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資料 総合エネルギー調査会原子力部会報告書について 通商産業省 |
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1.検討の目的及び経緯 ○近年、エネルギー需要の予想を上回る急増、地球環境問題の高まり等我が国のエネルギーを取り巻く状況が複雑かつ困難となる一方、原子力については厳しい社会情勢の下でその開発が進みにくくなっている現状を踏まえ、今後、原子力の利用を図っていく上で早急に講じるべき対策について審議。 ○この際、原子力の利用に伴う課題等について一般国民の意識、考え方を十分に反映した審議を行っていただくため、新たに言論界(3名)、労働界(1名)、社会科学系の学者(3名)の方々に委員として参加していただいたところ(参考)。 ○昨年12月15日以来本年6月15日まで5回にわたり部会を開催し、今般、報告書をとりまとめ。 2.報告書のポイント (1)我が国の原子力開発を巡る状況と原子力の位置付け
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〔エネルギー、原子力を巡る状況〕 ○発展途上国を含め、世界的にエネルギー需要の着実な増大が見込まれる中で、石油需給逼迫化など資源制約の顕在化を懸念。 ○エネルギー政策における地球温暖化問題への対応の必要性。 ○ソ連チェルノブイル原子力発電所事故の影響等で世界的に原子力の円滑な開発が進みにくい状況。 〔原子力の評価〕 ○原子力は、①供給安定性、②価格安定性、③技術集約型エネルギーであり先進国の開発努力により国際エネルギー需給を安定化、④CO2等の非排出性、という面から優れたエネルギー。 ○一方、原子力は、需要急増に対応する柔軟性に限界がある等から、適切な水準に配慮しつつ導入を行うことが必要。 (2)原子力に期待される開発規模
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〔省エネルギー努力〕 ○1988年度から2010年度にかけてエネルギー消費のGNP原単位を36%改善。(第1次石油ショック以降(1973~1988)の改善実績と同水準。) 〔エネルギー需要の高い伸び〕 ○2000年度において、前回見通し(1987年10月)に比べ11.9%増 〔原子力の下方修正〕 | |
(3)開発目標の達成に向けて
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〔目標達成について〕 ○まず2000年度末の開発目標の達成に向け、建設中及び建設準備中の原子力発電所を、着実に運転開始させていくよう最大限の努力を続けることが重要。 ○今後新たに開発に着手していく2010年度末の目標の達成には、かなりの厳しさがあると認識し、導入規模実現に向け格段の努力が必要。 〔開発を困難とする要因〕 ○国民の原子力に対する厳しい意識の背景には、「原子力の安全性や放射性廃棄物に対する不安感」があり、その要因には、①安全確保体制に対する信頼感の不足、②原子力に関する情報一般の不足感が存在。 ○豊かさの時代において、ハード中心の立地対策のみでの受入れの難航。 (10年タームの運転開始基数と運転開始サイト数及び立地申し入れから運転開始までのリードタイム一覧表) (新規サイトの減少、既設サイトでの増設が増えている。また、新規サイトの運転開始までのリードタイムが長期化している。) | |
(資源エネルギー庁調べ) 注1:調査の対象としたのは、電源開発調整審議会で決定された原子力発電所である。 注2:平均リードタイムとは、立地申し入れから運転開始までの期間の平均 (4)講じるべき対策
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〔安全確保対策〕 ○プラント基数の増加、運転期間の長期化等も踏まえ、国民に信頼される安全確保対策を推進。 (規制業務の補完としての第三者専門機関の活用等安全確保体制の充実、安全確保技術開発の推進、故障・トラブル等に関する情報データベースの構築、先進国との連携強化、専門家の派遣・研修員受入れ等発展途上国への技術協力の強化等。) 〔バックエンド対策〕 ○高レベル放射性廃棄物の処分対策の具体化等のバックエンド対策を講じ、環境と調和した原子力利用を推進。 (高レベル放射性廃棄物処分に係るアクションプログラムの早期明確化等) 〔立地促進対策〕 ○新しい時代の原子力施設と地域との共存共栄を実現 (企業立地の促進、地域振興のための人材育成等ソフト面の支援対策の抜本的拡充等) 〔広報対策〕 ○原子力開発に関する国民の受容・理解の増進・原子力に対する国民の疑念・不安の克服に資するよう、積極的な情報提供の推進、情報提供体制の整備に努力。 (一般の人が容易にアクセスできる情報提供インフラの整備、国民の共感を得ていくために重要な草の根広報等の長期的視点に立った一層の展開、原子力広報関係者以外の人々による情報提供等) |
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