の橘川教授、国際交流基金日米センターの沼
田特別参与と意見交換を行いました。
意見交換では、CO2に経済的な価値をつける是非やその課題、国際的に通用
する人材育成の重要性などについて議論がありました。
・高速増殖原型炉「もんじゅ」性能試験再開について(日本原子力研究開発機
構)
<主なやりとり等>
日本原子力研究開発機構より、高速増殖原型炉「もんじゅ」の性能試験の再
開および今後の試験予定について報告を受けました。
・高速増殖原型炉「もんじゅ」性能試験再開に対する原子力委員会の見解につ
いて(見解)
<主なやりとり等>
原子力委員会は、上記報告を受け、「もんじゅ」の性能運転再開が、世界を
リードする最先端の研究成果を生み出すことを期待するとともに、原子力機構
に対し安全性や透明性の確保等を確実に行うことなどを期待する旨の見解をと
りまとめました。
・尾本原子力委員の海外出張報告について
<主なやりとり等>
尾本委員より、米国への出張(5月4日~7日)の結果について報告があり
ました。委員は、ワシントンで開催される日米官民原子力ラウンドテーブルに
出席し、我が国の原子力政策について講演を行うとともに、債務保証制度、新
興国市場における競争と課題などについて意見交換を行いました。
・尾本原子力委員の海外出張について
<主なやりとり等>
5月16日から21日にかけて尾本委員が中国へ出張することについて説明があ
りました。現地では、西安で開催される第18回原子力工学国際学会(ICONE)
に出席し、原子力政策及び技術に関する意見交換を行います。
●5月13日(木)第27回臨時会議の概要は以下のとおりでした。詳しくはホー
ムページに掲載される議事録をご覧下さい。
・成長に向けての原子力戦略の策定に係る有識者との意見交換
<主なやりとり等>
アフリカの原子力発電を含めた開発状況について、日本貿易振興機構アジア
経済研究所の平野地域研究センター長よりご説明いただくとともに、意見交換
を行いました。
意見交換では、アフリカにおける放射線がん治療のニーズや、電源開発など
のインフラ事業と資源開発のパッケージ展開の重要性、事業展開する際の事業
体制などについて議論がありました。
※資料等は以下のURLでご覧いただけます。
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/index.htm
●次回は5月18日(火)に開催します。議題は以下のとおりです。
・放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律の改正について(文
部科学省)
・平成21年度原子力人材育成関係者協議会の報告について(日本原子力産業
協会)
●定例会議を傍聴にいらっしゃいませんか。定例会議は通常毎週火曜午前、霞
ヶ関の合同庁舎4号館で開催しており、どなたでも傍聴できます。開催案内や
配布資料はすべて原子力委員会ホームページでご覧いただけます。
━・・・━━ 部会情報等 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━━
●原子力委員会には調査審議組織として専門部会や懇談会等が設置されていま
す。これらの部会や懇談会等は原則として公開しており、どなたでも傍聴でき
ます。開催案内や配布資料はすべて原子力委員会ホームページでご覧いただけ
ます。
※現在、開催が予定されている部会はありません。
+-+-+-+-+-+-+ 事務局だより +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
母の小言
先の連休は、御多分に洩れず帰省してきました。
今回は小学校の同窓会があり、多くの級友(といっても、全員で19名と少数
ではありますが・・・)と3名の担任の先生と十数年ぶりに再会し、多くの感
慨・懐かしさに浸りました。
家でのんびりできたのは賞味一日でしたが、その時の母の言葉。
「後先、そう長くはない私の望みは二つだけ。一つは、ぽっくり逝く
(quick & painless death)こと、もう一つは、二人の息子が自分(母)より
も先に死がないこと。」
なかなか胸を熱くさせられましたが、本人はさらりと言ってのけているとこ
ろをみると、どこまで本心なのかなと。
とはいえ、母の後者の望みは国籍・時代を問わず、子供を持つ親の気持ちで
あり、逆に息子の立場として、両親には元気に長生きしてもらいたいもの。
以前は、「私(母)があなたの年齢の頃には結婚して、子供がいたんだよ~」
とか「孫ってかわいいらしいぞ~」とかいうことを頻繁に言われましたが、
「もうそういうことは期待しないことにした」とも。
そういう寂しい思いをさせてしまったことに一抹の申し訳なさと母の偉大さを
感じつつ、母の望みを全うして、一つでも多くの「予想外の喜び」を与えられ
ていけたらなと思った2010年の初夏でありました。
(佐藤)
●次号配信は、平成22年5月28日(金)午後の予定です。
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発行者:内閣府原子力政策担当室(原子力委員会事務局)
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○原子力委員会ホームページ http://www.aec.go.jp/
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