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高速増殖原型炉「もんじゅ」建設について 国務大臣
原子力委員会委員長
中川 一郎
![]() 高速増殖原型炉「もんじゅ」については、昭和45年に福井県敦賀市白木地区を建設侯補地として以来、その建設についての地元の合意取得が懸案となっていたが、本年5月7日には地元福井県知事からその建設について同意が得られ、また、同月14日には「もんじゅ」建段についての閣議了解を得るという運びとなり、政府としてその建設を推進することとなった。 これで名実ともに「もんじゅ」建設が具体的に進展する段階を迎えることとなったが、これは、我が国の高速増殖炉開発に新たな1ページを開くものであり、今後の原子力政策を進める上で極めて意義深いものであると考えている。 今後、我が国において電力エネルギーの長期安定的な供給を確保するためには、原子力発電を積極的に推進する必要があるが、現在実用化されている軽水炉のみに依存する限り、長期的にみると、ウラン資源の制約から、原子力発電規模に限界が生ずることは避けられない。従って、原子力発電規模を長期にわたって着実に拡大していくためには、使用済燃料から回収されるプルトニウムを有効に利用することが是非とも必要である。 高速増殖炉は、この要請に応えるものとして、プルトニウムを燃料とし、かつ、消費した以上のプルトニウムを生成するという特長を有しているので、軽水炉の数十倍以上もウラン資源を有効利用することができる。また、新たに天然ウランを必要としないことから準国産エネルギーを言えるものであり、エネルギー資源に乏しい我が国にとっては、一日も早い実用化が望まれるものである。 我が国における高速増殖炉の開発は、昭和43年以来、動力炉・核燃料開発事業団を中心として鋭意開発が進められているところであり、既に高速実験炉「常陽」が昭和54年9月から運転に入り所期の成果を達成するなど着々とその研究開発の成果が積み上げられてきている。 高速増殖原型炉「もんじゅ」は、実験炉「常陽」に続く中間段階の発電炉であり、その設計、建設、運転の経験を通じて、商業発電用の高速増殖炉としての技術を確立するとともに、将来の実用化段階における経済性の見通しを得ることを目的としている。また、併せて、将来の我が国の技術基盤の向上を図るとともに、原子力分野における自主性の確保に必要なものである。 今後、「もんじゅ」の建設に当たっては、その主体となる動力炉・核燃料開発事業団をはじめ、関係各界が新型炉という特殊性に配慮しつつ安全の確保に万全を期し、早期完成を目指してより一層の努力を払われるよう期待するものである。 |
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