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時の話題

IEA三大トカマク協力協定締結について

原子力局技術振興課




 日本原子力研究所は、JT-60(日本)、JET(EC)及びTFTR(米国)の三大トカマク間の情報交換を行うIEA協力協定に本年1月15日に署名し、協力実施の中心機関として指名されることとなった。

1.協定成立の経緯
 昭和57年6月、ベルサイユサミットにおいて科学技術における先進国間の協力が提唱され、核融合を含む18項目がその対象として挙げられた。これをうけて同年10月、サミット科学技術部会(核融合)が開催され、核融合分野における協力の具体的項目の一つとして、三大トカマク間の協力が日本から提案され、検討された。また、この席上において協力推進の枠組としては既存の国際組織を活用することが合意された。

 このような動きをうけて、58年2月、IEAの核融合調整委員会の議長から、提案国である日本が本協力におけるイニシアティブをとるよう要請があった。これに応じて原研は6月、本協力を進めるための協定の骨子案を作成し、関係する各国(米及びEC)に打診を行った。

 これに対する各国からの基本的な合意を得て、58年7月、IEAは本協力協定の作成作業に着手した。

 この作業にはいくつかの曲折があったが、60年7月、IEAが提示した協定案により合意が得られ、今回調印の運びとなったものである。

2.三大トカマク協力協定の意義
 わが国のJT-60、米国のTFTR及びECのJETは、臨界プラズマの達成という共通の目標を持つ一方、装置設計、研究計画などの面においてそれぞれの特徴を有している。すなわち、TFTRはDT燃焼圧縮加熱プラズマ、JETは大型非円形断面プラズマ、長パルスなど、一方、JT-60は磁気リミタによる不純物制御、長パルス、高周波電流駆動などの研究上の特色を持っている。(表1)

 従って、本協定のもとのギブ・アンド・テイクの原則に則りつつ、三大トカマク計画の間の協力を密接に行うことにより各々の計画の効率的な運営ができる。また、情報交換や専門家会合の開催を行って科学技術上の知見の蓄積、共同検討を実施することにより、今後のトカマク型核融合炉開発のために必要な科学的、技術的基盤を効果的に取得、拡充することが可能となる。

3.三大トカマク協力協定の概要
(1)目的
 実験を開始した三つの大型トカマク開発の科学的・技術的基盤を確立する。

(2)内容
 ① 全体計画、実験計画、実験・理論研究、装置の保守・運転に関する情報交換
 ② 人員交流
 ③ 専門家会合(ワークショップ)の開催

(3)運営のために執行委員会と事務局を設ける。
 事務局は原研が担当する。

(4)協定の期間は、5年間とする。

表1 三大トカマクの特徴の比較



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