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核燃料物質等の工場又は事業所の
外における運搬に関する規則の一部を
改正する総理府令について

昭和63年10月25日
科学技術庁



概要

1. 特定核燃料物質の防護のための措置(法第59条の2関係)
 特定核燃料物質の運搬に係る防護措置の内容として本総理府令で定める基準は、原子力委員会核物質防護専門部会報告書の「事業者が講ずべき要件」のうち輸送容器に係るものとする。

○第1群及び第2群に該当する特定核燃料物質を運搬する場合には、必要に応じて輸送容器に施錠及び封印をしなければならない。

 なお、陸上輸送の方法に係る防護措置については、同条に基づく運輸省令で、海上輸送及び航空輸送に係る防護措置については、それぞれ船舶安全法及び航空法に基づく運輸省令等によって定められる。

2. 取り決め事項(法第59条の3関係)
 特定核燃料物質の運搬に際し、発送人、運搬人及び受取人の間で締結されるべき取り決めの内容として本総理府令で定める事項は、核物質の防護に関する条約が定める要件及び核物質防護専門部会報告書の要件のうち上記の第59条の2関係以外のものとする。

○第1群から第3群及びウラン500kg以上の天然ウランを運搬する場合には、運搬する特定核燃料物質の区分に応じて、下記の事項のうちから必要な事項について取り決めを締結する。
(1)特定核燃料物質の運搬に係る責任の移転する予定日時、場所及び手続き
(2)搬出予定日時、搬入予定日時及び運搬手段
(3)搬出された時及び搬出予定日時に搬出されない時の通知
(4)搬入された時及び搬入予定日時に搬入されない時の通知
(5)核物質の防護に関する条約が定める管轄外の常時監視及び管轄外の一時保管の際の防護措置
の実施   等

核燃料物質等の工場又は事業所の外における
運搬に関する規則の一部を改正する総理府令

 核燃料物質等の工場又は事業所の外における運搬に関する規則の一部を次のように改正する。

 第2条中「第13条」を「第13条の2」に改める。

 第13条の次に次の1条を加える。
(特定核燃料物質の運搬)
第13条の2 第3条又は前条の規定により運搬する核燃料物質であって、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律施行令(以下「令」という。)

第17条の3に規定する特定核燃料物質のうち、次のいずれかに該当するものを運搬する場合には、当該特定核燃料物質を収納する容器に施錠及び封印をしなければならない。ただし、容易に開封されない構造の容器を用いる等施錠及び封印と同等以上の措置を講じたときは、この限りでない。

1 照射されていない次に掲げる物質
イ プルトニウム(プルトニウム238の同位体濃度が100分の80を超えるものを除く。以下この条及び第17条の6において同じ。)及びその化合物並びにこれらの物質の1又は2以上を含む物質であって、プルトニウムの量が2キログラム以上のもの

ロ ウラン235のウラン235及びウラン238に対する比率が100分の20以上のウラン並びにその化合物並びにこれらの物質の1又は2以上を含む物質であって、ウラン235の量が5キログラム以上のもの

ハ ウラン233及びその化合物並びにこれらの物質の1又は2以上を含む物質であって、ウラン233の量が2キログラム以上のもの
2 照射された前号に掲げる物質

3 照射されていない次に掲げる物質
イ プルトニウム及びその化合物並びにこれらの物質の1又は2以上を含む物質であって、プルトニウムの量が500グラムを超え2キログラム未満のもの

ロ ウラン235のウラン235及びウラン238に対する比率が100分の20以上のウラン並びにその化合物並びにこれらの物質の1又は2以上を含む物質であって、ウラン235の量が1キログラムを超え5キログラム未満のもの

ハ ウラン235のウラン235及びウラン238に対する比率が100分の10以上で100分の20に達しないウラン並びにその化合物並びにこれらの物質の1又は2以上を含む物質であって、ウラン235の量が10キログラム以上のもの

ニ ウラン233及びその化合物並びにこれらの物質の1又は2以上を含む物質であって、ウラン233の量が500グラムを超え2キログラム未満のもの
4 照射された前号に掲げる物質であって、その表面から1メートルの距離において吸収線量率が1グレイ毎時以下のもの

5 令第1条の2第3号に規定する特定核燃料物質

 第14条中「前条」を「第13条」に改める。

 第15条第1項中「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律施行令(次項において「令」という。)第17条の3第1号」を「令第17条の4の表第1号イ」に改め、同条第2項中「第17条の3第2号」を「第17条の4の表第1号ロ」に改める。

 第16条第1項中「別記様式第1」を「令第17条の4の表第1号に該当する場合にあっては別記様式第1」に改め、「次の各号に掲げる書類」を「次の各号に掲げる書類、同表第2号に該当する場合にあっては別記様式第1による確認申請書に第1号から第5号までに掲げる書類及び特定核燃料物質を収約する容器について講じられる当該特定核燃料物質の防護のための措置に関する説明書」に改める。

 第17条の5の次に次の7条を加える。
(特定核燃料物質の運搬に関し取決めが必要な事項)第17条の6 法第59条の3第1項(法第66条第2項において準用する場合を含む。)に規定する総理府令で定める事項は、次の表の上欄に掲げる特定核燃料物質の区分に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる事項とする。






