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関係機関 第37回IAEA総会について 1.日程:1993年9月27日(月)~10月1日(金) 2.場所:オーストリアのウィーン国際会議センター 3.参加国:加盟国114カ国のうち96カ国以上から総勢560名が参加、我が国からは、 江田 五月 科学技術庁長官(原子力委員会委員長) 大山 彰 原子力委員会委員長代理 久米 邦貞 在ウイーン国際機関日本政府代表部特命全権大使 石田 寛人 科学技術庁原子力局長 林暘 外務省総合外交政策局軍備管理・科学審議官 並木 徹 通商産業省資源エネルギー庁長官官房審議官 らが出席 4.主要議題審議結果概要 (1)全般的概要 ①今次総会は、北朝鮮の保障措置協定履行、保障措置の強化・効率化、原子力安全問題等IAEAの直面する重要課題について原子力分野での国際協力推進の中心的専門機関としての立場から地道な掘り下げた議論が行われ、総じて有意義な総会であった。 ②今次総会の議長には、サウディアラビアよりアブヅラジス科学技術市市長が選出された。 ③我が国政府を代表して江田大臣が演説を行い、唯一の被爆国としての世界平和希求に対する決意、原子力基本法の理念に基づく原子力行政の推進、透明性を確保したプルトニウム利用のあり方、国際管理体制構築の貢献等に関する見解を表明した。 ④今次総会では、チェッコ、アルメニア、カザフスタン、マーシャル諸島、スロヴァキア、旧ユーゴスラヴィア・マセドニア共和国の6カ国の加盟申請が異議なく承認され、IAEA加盟国は承認ベースで124カ国となった。 (2)個別事項 ①北朝鮮の保障措置協定履行 46カ国の共同提案による下記内容の決議案が圧倒的多数をもって採択された。 ・これまでの理事会の行動を強く承認し、IAEAの公平な努力を推奨。 ・北朝鮮の保障措置上の義務履行を怠っており、最近違反の範囲が拡大していることに深く憂慮を表明。 ・北朝鮮に協定の完全履行のため直にIAEAに協力するよう要請。 ・本件を次回総会の議題とするよう決定。 ②保障措置の強化、効率化 28カ国の共同提案による保障措置制度の強化と費用効率化のための改良を行う努力を更に強化し、継続することを事務局長に要請した等の決議が採択されたが、SAGSI(事務局長の保障措置実施に関する常設諮問グループ)報告書の内容については、今後も理事会による検討を継続し、適切と判断されるものに基づき、事務局長に要請することとなった。 ③原子力安全及び放射線防護に係る国際協力の強化 事務局提出資料が承認されるとともに、「放射性廃棄物管理問題の解決手段」「原子力安全条約の早期締結による原子力安全の強化」の両決議が採択された。 なお、「放射性廃棄物管理問題の解決手段」の決議には、海洋投棄問題に関する記述が盛り込まれた。 ④アフリカの非核化 アフリカグループにより提出されたアフリカの非核化圏設定決議案が大多数で採択された。 なお、決議の前に南アから現在停止されている技術協力の再開を希望しているところオランダが技術協力を再開する旨のパラを追加するとの修正案を提出せんとの動きを見せたが、アフリカグループが反対したため、オランダは修正案の提出を断念し、事務局案通りで採択された。又、本会議での審議においては、オランダ、英、米、加等が技術協力再開を期待する旨発言があった。 ⑤対イラク安全保障理事会決議の不履行 本件は、安全保障理事会決議687、707、715に関する全ての履行(イラクの原子力計画の充分な、最終の完全な申告の提出等を含んだ)を直ちにかつ完全に行う。 安全保障理事会決議687、707、715の実施に関する熱心な事務局長と事務局の努力を賞賛する。さらに、安全保障理事会決議715に基づく長期監視計画の実施のための所要の措置を講じるよう事務局長に要請する等の事務局案が、賛成多数(73カ国賛成、反対ゼロ、4カ国棄権)で採択された。 ⑥中東におけるIAEA保障措置の適用 中東の全ての国にフルスコープ保障措置の適用を直ちに受け入れる等の決議案が提出されたが、イスラエルが関係国にNPTへの加入を求める旨の本文に難色を示したために米国が間に入ってアラブ諸国と調整した結果、NPTへの直接の言及を避け、核不拡散体制とトーン・ダウンすることで成立した。本会議の審議では、議長より右妥協案を示し、これがコンセンサスにて採択された。 (3)その他 江田大臣は、原子力分野での世界各国の有力者が集まるIAEA総会出席の機会に、米、仏、ロシア、韓国等の各国代表及びIAEAブリックス事務局長との会談を行い、右関係各国及びIAEA事務局との相互理解の促進、関係強化を図った。 |
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