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「ふげん」の近況について 動力炉・核燃料開発事業団
新型転換炉ふげん発電所は、昭和55年11月に発見された冷却系配管の応力腐食割れ(SCC)対策のための配管取替工事を昭和56年4月上旬から開始した。 本工事は、高圧注水系、低圧注水系、余熱除去系及び原子炉再循環系計装・ドレン配管について、配管材料をSUS304から耐SCC性に秀れた低炭素SUS316への取替であり、動力炉・核燃料開発事業団にとっては未経験の工事であったが、電力会社及びメーカーの協力を得て、軽水炉の耐SCC技術を参考にして実施し、当初の目標通り7月末に溶接工事を完了することができた。 上記工事と並行して第2回定期検査を4月20日から開始し、計画通り作業及び検査を終了し、10月10日発電機を並列した。しかし、調整運転中に原子炉給水系第4給水加熱器ドレン弁の弁座漏洩のため、原子炉を停止し、弁の補修を実施した後、再並列し、11月5日総合負荷検査に合格し、定期検査を終了した。 本格運転再開後、中性子検出器の誤信号のため「中性子束高高」による原子炉停止と原子炉給水系主給水流量調節弁の不調による原子炉停止が発生したが、それぞれ対策を実施した後、再並列し、以来順調な運転をしており、今後は昭和57年度の計画停止まで定格運転を継続する予定である。 第2回定期検査期間中に新燃料76体を装荷したがそのうち44体は、動力炉・核燃料開発事業団の東海事業所の再処理施設で抽出したプルトニウムを同事業所のプルトニウム燃料第2開発室で混合酸化物燃料集合体に成型加工したものであり、ふげん発電所の今回の発電により、わが国の核燃料サイクルの輪が初めて閉じることになった。 なお、44体の混合酸化物燃料のうち20体は、燃料度を増加させて燃料費の低減及び稼働率の向上を図るため、富化度(235U+核分裂性Pu)をこれまでの1.36%から2.0%に高めた燃料である。 |
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