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巻頭言 原子力委員会委員就任にあたって 大山 彰 わが国の原子力開発利用の歴史は30年をこえました。その間私は、基礎研究と教育、新型動力炉自主開発、原子力安全規制政策の仕事に携わってきました。 この度は、原子力の研究開発利用の政策に関することとなります。従来の経験を生かすと共に、新たな気持で勉強して行きたいと考えています。 原子力基本法には、原子力の研究、開発及び利用の基本方針として、平和目的、安全確保、民主、自主、公開、国際協力があげられています。平和目的に限定することは、わが国の基本政策です。安全確保は主として原子力安全委員会の仕事ですが、充実した基礎研究と自主技術開発及び着実な利用計画が安全確保の基礎になると思います。同じ基本法に両委員会の活動が原子力行政の民主的運営に資するものとされています。成果の公開は、科学技術の進歩のため重要であると共に、国民に開かれた原子力利用とするために必要です。世界に貢献する日本として、国際協力はますます重要になってきました。また今日の世界の現実からみて、核拡散防止を忘れることはできません。 人類の幸福のための原子力利用は、今世紀はじめからの多くの科学者の努力によってえられた放射線、放射能や核反応に関する知識を基礎としています。近年原子力発電の発展がめざましかったので、もっとも注目されていますが、ほかにもアイソトープや放射線の利用など広い分野があり、今後も新しい分野がひらかれるのではないでしょうか。多量の放射性物質を扱う分野では、潜在的な危険を顕在化させないための技術と管理が不可欠です。従来そのため多くの努力が払われてきましたが、今後も一層努力し続けることが必要です。また放射線、放射能に関する基礎的知識を国民の常識として行くことも大切と思われます。 委員に就任してから1ケ月、関係各省庁や原研、動燃などの研究開発機関の方々から多くの御説明をうけました。多年原子力に携わってきたので、かなり心得ているつもりでしたが、新しい知識や見解にも接しました。できるだけ正しい知識をもち長期的観点に立って、今後の原子力開発利用を考えて行きたいと思っています。 よろしく御助言、御鞭達を賜わりますようお願いいたします。 |
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