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時の話題

動力炉・核燃料開発事業団
ガラス固化技術開発施設の概要

原子力局核燃料課



1.ガラス固化技術開発施設の設置
 ガラス固化技術開発施設(以下「本開発施設」という。)は、東海事業所再処理施設の高放射性廃液貯槽に貯蔵している高放射性の廃液を、安定で取扱いが容易な形態にするためにガラス固化体に処理する技術等を開発する試験施設として設置する。

 本開発施設は、昭和62年度内着工、昭和65年度作動試験、昭和66年度試験運転開始を予定している。

工事計画


ガラス固化技術開発施設鳥瞰図

2.施設の概要(第1図〜第5図参照)
 本開発施設は、高放射性廃液貯蔵場の西側、クリプトン回収技術開発施設の南側に設置し、ガラス国化技術開発棟、ガラス固化技術管理棟及び付属排気筒で構成する。

 ガラス固化技術開発棟は、地下2階、地上3階の鉄骨鉄筋コンクリート造で、建築面積は約2,600平方メートル、ガラス固化技術管理棟は、地上4階の鉄筋コンクリート造で、建築面積は約700平方メートル、付属排気筒は、基礎部鉄筋コンクリート造、筒身部鋼製で、高さは約90メートルである。

 本開発施設は、分離精製工場又は高放射性廃液貯蔵場の高放射性廃液貯槽から高放射性の廃液を受け入れ、必要に応じて前処理し、ガラス原料とともに溶融炉にてガラス溶融を行い、溶融してガラスをステンレス鋼製の固化体容器に注入してガラス固化体とし、保管セルに保管するものである。溶融炉の廃液処理能力は1日あたり約0.35立方メートル、保管セルの保管能力はガラス固化体として420本である。

3.施設の特徴(第6図、第7図参照)
(1)液体供給式直接通電型セラミックメルタ
 本開発施設では、溶融炉として「液体供給式直接通電型セラミックメルタ」を用い、高放射性廃液をガラス原料(ガラス繊維を円柱状に成型したもの)とともに溶融炉に供給する方式とする。

(2)大型セル方式
 ガラス固化の主要工程機器を一つの大型セル(固化セル)内に配置する。固化セルの換気は低風量換気方式によるものとする。

(3)遠隔保守方式
 固化セルに配置する主要機器はラックに組み込み、遠隔継手を用いて配管を接続し、必要に応じてラック毎の交摸が可能な遠隔保守方式とする。

4.放射性廃棄物の管理
(1)気体廃棄物
 セル及び工程からの廃気は、洗浄、ろ過などの処理を行った後付属排気筒から放出する。放出にあたっては、廃気中の放射性物質濃度を排気モニタリング設備により連続監視する。

(2)液体廃棄物
 主要工程から発生する廃液は、本開発施設内の廃液処理の設備において蒸発濃縮処理を行い、凝縮液を既設の廃棄物処理場へ送り海中へ放出する。濃縮液は、受け入れた高放射性の廃液とともに処理する。

(3)固体廃棄物
 固体廃棄物のうち高放射性固体廃棄物は高放射性固体廃棄物貯蔵庫又は第二高放射性固体廃棄物貯蔵施設で貯蔵し、低放射性固体廃棄物については、廃棄物処理場に送り処理するか、あるいは第一又は第二低放射性固体廃棄物貯蔵場で貯蔵する。


第1図 ガラス固化技術開発施設の設置位置


第2図 固化セル等鳥瞰図


第4図 ガラス固化体仕様


第3図 ガラス固化処理工程


第5図 保管セル概念図


第6図 溶融炉構造図


第7図 固化セル遠隔保守方式概念図

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