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就任のあいさつ 原子力委員会委員長代理
向坊 隆
![]() 今回はからずも四年振りに原子力委員に再任されました。この間、大学の方が忙しくて原子力については新聞を見る程度で、すっかり御無沙汰してしまいましたので、目下、担当部局からの説明を聞いたり、関連の報告書を読んだりして勉強中であります。 したがって、新聞等から面会を求められても、未だ云えることがないのですが、そう申してもなかなか許して貰えない。先づ聞かれるのは、四年前に比べて原子力界はどう変ったと思うかということです。 変らない筈はないが、未だ認識が充分でないから、的を射た答えはしたくても出来ないのですが、とりあえず感じている次のようなことを述べることにしています。 まず云えることは、わが国の原子力開発で、私の御無沙汰している間に特に進歩したと思われる諸点です。 安全委員会が独立して活動をはじめたことにより、安全確保の国のシステムが一段と進んだことを先づあげなければなりません。これで安全確保の体制が万全なものとなったと考えるのは余りに性急な判断というべきでしょうが、万全の体制を整える方向に一歩も二歩も前進したとは言えるのではないでしょうか。 新型転換炉やウラン濃縮の開発が、次のステップを検討する段階に達したことは、目に見える大きな進歩であります。原子力委員会では検討グループからの報告を受けて、これを勉強中で、委員会としての結論を出すのにはある程度の時間が必要と思われます。また結論を出すまでに詰めなければならない問題もいくつか残っています、しかし、ここまで漕ぎつけたことに対しては、関係者の方々の努力に敬意を表したいと思います。 その他にも多くの分野で四年前に比べて大きな進歩があったと思いますが、未だ勉強不充分でもあり、一々あげることは差控えます。 最近の事情でもう一つ感じたことは国際関係であります。この数年間の米国における原子力政策の目まぐるしい迄の変化、石油需給事情によって影響を受けている各国の原子力開発状況など、何れもわが国とは無縁でないし、わが国も協力したINFCEが一応の結論に達したことも大きな出来ごとでありました。原子力ばかりではありませんが、これからのわが国の進み方は、国際関係への配慮なしには決め得ないことを、原子力情勢を通じて改めて痛感しております。 甚だ心もとない挨拶ですが、これから大いに勉強し、非力ながら努力致したいと考えておりますので、各方面からの御教導を心からお願する次第であります。 |
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