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資料

総合エネルギー調査会原子力部会報告書
-今後のプルトニウム利用計画-(概要)

昭和61年6月
資源エネルギー庁
原子力産業課
原子力発電課



Ⅰ.検討経緯

 総合エネルギー調査会原子力部会(部会長:山下勇(社)経済団体連合会評議員会議長)では、プルトニウム利用計画の着実な進展及びプルトニウム供給計画の具体化を踏まえ、昨年8月からプルトニウムリサイクル小委員会(委員長:村田浩(財)原子力安全研究協会理事長)において、我が国においてプルトニウム利用の段階的展開が見込まれる2010年頃までを展望し、我が国におけるプルトニウム利用を推進するための諸課題について検討を進め、このたび、本報告書をとりまとめた。

 検討経緯は以下のとおりである。

 昭和60年7月15日 総合エネルギー調査会原子力部会、プルトニウムリサイクル小委員会において、2010年頃までを展望し、我が国におけるプルトニウム利用を推進するための諸課題について検討することを決定。
 昭和60年8月29日 同小委員会、検討を開始。
 昭和61年4月24日 同小委員会、報告をとりまとめ。
 昭和61年6月4日 同部会、報告をとりまとめ。
(総合エネルギー調査会原子力部会報告書-今後のプルトニウム利用計画-)

Ⅱ.報告書の概要

1.プルトニウム利用の基本的考え方
(1)意義
① 再処理によって得られるプルトニウムを利用することは、ウラン資源の節約となる。
② プルトニウムをいわば国産エネルギー資源として活用することは、エネルギー・セキュリティ確保の観点から重要。
③ 原子力利用大国である我が国がプルトニウム利用を進めることは、ウラン資源の利用効率を高め、ウラン価格の安定化に寄与。
④ プルトニウムを適切な管理下に原子力発電の燃料として利用していくことは、核不拡散の観点からも望ましい。
(2)基本的考え方
① プルトニウムは、プルトニウムの利用効率が最も高いFBR(高速増殖炉)で利用。
② FBRの実用化(2020年代)までの間は、軽水炉及びATR(新型転換炉)によるプルトニウム利用を推進。
③ 経済性の向上及び民間におけるプルトニウム取扱い技術の定着に努めることが必要。
④ 核不拡散を前提とし、保障措置及び核物質防護に十分な対策を講じつつ、推進。
2.プルサーマル(軽水炉によるプルトニウム利用)計画
 少数体規模及び実用規模での実証段階を経て本格利用へと進めることが適当。

3.ATR及びFBRの開発計画
 ATRについては、実証炉「大間原子力発電所」建設計画を推進。
 FBRについては、原型炉「もんじゅ」に引き続き実証炉建設計画を着実に推進。

4.MOX(ウラン・プルトニウム混合酸化物)燃料加工
(1)基本的考え方
 当面、プルサーマル計画に対応したMOX燃料加工体制の整備を推進。
 プルサーマル本格利用時のMOX燃料加工については、民間におけるプルトニウム取扱い技術の定着、事業における経済性の確保等の必要性にかんがみ、原則として民間主体で実施することが必要。

(2)プルサーマル用MOX燃料加工体制
① 実用規模実証計画
 プルサーマル本格利用段階に備える準備段階として位置付け、動燃事業団と民間事業者との両者の協力により、1990年頃から加工。
② 本格利用段階
 原則として民間主体で実施することとし、加工体制、立地について1990年代早期に具体化。
プルサーマル計画に対応したMOX燃料加工の時期及び規模

(3)ATR用及びFBR用MOX燃料加工体制
 今後のATR及びFBRの開発に対応したMOX燃料加工の時期及び規模

5.MOX燃料の再処理
 プルサーマルの本格利用の進展に応じ、技術的な確証を図ることが必要。

6.プルトニウム利用のための環境整備
(1)パブリック・アクセプタンスの確保
 プルトニウム利用を円滑に進めていくためには、幅広く国民の理解を得ていくことが不可欠。

(2)保障措置及び核物質防護対策
 プルトニウム利用の進展に合わせ、保障措置の効率性、有効性の向上のための技術開発及び費用対効果にも配慮した合理化を図ることが重要。

 核物質防護条約を署名・批准することとし、国内法令の整備等所要の措置を講じることが必要。また、プルトニウムの空輸実施のため、技術基準等の整備等所要の整備を行うことが重要。
7.回収ウランの利用
 経済性の確保を前提として、今後、具体的な検討を進めることが必要。


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