第17条の7 前項の表第1号及び第2号の特定核燃料物質の運搬に関し、取決めが必要な事項は、次の各号に掲げるものとする。

1 特定核燃料物質が発送人の工場又は事業所から搬出される予定日時及び特定核燃料物質が受取人の工場又は事業所に搬入される予定日時並びに運搬手段

2 特定核燃料物質が発送人の工場又は事業所から搬出されたときは、直ちにその旨を発送人が受取人に通知すること。

3 特定核燃料物質が発送人の工場又は事業所から搬出されたときは、直ちにその旨を発送人が受取人に通知すること。

4 特定核燃料物質が受取人の工場又は事業所に搬入されたときは、受取人が特定核燃料物質を収納する容器についている錠及び封印の健全性を確認し、その旨を発送人に通知すること。

5 第1号の予定日時までに特定核燃料物質が受取人の工場又は事業所に搬入されないときは、直ちにその旨を受取人が発送人に通知すること。

6 特定核燃料物質の運搬に係る責任が移転される予定日時及び場所並びに当該責任が移転されるための手続き

7 前号の予定日時までに特定核燃料物質の運搬に係る責任が移転されないと見込まれるときには、直ちにその旨を当該責任が移転される者に通知すること。


8 特定核燃料物質の運搬に係る責任が移転されたとき又は第6号の予定日時までに特定核燃料物質の運搬に係る責任が移転されないときには、直ちにその旨を当該責任が移転される者が発送人(当該特定核燃料物質が外国の工場又は事業所から運搬される場合は、受取人)に通知すること。

9 本邦外において運搬している場合(日本船舶又は日本航空機により運搬している場合を除く。)には、当該特定核燃料物質の運搬について責任を有する者が、警備を担当する者(以下「警備人」という。)に特定核燃料物質を常時監視させ、関係機関との連絡体制を整備すること。

10 本邦外において、運搬される特定核燃料物質が一時保管される場合には、特定核燃料物質の運搬について責任を有する者が次に掲げる措置を講ずること。
イ 特定核燃料物質の防護のための区域(以下「防護区域」という。)を定めること。

ロ 防護区域の境界をさく等の障壁によって区画し及び防護区域の出入口の数をできるだけ少なくすること又はこれと同等以上の特定核燃料物質の防護のための措置を講ずること。

ハ 防護区域に出入りする者の身分及び当該区域への出入りの必要性を確認の上、当該区域に出入りすることを認めた者以外の者の出入りを禁止すること。

ニ 関係機関との間における連絡を迅速かつ確実に行うことができる警備人に防護区域を常時監視させること。
3 第1項の表第3号から第6号までの特定核燃料物質に係る事項は、次の各号に掲げるものとする。
1 前項第1号から第8号までに定める事項

2 本邦外において、運搬される特定核燃料物質が一時保管される場合には、特定核燃料物質の運搬について責任を有する者が次に掲げる措置を講ずること。
イ 防護区域を定めること。

ロ 防護区域の境界をさく等の障壁によって区画し、防護区域の出入口の数をできるだけ少なくし及び防護区域を、警備人に常時監視させ若しくは人の侵入を監視するための装置により常時監視すること又はこれと同等以上の特定核燃料物質の防護のための措置を講ずること。
4 第1項の表第7号から第9号までの特定核燃料物質に係る事項は、次の各号に掲げるものとする。
1 第2項第1号から第8号までに定める事項

2 本邦外において、運搬される特定核燃料物質が一時保管される場合には、特定核燃料物質の運搬について責任を有する者が防護区域を定め、当該区域への人の出入りを制限すること。
5 第1項の表第10号の特定核燃料物質の運搬に係る事項は、第2項第1号から第8号までに掲げる事項とする。

(特定核燃料物質の運搬に関する取決めの締結に関する確認の申請)
第17条の7 法第59条の3第2項(法第66条第2項において準用する場合を含む。次条において同じ)の規定により、特定核燃料物質の運搬に関する取決めの締結に関する確認を受けようとする者は、別記様式第5による確認中請書に、次の各号に掲げる書類を添えて、長官に提出しなければならない。
1 運搬される特定核燃料物質に関する説明書

2 特定核燃料物質の運搬計画に関する説明書

3 特定核燃料物質の運搬に係る責任の移転に関する説明書
2 前項の確認申請書の提出部数は、正本及び副本各1通(当該確認に係る運搬が輸出又は輸入を伴うものである場合は正本1通及び副本2通)とする。

(確認証の交付)
第17条の8 長官は、法第59条の3第2項に規定する確認をしたときは、確認証を交付する。

 第20条中「別記様式第5」を「別記様式第6」に改める。

 別記様式第1注2イ中「濃縮度を、」の次に「プルトニウムにあってはプルトニウム238の同位体濃度を、使用済燃料にあってはその表面から1メートルの距離における空気吸収線量率(照射された天然ウラン、劣化ウラン、トリウム及び濃縮度10%未満のウランについては、照射直後の空気吸収線量率)が1グレイ毎時を超えるかどうかを、また」を加え、同様式注2ハ中「量については」を「量については、総量及びプルトニウム、ウラン235又はウラン233の量を」に改める。

 別記様式第5を別記様式第6とし、別記様式4の次に次の1様式を加える。

附則

 この府令は、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律(昭和63年法律第69号)附則第1条第1号に掲げる規定の施行の日(昭和63年11月26日)から施行する。

(別記)
様式第1(第16条関係)

車両運搬確認申請書

様式第5(第17条の7関係)

取決めの締結確認申請書

(参考)

核燃料物質等の工場又は事業所の外における運搬に
関する規則の一部を改正する総理府令新旧対照表










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